In the Soup 美容院ライブ In the Soupのライブに参加。西尾市のイベントの一環で、美容室が会場。なんと無料。 他に、病院や保育園、中学、企業、老人ホームなどでも開催されるイベントで、 In the Soupの音楽を通じて全ての世代のコミュニケーションを図る企画。 教育委員会や自治体には、In the Soupは随分評価されてるんだなあ。 サマクラにも一緒に行ったO氏に、先週末チケをとってきてもらって、一緒に参加。 このチケット、ちっこい白い紙に必要事項だけが黒字で印刷してある。 いかにも家庭用プリンタで印刷しましたって感じ。 裏に美容室のゴム印があって、まるで文化祭の食券。 枠線と切り口が合ってないあたり、手作業感があふれてる。 市民の手作りイベントなんだなー。 整理番号は、無い。ということは、早い者勝ちか。早めに行くことにする。 知らない土地だしね。 JRと名鉄を乗り継いで西尾駅へ。初めて乗る電車。初めての駅。 話はそれるが、知らない土地へ行く途中って、すごく緊張するね。 この電車で正しいのか、ちゃんと駅へ着くのか、 もしかして、目の前で出発した電車が、今通り過ぎた駅が、正解ではなかったかとか。 今日も駅から目的地までちょっと迷ったし。 でも考えてみると、不思議と昔から 『知らない場所だから、連れがいないと心細くて行けない』 とは思ったこと無いなあ。 『あなたはぼーっとしてるのに変な所が大胆』とよく言われたけど、 大胆と言うより楽観的に過ぎるのかも。非常事態を考えず、大丈夫さって思っちゃうのよね。 18:00会場着。18:30開場だが、10人くらいの人がもう並んでいた。 若者ばかりで、私、明らかに浮いてる。ちょっと気後れ。 並んでいたら、店内からカメラとライトを持った人達が現れ、 列の先頭の人にインタビューし始めた。 おお〜、何に使う映像だろうと思っていたら、私もインタビューされちゃった! 一人浮いてたからね。目立ったんだろうね。 “どこから来たか、何で参加したのか、10月のライブには来るか”とか。 子供を夫に任せてきましたとか答えて。 平然と答えたつもりだけど、あーどっきどきした! 開場。店内に入る。吹き抜けで天井が高い。シーリングファンが回っている。 奥にロフトがあり、螺旋階段とキャットウォークで1階とつながっている。 空気はほのかにラベンダーの香り。 すっごくお洒落な店だぞ。都会的だぞ。こんな機会でも無いと入らないぞ。 美容室の機材は全て運び出したらしく、 がらんとした、そこそこ広いフローリングのスペースになっている。 で、床に白線が引いてあり、線の向こうにバンドセットがある。 なんとバンドメンバーと客を隔てるものは、その白線だけ。高低差無し。 しかも線から1mくらいの所にマイク! うわ、めちゃ近い! しかし椅子でもあるかと思ったらスタンディングだ! …と思ったら、お客はみんな座っている。 このままやるの? まあねえ、そうしないと後ろの人は見えないかもねえ。 でも床に体操座りでライブですか? スカートで来たことを激しく後悔。 でも、開演したら、やっぱりみんな立った。 後ろもせいぜい4、5列しか無いから見えないことはないみたい。ホッとした。 それにしても異常にメンバーと近い。私は最前列左端だったが、 ベースの人まで1.5m。ボーカルまで2.5m。ドラムまでだって3mくらい。 間に何の障害物も無しで。手を伸ばせば、触れちゃう。 ステージは奥行き4,5m、巾6,7mの狭さ。 ボーカルからは、一歩下がればドラムがあるし、ベースの竿から30cmしか無い。 しかも客席からは1mくらいしか離れてないし。客もメンバーも密着状態。 左端の私は、ずっとボーカルの横顔を見てたけど、最前中央の人なんて、 自分の真っ正面、同じ目の高さでボーカルが歌ってくれるわけよ! まるで会話するような状況で。一歩踏み出せば抱きつけちゃうよ。すごいよね〜。 これが西川君だったら…正気ではいられないわ! いや、それ以前に、声で吹き飛ばされそう…。 彼のパワーをそんな至近距離でなんて、受け止めきれるとは思えない。 ロープも何も無しで、観客がステージに入っちゃいはしないかと思ったけど、 みんな行儀良く、線からはみ出さずに盛り上がっていた。 えらいえらい。というか、ちょっとおとなしめ? 中尾氏の歌声は、相変わらず伸びがありいい感じ。 時にガムシャラに、時に美しく、時に突き刺さる様な鋭さを持って響く。 熱い気持ちが響いてくる。いいぞいいぞ! 彼の目は、すごく力がある。ジリジリとあぶるような熱を持っている。 情熱があがいているのが感じられる。 動きもいい。ほとんど動ける状態ではなかったけど、 時折見せてくれる鋭い動作にハッとさせられた。 ただ、今ひとつ客席と一つになろうという気持ちが少ない気がした。 自分のライブじゃなくて、市民参加のイベントだから多少の遠慮があるのかもしれないけど、 もっともっとどん欲に、客席からの反応を求めてもいいのに。 これくらいでいいや、じゃなくてさ。 それだけのステージはしてくれてるんだから、もっと自分を高く売ろうよ。 …こうしてみると、西川君ほど愛を求める人って、やっぱり少数なのかな。 これだけ近いと、メンバー達がやってることがつぶさに見られる。 演奏開始する時、ドラムが「1、2、3、4!」と小声で合図するのが聞こえたり。 一瞬の事だけど、ボーカルが珍しく歌詞を忘れて、ギターの人が気遣うように彼を見つめ、 歌が立ち直るとホッとしたような顔をしてまた前を見て演奏を続けてたり。 中尾氏が椅子に座って歌った時、靴のかかとを踏んづけてる素足が見えたり。 ドラムが色んな細かい楽器を使ってるのも見えたし。 ベースの音、初めてどんなのかわかった。 恥ずかしながら、今まではどれがベースかもよくわからなかったんだけど、 目の前の人が弦の少ない楽器を演奏して、低い音が響いて、ああこれか、と思った。 互いにアイコンタクトしながらタイミングを合わせていたり。 狭い場所にバンドメンバーが揃ってるから、 彼ら4人が一緒に音楽を作り楽しんでいる様子がよく感じられた。 こんな経験、そうそうできないよ。面白かった。 一つすごく悔しかったのが、聞いたことのない歌詞の曲を歌い出したので、 『知らない曲だな』と思いつつも歌詞の内容は気にせずに声だけを味わっていたら、 続いて「涙の音」という曲を歌い出した。 しまった! と思った。この人達は、よく即興とか、その場でしか歌わない歌を歌う。 実は前回行ったライブの時も、この曲の前置きとして、即興の歌が歌われた。 とてもメッセージのある歌で、これを聞いて初めて、 「涙の音」をどんな気持ちで作ったの覗き見ることができた気がした。 ということは、今聞き流していた部分も、即興だった? あちゃー、何言ってたか全然わからないよ…。もったいなかったなあ…。 西川君の歌を聴くときは、正直、歌詞は二の次。 ひたすら彼の声を浴び、味わう事に集中する。 でもこういうバンドは、自分たちで作詞作曲するわけだから、 歌の内容もちゃんと受け止めないといけないよな。忘れていた。 やっぱりアーティストによって、こっちも姿勢を変えなくちゃね。 1時間半近くあって、11曲もやってくれて、かなり満足。 アンコールが無かったのがちょっと残念だった。 楽しくて、一杯気持ちを返した。そしたら帰り際、 開演前にインタビューを受けたカメラマンさんに 「お母さん、ノリノリでしたね」と言われてしまった。 …絶対、すごい姿を映されてる。 実はこの日、ものすごい数のカメラが入っていた。 ほとんどは家庭用っぽい、ハンディカメラだったけど、 ステージの周囲に5,6台。そして後ろの方にはもっといたそうで、 全部で20人台くらいいたらしい。あんな狭い場所によくもまあ。 舞台左端にもカメラがいて、わたしがしゃがむと、顔の真横にカメラがあった。 ヘンな声は出せないと思った。 手を振り回したら、何かに当たって、気が付いたら私の足元に座ってたカメラさんの頭に当たっていたのだったり。 三脚を使う人もいたけど、私の見た数名は、あぐらをかいてカメラを 動かさないように持って、じっと微動だにせず画面を覗いて撮影していた。 でっかい台なんて使う余地ないもんねえ。 一番どきっとしたのは、大口開けて歌ってたら、ほぼ真下からカメラが 観客をなめるように映していったこと。うひゃー、すっごい顔を撮られちゃったぞ…。 何に使うのかな。テレビかな。ビデオかな。ちょっと勇気が足りなくて聞けなかった。 まあね、何の為にしろ、実際に使われるのは撮ったフィルムのごく一部だろうから、 自分が出るとは限らないんだけどね。 でも気になるー。撮られた姿が姿なだけに…。 今回のイベントは、In the Soupの音楽が軸となって、 西尾の全世代の市民が繋がることができる、面白い試みだと思う。 家族全員が、それぞれのテリトリーで同じ音楽を体験し、共通の話題にできるって、面白いよ。 彼らも嬉しいだろうな。自分たちが全市民の共通体験になれるなんて、凄いよね。 でも幅広い年齢層に音楽を伝えるって事なら、西川君は自分のライブでもう実現してるのよねえ。 これもすごいよなあ。 とても楽しいイベントだった。会場を提供してくれた美容院さんに感謝。 機材をどけたり、元に戻したりするだけでも大変なことだったと思う。 お金になるわけじゃないのに、大きな労力を割いて下さったことに頭が下がる。 どうもありがとうございました。楽しかったよ! |