日本教育新聞 2004年6月18日(金)

授業での扱い方
言葉によるトラブル実感

著作権の都合上、内容を要約しています。本当の記事を読みたい方は、日本教育新聞社にお問い合わせ下さい。

 佐世保市の小学六年生による事件をどう伝えるかは、学校現場の大きな課題だ。事件直後の三、四の両日、埼玉県朝霞市立朝霞第二小学校で四年生を担任する増田修治教諭は事件について話し合い考える「総合的な学習」に取り組んだ。子ども同士でお前なんて消えちゃえ」というトラブルがクラスで起きた日、事件が報道された。当初はこのトラブルについて話し合う考えだった増田教諭は「言葉が凶器にもなると知って欲しい」と事件を一緒に扱い、理解を深めることにした。
 まず、長崎の事件の概要を尋ねると、多くの子どもはネット上の掲示板の悪口が原因と知っており「そんなことで人を殺すのはおかしい」と答えた。「ケンカの時、相手がいなくなればいいと思ったことはある」といいう意見も出たが、大半の子どもは「相手の嫌がることを自分がしたら謝る」と言う。
 「じゃあ、どうして長崎は『悪口』から殺人事件が起きたのかな」と聞くと「悪口に耐えられなくなった」「すごく自分が気にすることだった」と子どもたち。言葉が人を傷つける場合があると子どもたち自身の感覚で確認していった。
 そこで増田教諭は「バーカ!」と書いたカードを見せた。どう思ったか聞くと子どもたちは「言葉だけ見ると嫌」「表情がないから本気か分からない」と言葉だけが突出することの不安を訴えた。増田教諭は「顔の見えないネット上の掲示板では使う言葉に注意しないといけない」と伝えた。
 翌日は平成十二年に差が出バスジャックをした少年が事件前に掲示板にした書き込みを印刷して配布。「ネットは悪意ある人間もいる。自分の身は自分で守ろう」と、個人情報は書かないなどネット上のルールを教えた。増田教諭は「ネット以上に、毎日顔を合わせる二人がなぜ面と向かって話し合わなかったかが問題。対面型を重視したコミュニケーション能力養成が重要では」と語った。