2003.1.5 DASEIN ツアー「寒来(さむらい)」 名古屋ダイアモンドホール

 約半年ぶり、DASEINのライブに2回目の参加。楽しかったよ!
一つ一つの曲がどうだったか、残念ながらよく覚えていないので、
MC中心で覚えていることを書き付けておく。でも多分、順番はかなり違ってると思うのであしからず。


 ちょっと説明しておくと、DASEINはドラムのJOEとボーカルのRICKYの二人ユニット。
そしてサポートでベースのジェロニモとギターのタクヤで構成されている。
JOEのドラムは怒濤の如き迫力で、音楽をよくわからない私にもすごいドラムだと感じさせる。
RICKYはとてもきれいな声で、歌もうまい。
そしてもう一つ、RICKYの大きな魅力は、小柄な身体で魂ぶつけて歌う様子と、
結構気が小さくて気配りやさんな感じのところ。これが何ともカワイイ。
久々に生の彼を見る機会を得て、嬉しいな。

 しかし今日は寒い! 寒風吹きすさぶ中、震えながら会場にたどりついた。こないだのイヤカン、こんなでなくて良かったな〜。あの時は上着をロッカーに入れた後、外に並んでいたもんな。いやそれにしても寒い。この冬一番の寒さじゃないかい?
…「寒来」だもんなあ。

 会場に入り、私は前から1/3くらいの中央に陣取る。が、連れの二人は後ろの二階というか、一段上がった方に下がった。う〜、ちょっと上がった所の方が見やすいだろう事はわかるけど、私はやっぱりできるだけ近くに行きたいのよ。表情とか見たいし。もしかしたら後ろの方が楽しめるかもしれないけど、恐くて試せない〜。だって、“やっぱり前に行ってれば良かった”って思ったらイヤじゃん! 気を引かれながらも、後方は否応なくそっちに行かなければならない状況になったら行こうと思う。

 開演。JOEのドラムの爆音が耳をつんざく。
まるで要塞のような巨大ドラムセットから、高速ビートが叩きつけられる。
早く重く鋭い。身体にビリビリと響く。何と表現すればいいのか、怒濤の様な。轟音。激震。
空間全部をビリビリと震わせる。激しい音で会場が一杯になり、音の飽和状態って感じ。
迫力という言葉では力が足りなく思えるような音だ。

私はほんと楽器のことはよくわからなくて、ドラムの上手い下手は判断できないけど、
少なくとも彼の音は、ただ辺りに響くだけではなく、
狭い会場をうち破りそうな圧力をもってその場を満たしていた。
単に音が大きいだけのことでは無かったと思う。

 RICKYが歌い出す。あ、1曲目、新作アルバムで、私が一番好きな曲だ。嬉しいな。
…おや、でも、RICKYの声がちょっと聞こえづらい。楽器の音とのバランスが悪いのか。
気になるけど、ノリはすごくいい。会場の雰囲気もいいと思う。
キレのある動きもきれいでいいぞ!
上着をずらしてさらした肩が色っぽい。でも、こんなに肉付きよかったかな?
ちょっと丸くなったような…。

 3曲歌って、あらためて自己紹介。
「いつもキラキラ光り物、ボーカルのRICKYです!」
「いつもブルブルブリザード、ドラムのJOEです!」
…知らずに来てたら、今までのハードな感じとの違いにびっくりするよね。
彼らのコンセプトは「音楽は熱く、ギャグは寒く」だそうだもんな。
今回のツアータイトルも、「寒いのが来る」って意味だよね?

 結構盛り上がってたと思うけど、JOEが叫ぶ。
「後ろ、俺見えてる? 今日は1月5日! まだ今年は360日もある!
もっと前を向いて無くてどうするんだ!」
二人とも、どんどん観客を煽る。よしよし、盛り上がって行こう!

 前半からRICKYは盛り上がる気持ちに任せて大暴れしてた。
飛んで回って、目が回って倒れるんじゃないかと思った。
そしたらやっぱりと言うか、暗転の後、「今、倒れました」とか言ってた。
汗が前髪からとめどなく滴り落ちている。まるで雨にうたれているよう。
おーい、まだ6曲目だぞ? 大丈夫か? でもこういう全力でやってくれる所が好きだ。

 一旦RICKYが下がり、JOEのドラムソロ。素直に、「見事だなー」と感嘆させられる。
ドラムって、今まではバンドの一部としか捉えてなかったけど、
ソロで聴ける楽器なんだって初めてわかった。
 ドラムを叩きつつ、ほとんどスティックの動きだけで客を煽り操る様は見事だった。
そして語る。
「太鼓があるから、俺はここにある。だから全力で太鼓を叩く」
観念的なものではなく、実体験に基づく言葉は、すごく説得力がある。
「みんなも全力でぶつかって来てくれ!」
OK!

 迫力の演奏と歌を浴び、私も拳を振り…たいんだけど、ここのライブは
曲毎に違う振り付けで踊るのが主なので、私もトライ。
踊りと言っても、腕の動きだけなんだけど。
周囲はコアなファンが多かったようで、みんなしっかり振りをしてて、
踊りの手本には事欠かなかった。
マネしてやってみたけど、ちょっとテンポがずれて隣の人にぶつかってしまったりもした。
でも楽しいぞ!

 しっとりとバラードを歌った後だったと思うけど、一旦下がってから、
オモチャの剣(ビニール製)を腰に、RICKYとJOE再登場。
「何者じゃ!」「電子ジャー。」
ああ〜、さぶい〜。さすがさぶギャグマスターJOEだ〜。
「RICKY侍じゃ」「JOE侍じゃ」と名乗りつつ、
「この時間が一番緊張する。寒ギャグ一本勝負!」
そっか、やっぱりやるのね。でも今日はコントじゃなくて、一発ギャグなのか。
音楽だけやっててもいいのにねえ。好きなのね。ギャグが。
 お題は何故か「うなぎ」。ひつまぶしなら名古屋だが、うなぎって言ったら浜松だぞ?
RICKY、後にやりたがってる。JOEに「俺の困ってる目が見えないのか!?」
「だからこそ、先にやれ!」
RICKY、納得させられて、でもまだ心の準備ができないらしく、
モジモジするように剣の先っちょでスピーカーをす〜りす〜り。カワイイなあ。で、一発。一人芝居。
「RICKYさんの身体の魅力的な所はどこですか?」「そんな、魅力的な所なんて…」
「あえて言えば。」「あえて言えば、(後ろを向いて髪をかきあげ)うなぎ(じ)」
きゃ〜、うなじが色っぽいぞー! いいぞ、良かったぞ、このネタ。

 次はJOEの番。刀をクルクルッと回してポーズをきめた。
と思ったら、刀をつかみそこねて落っことしてた。
そしたらサッとRICKYが刀を拾って、落としたままポーズしているJOEにさりげなく持たせてた。
おお〜、ナイスフォロー! 世話女房って感じがにじみ出てるところがグー。
 JOE、おもむろに4拍子の指揮を始める。唱歌『故郷』の節で歌い始めた。
「うーなーぎー おーいしい かーばーやーきー」
うまい! 最初のうさぎとうなぎを掛けるだけかと思ったら、全部かかってる!
寒くないよ! すごいじゃん! ベースのジェロニモが出てきて、JOEの勝ちを宣言。
惜しかったねー、RICKYのも良かったんだけどね。

 アンコール。“だーーざいん!(リッキー!)だーーざいん!(ジョー!)”
と、合いの手を入れながら叫ぶ。ターボコールと違って、すごく揃えやすい。
年末にZEPPで大声出してきたばかりだからね、思いっきり腹から声が出るぞ!
目一杯叫ぶ!
「呼んでくれたな!」と出てきた。

 RICKYが改まってJOEに向き合う。
「ちゃんと挨拶してなかったじゃない?」と言いつつ、正座して挨拶…しようとしたけど、
観客から「見えないー」と声があがり、やっぱり立ち上がって
「あけましておめでとうございます。今年もRICKYをよろしくね」とJOEにご挨拶。
か、かわいい言い方。ちょっとオズオズした感じがなんとも。
「ちゃんと挨拶しておきたかったの。みんなの前で。親しき仲にも礼儀ありっていうじゃない? みんなともそういう仲でいたいな」
ふ〜ん、礼儀正しくつきあいたいんですか。…どんな態度でいてほしいのかな。

 恒例のRICKYビーム(笑)もあり。RICKYクンが客席に向かってスペシウム光線みたいな格好して、
観客が「きゃあ〜(やられた〜)」って感じでバンザイして。なんだかなあ。
「これで親友♥」だそうで(笑)。
そしたら「俺達もみんなと友だちになりたい!」とかって他のメンバーもそれぞれ
オリジナルビームを放って、観客もちゃ〜んと言われた通りの返しをして(笑)。
RICKY、「これでどんな恥ずかしい踊りでも踊れるね」って、次の曲では軽く振り付け指導しながら歌ってた。
おーい、自分で恥ずかしい踊りだって思ってるのか?
こうしてみんな不思議な踊りを身につけていくのね。

 客席はどんどん盛り上がっていってた。
ダブルアンコールの時、演奏の音が小さくなったら、観客の大きな歌声が響いた。
みんなすごい大きな声で歌えてるよ! RICKY嬉しそう!

 RICKY、歌いながらすごく晴れやかな顔をしている。本当に嬉しそう。観客もしっかり応えてる。
 最後の曲、と言って歌った曲の後で。
「今年最初のライブ、最高なライブになりました。みんなが、最高でした。
みんなに、この曲をプレゼントします」
そして、セットリストには無かったらしいバラード曲「絶望の花」を歌ってくれた。
これは良かった! 声が響き渡っていた。 泣きそうなのか、ベースの肩を借りたり、
感極まって座り込んでしまったりしながら歌い続けていた。
こういう、歌に入り込んでしまう、魂こめて歌ってくれる所が好きだ。

 本当に、RICKYは嬉しそうだった。他の人も…嬉しそうだったと思うんだけど、
RICKYはあまりにもストレートに感情が出ていて、そっちばっか見ちゃった。
「最高のライブになりました!」
「ちょー楽しかったぞ!」
何度も何度も、ありがとう!って言ってた。

 RICKYとJOEが、かわるがわる気持ちのこもった言葉をくれた。
JOE「みんなが俺達を見に来てくれたんだけど、俺達がみんなにパワーをもらってる。
俺達も、みんなにパワーをあげたい。」
「(ここで、ライブはみんなで作る物だって言ってたと思う…)ライブって、そういうものだよな!」
ほんとにそう思う!
RICKY「弱ったら、いつでもライブに来てくれ! 俺も弱ったら、ライブに来ます(笑)。」
ああ、やっぱりかわいい…。
JOE「DASEINは一昨年の1月にデビューした。今年で3年目。
みんなも、いろんな事を経て、ここまで来た。辛いこと、イヤなことだってある。
山ほどある。でもみんなここに今いるのは、みんなが頑張ったからだ。」
「俺達も頑張るから、一緒にいて欲しい。俺達を支えて欲しい」「一緒に進もう」
RICKY「俺達が、みんなの居場所を作るから!」
 うわ、なんて嬉しい言葉だろう!
ここは、本当にファンを大切に思っていて、一緒に進みたいと思ってくれているのがわかる。
 ライブは、みんなで作るものだって言ってくれるし。
西川君と通じるものを感じるよ。すごく温かく、いい感じ。

 ほんと、大盛り上がりで、ステージと観客がお互いに応えあって、いいライブだった。
ギャグタイムが長かったから、アンコールは1回で済ませてしまうかと思ったが、
ちゃんと2回やってくれた。すごく色々語ってくれたし、結局3時間近かったように思う。

 終演後、気がつくと床が濡れていた。何かこぼれたのかと思ったが、何と会場の床全体が濡れている。
どうやら、みんなの熱気やら汗やらが水蒸気となり、床で結露したらしい。すっごーい!

 外に出たら、大雪だった。さすが寒ギャグマスター。ブリザードを呼んだと評判だった。

 いいライブだった。
前回はひたすらRICKYばかり見てたけど、今回はJOEのドラムを叩く姿の魅力にも気づいた。
JOEの言う事には、いちいち説得力があった。苦難を越えてきた重みがある。
きれいごととかじゃなくて、本当の気持ちを言ってくれてるってわかる。

 RICKYは、相変わらずの全力歌唱が嬉しかったけど、今回は気になることがあった。
本来は高音で歌う箇所を、ほとんど低音に変えている。
後半になったら高音も出すようになったけど、とても少ない。たまに高音で声がかすれる。
彼の、華やかに響き渡る高音は大好きなので、ぜひとも次回は復活させて欲しい。
何度か歌が聞こえにくかった事も、後で友人と話した所、演奏とのバランスというより
彼自身の声があまり出ていなかったのではという話になった。
それでも年末のライブより出てはいたらしい。
喉の調子が悪いのだろうか。心配だ。早く良くなって欲しい。
もっと安定した声量が出せるようになれるといいね。
声量って、訓練で良くなるものなんだろうか。本人も気にしているかもな。すごくクヨクヨ悩みそうな気がする。

 でも、西川君も、現在の揺るぎない絶対的なパワーを持つ歌声を出すまで、
デビューからでも7年掛かって成長してきたんだ。
DASEINはまだ3年目。これからきっとRICKYの声もタフに深くなっていってくれるだろう。
そうだといいなあ。

 でも声以外でも、やっぱりRICKYクンは魅力的だった。
小柄できゃしゃ(と言うには今回、ちょっとふっくらしてきてたようだけど)な彼が全力で歌い踊るのもカワイイし、
何より、歌っている時は大胆でカッコイイのに、歌ってない時にはチラチラと見えてくる
気が弱そうな所とか、つくすタイプぽい所とか、一生懸命な気配り屋さんって感じなのが何とも言えずキュート。
本人も「身体も小さい。心も小さい。こんな大勢の人の前で歌えるのが不思議なくらい」と言ってたな。
いい大人の彼がカワイイ小鳩チャンに思えてくるわ。いやマジで。

 彼は歌声からも、見た感じと同様な印象を受ける。
彼の歌声は、例えるなら“青年のみずみずしさ”とでも言おうか。
特に1stアルバムでは強く感じたけど、すごくフレッシュな感じがする。
よく伸びる華やかな高音の声と、力強さ。それと表裏一体で、線の細さや透明さ、
まっすぐさが感じられて。アニメの主題歌を幾つも歌ってるけど、ほんと似合ってると思う。
まだまだ発展途上って感じの人だけど、この先を見たいと思わせられる。

 前回のライブでは、JOEとRICKYは兄貴を慕う弟って感じがすごくしたけど、
今回はもうちょっと対等になってきた感じがした。
次のライブは5月。彼らと彼らの音楽がどう変わっているか、いないのか。
ホールサイズの会場で、彼らがどんなライブをしてくれるのか、楽しみだわ。