ゆとりがないと言われる小学校にもっと笑いを取り入れたいとのそんな思いから、埼玉県朝霞市立朝霞第二小学校の増田修治先生が採り入れたのは、児童に詩を書かせることだった。子ども特有のユーモアを重視し、日々の出来事を何でもいいから書いてもらおうという試みだ。家族のこと、兄弟姉妹のことなどを書いていく中で、子どもの表現力もアップしたという。
一月下旬。増田先生が担任する四年一組で、詩が載った学級通信を配ると、子どもたちはすぐに読み、笑い始めた。筆者が立って順番に読んでいく。ある女子は「妹のクイズ」という題の詩を読んだ。
<私の妹は、おならをしたあとに、「なんで私のおならは、いいニオイなんでしょう?」 自分でクイズを作った その答えは、「おならの音が小さいから……」だそうだ なんだそれ?>
教室は、沸きに沸いた。
増田先生は、初めは「良い詩を」と思っていたが、思わず大笑いした、四年生の「お嫁さん」という詩が転機になった。
<ぼくは、やさしいお嫁さんをもらいます(中略) 給料が少なかったら こわいお嫁さんは 「給料が少ないから、おこづかいへらす」と言うけど やさしいお嫁さんなら 「あら、少なかったのね」だけですむからです(後略)>
父母にも好評で、学期末には詩集にして配る。
ユーモアだけではなく、子どもの心の奥に迫るような詩もある。今年度ではないが、ある女子は仕事などで忙しい母と、生き作りの魚について話したことをこう書いた。
<(前略)久しぶりにママと会話したのでうれしかった そしたら突然涙が出てきた ママはいつも疲れてあまりしゃべらないから、これだけの会話でもとてもうれしかった その夜私は ふとんの中で泣きながら魚のことを考え、笑いながら寝た>
四年一組では口げんかがよくあったが、詩を通じて子どもがお互いをよく知るようになり、今はけんかがなくなったそうだ。
増田先生は「笑うのは点数にならないが、点にならないことは学校から消えつつある。でも、笑いがあってこそ学校に安らぎが生まれる。子どもにとって、いやすい教室にしていきたい」と話した。
【写真説明】
詩を読んで笑いあう増田先生先生(右)と子どもたち=埼玉県朝霞市の朝霞第二小学校で