教師と母親が詩のサークル 悩み率直に語り合う
                      朝霞の小学校/埼玉
1995.05.30 東京地方版/埼玉 埼玉版 写図有 (全906字) 


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 朝霞市の小学校教諭と、かって受け持ったクラスの母親らが、詩をつづるサークルを結成した。三年目を迎えて、各種のコンクールにも入選するようになった。それぞれの教育や子育ての悩みを、詩を通して表現する中で「自分に自信が持てた」「子供に優しくなった」と、内面の変化が表れてきた。

 詩のサークルを呼びかけたのは、朝霞市第七小学校の増田修治教諭(三七)。学校でおくる不登校問題やいじめの問題を見つめていく中で、「親を視野に入れないと、問題は解決しないことを実感した」という。「詩を通して、親が自分や子供をとらえ直していくことができるのではと思った」という。

 一九九三年の春、受け持ちの六年生が卒業したのを機に、子育ての悩みを訴えるクラスの母親数人と、詩を読み合い、詩作するサークルを結成した。「仲間の悪口は、口が裂けても言わない」「会で学んだことを、なるべくご主人に伝えること」など、会の約束はいたって簡単。市内の公民館で、月一回、互いの詩を発表、批評し合ったり、女性史や教育についての学習もするようにした。
 子どもを愛せないという悩みや自分に自信が持てないなどのつらい体験を綴っていった。そして、「『子供を愛せない』という母親は、自分が子供の時に親に愛されず、満たされない思いを抱えてきたことが分かった」と増田教諭は言う。

 子供のころ、「おまえのことは、諦めた」という母親の一言で、自信を失ったというA子さん(四〇)は「自分を見つめていたら、自分の愚かさが見えてきた。自分がいとしいと思えてきた。まわりの人の心も見えてきた」とつづった。「詩を始めて、子供や主人から、『優しくなったね』と言われる」と笑う。

 今年の冬に応募した詩のコンクールでは、サークルの五人の母親全員が入賞した。増田教諭は「小さなサークルだけど、会員一人一人が核になって、この営みを地域に広げていきたい」という。

 【写真説明】

 詩のサークルで、詩を発表しあう増田教諭と母親ら=26日、朝霞市の西朝霞公民館で

朝日新聞社