幻
かつては国内最長、世界でも2番目に長い85kmという距離を走るクロスカントリースキー大会だったが、2006年の秋に道東を襲った巨大低気圧の被害によって50kmに短縮され、その後も復旧の目処が立たないようで昨年まで50kmで開催されていたが、今年は20km延長され70kmとなり国内最長の座を取り戻したのだった。
長いもので、平成元年にこの大会に初めてエントリーし、それ以降毎年欠かさず出走してきた。間で3度の大会中止があったので、今回めでたく20回目の公式記録がかかった出走となったわけである。
今シーズンは広島でも早くから積雪があり、例年以上に練習が積めると算段していたのだが、ふたを開けてみるとまともな練習は1回しかできなかった。あきらかな練習不足である。
体力も年々怪しくなってきている。
こうなると後はスキーのチューンアップに頼らざるを得ない。
っと、昨年と同じ流れのイントロダクションで始めてしまったわけだが、昨年と違うのは低温用の板が本番レース用で高温用の板は土曜日の練習用に割り切ったチューニングをして大会前日の迷いをなくそうということ。
そういうわけで、大会二週間前くらいから毎日のように道東の週間天気予報をチェックし、例年並みのコンディションだろうと予想して現地へ送るスキーのワキシングを行い大会一週間前に現地へ発送したのだった。
そして今年はちょっと新しい試み。
せっかく新しい区間が増設されたようなのでGPSロガーを使ってコースログを獲ることにした。
2月24日
初日は毎度のこと新千歳に着いたらまずは無料シャトルバスでレラへ向かい、南千歳から快速エアポートに乗って札幌へ移動。レラの隣にマッスルパークなる施設ができ、キックターゲットやサスケが楽しめるようだが、寄らずに札幌へ向かった。
札幌に着いてもニッセンが休みなので特に行くところもない。とりあえずサンコスモで札幌〜遠軽の往復割引チケットを購入して、後は本屋で立ち読みして時間をつぶしてホテルへチェック心した。
今年の北海道は広島にいるのと変わらない位暖かい。函館ではタンポポも咲いたらしい。こんなに暖かいとストラクチャーもワックスも合わないだろうね。でも天気予報で明日からの冷え込むとのことなので、それを信じて眠りに就いたのだった。
2月25日
ホテルをチェックアウトして外に出ると天気予報どおり雪が降っていた。しかし降っている雪は広島で降るような湿っぽい雪で手袋も要らない。
駅の薬局でミネラルウォーターとパワーゼリー買ってオホーツク3号に乗ってしばらくうとうとし、旭川につ着く頃、車窓から窓の外を見ると吹雪になっていた。
以前上川駅を出たところでエゾシカを見たので、今回写真が撮れないものかとカメラを用意していたのだが、それも期待はずれに終わった。そして峠を越えて白滝に入った頃にカメラを仕舞ったのだが丸瀬布駅の少し手前で列車が急に制動をかけた。
「えっ?」
っと思ったが時既に遅し。3頭のエゾシカが線路を横切って山へ上がっていくところだった。カメラを仕舞ったばかりなのに〜〜〜。
エゾシカ撮影企画は幻と消えたのだった。
遠軽でのバスへの乗り継ぎは非常にタイトで高等テクニックを要する。
トイレは列車内で済ませておき。早めに扉へ移動して、駅に着いて扉が開いたらすぐにダッシュでバスターミナルへ行かなければ乗り継ぎに失敗して一時間待たされることになる。そのことは重々承知だったのだが、なんとバスに乗るための小銭が財布の中になく、あるのは一万円札だけ。せめて千円札があればこの高等テクニックを駆使してロスなくバスへ乗り継ぐ予定だったのだが、この計画も幻と消えた。
ゆっくりと駅を出て遠軽生協でミネラルウォーターを購入してバス賃用の小銭を確保して、ターミナルのベンチでのんびりと過ごした。
天気が良かったら厳望岩へ登ってみたかったのだが、あいにく天気が悪く、これも幻と終わった。
一年ぶりの都ホテル。おばちゃんの明るい笑顔に迎えられてチェックイン。少し休んで早速練習。道路は雪が解けて川のよう。とはいえ気温−5℃雪温−3℃。関東では春一番らしいが、こちらは冬に逆戻りだ。とはいえ降っている雪は私のよく知っている広島の県北に降る雪と同じものだ。足下はざくざくの粗目雪でその上に新しい雪が降り積もりつつあるのだが、両者の境界がまだ馴染んでおらず、少し強くキックすると板がかなり横にずれる。夜から明朝にかけてもっと冷え込んでくれればこの雪がガリガリの氷になるだろうからかなり滑りやすくなるだろう。
晩飯は豚テキとホッケと刺身盛り合わせとおでんと一人鍋にホタテの味噌汁。食べ過ぎた〜。
2月26日
朝飯たべて一時間ほど練習。9時で気温−2℃雪温−4℃。
ザラメが凍った上に新雪が乗った状態で圧雪されたコースはとても滑りやすい。今夜からさらに冷え込むらしいので、本番ではもう少し硬いバーンになると期待。
北風が吹いていたので、海まで行けば流氷が見れないかと期待し、宿に帰って着替えて出かける準備をしながら流氷情報を見ると
「視界の中に流氷はありません」
残念!
紋別からホテルに納品に来た業者さんが
「何もない青いきれいな海が広がってる」
とダメ押し情報。
流氷見学も幻と消えた。
実のところ20年以上道東へ毎年来ているが、流氷らしい流氷を一度も見たことがないのじゃ。何もないか、海岸に名残の氷の固まりがあるだけとか、逆にびっしりと接岸していてどこから海でどこまで陸かわからないだけでなく見える範囲全て真っ白な氷原だったり。一度でいいから音をたてながら流れ動いている流氷を見てみたいものです。
しょうがないのでチューリップの湯で一時間過ごして、お土産買って、文化センターTOMで受付して宿に帰り、サッカー視て過ごした。
そのサッカーがPK戦に入って楢崎のスーパーセーブが連発したところで留萌のWさんご夫婦到着。その後も次々と宿泊メンバーが到着し例年のごとく宴会の始まりー。
メニューは昨日と同じ・・・・に加えてさらにケガニが増えてるよ〜〜〜。
はっきり言って食べすぎです。腹が苦しくて前傾姿勢が取れません。とりあえずホッケは残そう。
鳥取のFさんはその後。友人と飲む約束があるらしく、いそいそと出かけていった。あんなに食べた後まだ飲めるなんてすごいです。
2月27日
昨日と同じく食べ過ぎて腹が張ってよく眠れんかった。ホッケ我慢したのになー。
朝飯食べて身支度してスタート地点行きのバスに乗り込んだ。
バスの中では不思議とよく寝れた。
スタート地点で場所取りして選手控え室へ行くと岡山のnfarmさんが声をかけてくれた。四方山話してコースで写真撮って貰って、GPSの電源を入れてスタート!
ひどいよ
ひどいんじゃない?
こんなコースダメでしょ。
せっかく日本最長大会の名を取り戻したのに、こんなコースじゃ日本最低完走率にもなりかねんよ。
なんといってもコース幅の狭い急な下りが何カ所かあって、そこで順番待ちをしなければならない。特に後ろの方は大変だったみたい。しかも今回の時間制限って結構厳しかったしね。
わしはというと、新設区間の急な下り坂で太股が攣りそうになってひやひやする場面もあったものの、それ以外は特にこれと言ったドラマもなく普通にゴールできました。GPSのログもスタートとゴールでPOIボタンを押してなかったこと以外はうまく獲れていました。
埼玉のNさんは何とかゴールできたみたいだけど東京のIさんは上湧別であきらめたらしい。待たされたあげく時間制限で失格になるなんてむごすぎます。
実際に、
「来年もこのコースだったらもう来ない」
って帰っていく選手がたくさんいました。
とはいうものの朗報もあり、どうやら来年は以前と同じ85kmになるらしい。
若咲内給食所でそこのボランティアスタッフが
「ここから今回限りの幻のコースだからね〜。景色楽しんでよ〜」
他の給食所でも
「来年は85kmに戻るからね〜」
という声をかなり聞いた。
北大雪スタートで85km復活となればまた参加者が増えること間違いなし。
この噂が幻と消えないことを願うばかりだ。
夕食はまたまた盛りだくさん。
豚テキにツボダイにズワイガニに刺身盛り合わせに天ぷら盛り合わせにおでんとホタテの味噌汁・・・こんなに食べきれませんって・・・笑)
2月28日
5時に目が覚めた。昨夜からの雪で外は真っ白け。
荷物を整理して朝飯。バスの時間までのんびり過ごしてるといい天気になった。W夫妻を見送ってバスで遠軽まで移動し後は毎度のこと札幌まで寝て過ごした。
札幌に着いたら真っ先にニッセンスポーツへ。ストラクチャーの入れ替えをお願いした。後はビッグマック食べて(だって200円だもん)オーロラタウンの本屋で時間を過ごしコンビニで夜食買ってホテルへチェックイン。お休みなさい。
3月1日
解禁日です。。という理由ではなく昨日の余韻で早く目が覚めた。笑!
朝のニュース視ながらゆっくり身支度してチェックアウト。
オーロラタウンで朝マック食べて(だって安いんだもん・・爆!)サンコスモスで南千歳までのチケット買ってテムズで時間潰し。道産子プラザで土産買って鳥よ魚よで少し早めの昼飯。
南千歳へ行きレラでぶらぶらして新千歳空港へ移動。昨年行きそびれた国際線ターミナルへ行ってみたがショップで売ってるものが外国人向けという違いがある程度で特に時間潰しになるような施設ではなかった。
で、 ふと腰掛けたベンチのよこになにやらスタンプが・・空港施設内のスタンプラリーらしい。しかも何か貰えるみたい。こりゃ暇つぶしにちょうどいいと 早速スタンプ巡り。国際線連絡通路二カ所と国内線六ヶ所のスタンプを全て集めて廻った。しかしこれがいけなかったのか、施設内の暖房のせいもあって汗が出てきた。膝も痺れてきた。ということでベンチで一休み。
それにしても花畑もカリカリも沢山並べてあるねー。一時のブームってこんなもんでしょうね。
飛行機は無事広島に着き、家へ帰ってバッグの中身を出すと・・・手袋が片方無い・・・汗。
北海道にいる間、結構暖かかったので一度も手袋をしていないのだ。どこで落としたのかわからない。覚えているのは3月1日の朝にはあったということ。
昼飯の時に落としたのか空港で落としたのか???
手袋も幻と消えてしまったのだった・・・・。
20110305:up