沖縄タイムス 2001年8月30日> 朝刊

  [大弦小弦]

 「ぼくはいつも家で/お父さんの帰りを待っている/だれかがくると/すぐにドアへ出ていく/まるでえさを待っている犬のようだ」

 「私が勉強している時/お母さんがじゃまをしてきた/そして赤いペンで私の顔をつつこうとした/私が『何をしているの?』と聞いたら/『赤いホクロ作ってやろうか』と言ってきた/私のお母さんは変なお母さんです」

 ほほえましく、笑いを誘い、読む人を優しい気持ちにさせる小学生の詩である。埼玉県の教諭、増田修治さん著の「話を聞いてよ、お父さん 比べないでね、お母さん」(主婦の友社)は親や教諭らをユーモアで笑い飛ばす詩が満載だ

 少年の問題行動が後を絶たないうえ、大人もどう対処していいのか、確かな自信を持てないでいる。増田さんは、いま必要なのは子どもに自己肯定感を持たせることだと訴える

 キレる子どもは、親にほめられたことが少ない。また、自分を「嫌いだ」と自己否定する傾向にある。だからこそ、ほめながら育てて自己肯定感を高めることが肝要だと説く。これは簡単なようでなかなか難しいが、じっくり話を聞き、表現力や能力を伸ばすことだと言い切る

 「ねえねえ、お父さん、お母さん」とせがまれたら、忙しさにかまけて聞き流していないか。子どもは親の共感を求めている。読後、反省ばかりだった。(銘苅達夫)