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「学力低下」論の高まりに、教科書検定で学習指導要領を超える内容の記述が認められることになった。小中学校の新指導要領では教育内容を減らしながら、教科書は逆方向に進んだ。「教える時間があるのか」「学校によって差が広がる」。現場には、そんな心配の一方で、「まだ不十分」という意見もある。
00年度の小中学校教科書の検定は、学習内容を約3割減らした新指導要領での初の検定だった。理数系では指導要領を厳格に適用して「不必要」「扱いが不適切」との意見が相次いだ。
小学校算数や中学理科も批判があった。
新指導要領では完全週休2日に加え、総合学習の時間が創設されたため、各教科の授業時間が減っている。そのため、授業時間に限りがあり教えられるかどうかという不安の声がある。
埼玉県朝霞市立朝霞第二小で4年生を担任する増田修治生は、すでに算数の割り算などで学習指導要領を超えた内容を教えている。
「教科書に発展学習が盛り込まれるのはかまわない」と言うが、懸念もある。「発展学習をやる先生とやらない先生が出てくると、学力格差が広がる恐れがある。親は教科書の内容は全部やるものと思っているから、先生の負担も増える」
加藤幸次・上智大教授(学校教育学)も同じ心配をする。東京の私立暁星中学・高校の物理の教諭で、東京理科大学でも講師として教えている宇田川茂雄さん(42)は「指導要領以外のことが教科書に盛り込まれるのは一歩前進だが、もっと抜本的に見直すべきだ」と話す。
「学力低下」論者の戸瀬信之・慶応大教授(数学)は「これだけでは不十分。もっと自由にできる大きな改革をすべきだ。」と話した。
朝日新聞社