2003.3.30 T.M.Revolution大握手会「HANDS OVER HANDS」

 西川君の目に映り、言葉を交わし、握手するって、私の一生の夢と思っていた事だった。
ハワイイベントに参加すれば叶うかもしれないけど、実現できるとはとても思えない事だったのに、まさかその夢が叶う日がこんなに早く来ようとは…。

 朝5:20に家を出て、名古屋発東京行き新幹線の始発に乗り、会場の東京ビッグサイトに9:20頃着いた。既にすごい人の波だったが、よく見るとキャリーで手荷物を運んでいる人が多い。実はこの日、同じ会場の東棟で同人誌即売会があり、そちらのお客が多かったのだった。そっちへ行く人達と別れたら、西棟へ向かう人達はすごく少なくてかえってびっくり。でも、会場前には既に長蛇の列ができていた。後で整理券をもらったら、700番台だった。
 並んでいる人達、オレンジ色が多いわ〜。服、靴、鞄、髪留めなどなど、様々なものにオレンジ。西川君の指令はかなり行き届いているようで。
そして男性がかなり多いのにはびっくり! ライブよりこういうイベントの方が来やすいのかな。
ベビーカーの人もいた! 子供、よく並んでられるなあ…。

 開場は11時。列が少しずつ動き出す。建物の中に入ると、COORDINATEのポスターが一杯貼ってある! わーい、初めて実物を見たぞ!…CDショップには全然貼ってないから…。
『こんな、ポスターに載ってる人と会うんだ』と思うと、急にドキドキしてきた。何だか信じられない。
 入り口前に、『本日の公演は撮影禁止…』などと注意事項を書いた紙がはってあった。
今日のコレ、公演なんだ(笑)。
入り口で番号入りの整理券をもらい、会場内へ。持ち物チェックがある。ほんとに公演って感じ。
 会場はだだっ広い縦長の展示場。奥に舞台とスクリーンがある。参加者はその前の柵に沿って、つづれ折りになって並んでいく。
 スクリーンでは、PVやメイキングが流れていた。CD-EXTRAやMORRICHとかで既に見た映像ばかりだったけど、パソコンより美麗な映像を大画面で見られるのはやはり嬉しい。西川君がクシュン!ってかわいくくしゃみしたところとか、ちょっとした仕草や表情にあちこちから歓声が上がる。
 ガンダムSEEDDVDのCMも流れていたけど、こういう時はキラやアスランの声じゃなくて、西川君のナレーションでやらなきゃ! そうすれば大分売り上げが違うと思うぞ。
 みんな1、2列になって柵にもたれてスクリーンを見てるので、柵と柵の間はがら空き。えらく余裕な並び方だなと思ったら、案の定、係員さんからもっと詰めるように指示された。てきぱきした作業でいい感じだったな。動かない人達はどんどん追い越して前に詰めるよう誘導されたので、300番台だった友人達と合流できちゃった上、さらに前へ。大勢ぬかしちゃって申し訳ないけど、握手するのは整理番号順のはずだからいいよね、と思っていたら、なんと結局番号関係無しで並んだ順番に握手してもらったのだった。ちょっと申し訳なかったな。あの番号、単なる参加者数のチェック用だったのかしら。西川君、「こんなに来るとは思わなかった」って後で言ってたけど、一体何番まで用意してたんだろう。陰で慌てて作ってたりして。

 12時開演。金髪の男性が出てきて、挨拶をした。西川君!?と思ったら、ヨッピーだった。ニッポン放送の番組でもないのに、吉田アナが出てくるとは思わなかったわ。
 吉田アナ、自己紹介して、
「昨日のリスナーズBEST聞いてくれた方ー?」
ちらほらとしか手が上がらない…。だって、早寝しなくちゃいけなかったんだもん!
ちょっと残念そうな吉田アナ。
「では、昨日のガンダムSEEDを見た人は?」
大分手が上がった。ごめんねえ、吉田アナ。で、次に、
「じゃあ西川貴教さんのオールナイトニッポンスーパーの、前回の放送を聞いた人!」
もちろん大勢手が上がる!
「さっきの10倍はいますね…。」
まあね、仕方ないでしょ。
 そして、今日の注意事項を繰り返し説明した後、嬉しいびっくり! これからここでワイドショーのインタビューをするって! すごーい!
舞台にいる大勢の人は、取材陣だったのね。すごいなー、記者会見に同席できるんだなー。
ヨッピーが
「皆さんご協力下さいね」って言ってたけど、一体どう協力すればいいやら。
大きく拍手? それとも静かにしてろってか?

 ついに西川君登場! 会場を見渡して、
「今日はこんなに大勢集まりやがって!」と叫ぶ。きゃー、ライブみたい!

 インタビューは私達をバックに。あら、お尻向けられちゃった。顔が見えない〜。
時々スクリーンに西川君の顔が大きく映ると、すかさず歓声があがる。
 女性アナウンサーさんが質問してた。一応、こんな感じってことで話の内容をメモしておく。だいぶ違ってるとは思うけど。
 このイベントの理由とか聞いた他、
アナ「西川さんはどなたかの握手会に行かれたことはあるんですか?」
西川「無いですねえ。するばかりです」
アナ「ではどなたの握手会なら参加したいと思いますか?」
西川「えーーーー?(ほんと困ってる感じ) …特に…」
それから、確か、行ってみたい女性アーティストの握手会は無いですか、とか、
いかにも先日の報道を意識した質問があって。
西川「何が言いたいんですか(笑)? 無いです!」
アナ「好きな女性は? Fさんとか。ミキティ・・・」
西川「何を言わせたいんですか!(笑)も〜、複雑なことになるから!
…好きな女性はここにいる全員です!」
きゃあーーー! 嬉しい〜! でも女性でない人も大勢いるけどね。

アナ「今回の握手会は、アルバムを買ってアタリがでると参加できるとのことですが、西川さんは何かに当たったことがありますか?」
西川「えー…特に無いですが…小さい頃、オヤジがお年玉付き年賀はがきで折りたたみ自転車を当てましたね」
アナ「その自転車は今は…」
西川「まず確実に、実家の物置で眠っていると思います。
 むしろ人生が。こうやって、頑張らせてもらってる事がアタリだと思ってますから。ここだけに運を使って。普段はビンゴもやらないようにしていますからね!
…僕もたまにはイイコト言うんですよ(ニコリ)」
自分でオチをつけてる(笑)。

アナ「西川さんはガンダムがお好きだそうで」
西川「子供の頃の…あの当時の女性も男性も、共通言語だったと思うんですよ。」
アナ「アニメやマンガもお好きですか」
西川「引きこもりなので。今日もここで、春コミケが行われていて。
ダンボール抱えてる人と、オレンジの人でわかるんですけど。
もう、ここ抜け出して行きたいなあと思ったり。でも、コスプレだと思われてもイヤなんで(笑)」
おおう、“春コミケ”って言った! 聞いたところでは、春に行われるこのcomic cityというイベントは、通称春コミケというんだそうで。よくそんな俗称を知ってるもんだわ。
アナ「西川さんはコスプレはなさるんですか?」
何考えてんだ、このアナウンサー!?
西川「TMさんはいつもコスプレみたいなものですからね!」うわあ…。

アナ「他に何か質問がありましたら」
誰も質問しない…。寂しいなあ…
「無いようですね!」と西川君自ら。
 そして会場のみんなと一緒に「ズーム! イン!」

 報道陣が去り、ヨッピーと西川君の二人になる。

西川「インタビュー、ほとんど使われなかったりするんですよね」
ヨッピー「コミケの話は確実にカットでしょう!」
西川「いや、逆にそこだけ使われるのもアリ。」
ヨッピー「僕もダンボール抱えて向こうにいましたから」
何してたんだ、ヨッピー? あ、取材か。

 ズームインってした後の手のやり場に困ったって言ってた。
そのままアゴにもってきて。
「マンダム。古! ここにいるヤングにはもうわかんないよ!」ヤングって、西川君(笑)。

 オールナイトニッポンの話になる。
ヨッピー「普通、新番組の前にはパーソナリティとスタッフが打ち合わせしている姿をよく見かけるんですけど。西川さんと神田ディレクターが打ち合わせしているの、見たことありません! 番組の内容、決まってるんですか?」
そっか、ディレクターは神田さんなんだ。
西川「何っにも! 放送始まっても決まってない可能性が」
おーい、大丈夫かー?

 この間、机を出したり会場のセッティングをしていたみたい。
普通、こういう時の場つなぎって、進行役が主役にインタビューしたりするもんじゃない?
なんか二人とも進行役みたいで笑えた。

 そして12:30頃、ついにスタート。
西川君「一人一人全員の顔をきざみつけるつもりなんで!」
うわあ、そんなこと言ってくれて…。そこまで考えててくれてるのね…。

 報道陣に囲まれ、一人目が西川君の前に。あ、やっぱり結構ゆっくり握手してる。
やっぱ最初は特別だよね。一体何時にここに来たら一番がとれるんだろう。
 テーブルの前に立っている人達は何だろうと思ったら、握手した人達をどんどん先に進めている。なるほど、押し出し要員のスタッフさん達か。まるでバケツリレーのようにどんどん動かしてるわ。あんな役割が必要なのねえ。
 西川君のすぐ横には、えらく堂々とした体躯のスーツ姿の男性が立っている。きっとSEだね。そのとなりにミナトさん。舞台の降り口の方に、ヨッピー。しかしヨッピーの前を通っていく人達、誰も彼を見もしないぞ。いつも西川君の番組でがんばってくれてるから、できれば挨拶しておきたいなあ。

 意外とスムーズに列が進んでいくけど、思ったよりゆっくり握手している。こんなペースで大丈夫なのか? その一方、スタッフの人達は行列に盛んに「まだ会場に入り切れていない方もいますので、どんどん進んで下さい!」と叫びまくってる。そう言われても、前が進まなきゃいけないんだけどさ。その時は、「まだ入れない人がいるのかあ」くらいに思っていたけど、実は入ってない人の方が多かったみたいね。
 西川君を見ていて、やけに長く握手してるなと思ったら、体の不自由な方だった。西川君ってそういうことしてくれるよね。ミュージックソンで話した目の不自由な男性も来ていたらしい。あと、突然周囲から悲鳴が上がったので何かと思ったら、ヤロレボ君をハグしたらしい! も〜、やっぱり男には態度が違うんだから! 

 並んで待っている間、何だか現実感が無くて結構余裕があった。
何か一言伝えたいけど、そんな時間は無いかも。でも一応、考えておこう。
しかし本当に自分の気持ちを直接西川君に伝えられる日が来ようとは。信じられない…。ウソみたい。
伝えられるのは、一言だけだろう。一番伝えたいことは、何か。
本当は、そりゃもう、「心から愛してます」だけど、ちょっとこういう場では言いにくくて。
で、一時的なファンなんかじゃなくて、ずっと、一生、共に進んでいきたいと思ってる事を伝えようと思った。それもついていくんじゃなくて、彼の力となって共に進んで行きたい事。
「一生、いっしょに行きます」って言おうと思った。

 意外なほど早く列は進み、いよいよ舞台に近づいてきた。舞台へのスロープの手前で係員に整理券を渡す。別の係員さんはカウンターで人数を数えている。スロープを上り始めると、人混みで全然西川君が見えなくなっちゃった。自分の番にならないと顔が見えそうもない。やだなあ、心構えができないじゃないの。
 係員につめろつめろとせっつかれながら、慌ただしく私の番が来た。この辺りから、記憶があやふやになってくる。自分では気づかなかったけど、かなり動転していたみたい。友人達が握手してもらう様子を見たいと思っていたけど、そんなことまるで頭から無くなっていた。
 西川君の前に立ち、彼の手の平が、私の手の平に触れた。

やわらかい!!!

あまりの衝撃に、パッカーーンと思考能力がはじけ飛びましたね、この瞬間。
ふわぁぁっと信じられないほど柔らかく、しっとりして。驚愕の感触だった。
後はもう何が何やら。「柔らかい!!!!!!」だけが頭を占領しちゃって。

 そして動転しきった私は、気持ちを伝えようと必死になりすぎて、あろうことか思わず目を閉じちゃったみたい…。これすら、後になってからそうだったと気がついた。
あーあ、顔、見てないよ…。痛恨! おまけに
「一生いっしょに行きます」と言いたかったのに、舌が固まってしまって、
「一生、い、いし、◎×@△…」と、まともに口がきけなかった。
西川君は、「わかった」と言ってくれた、ような気がする。でも記憶が定かでない。
あと覚えているのは、西川君の手が私の手の中からすり抜けていく感触だけ。
係員さんに押しやられたはずなんだけど、それも記憶にない。

 西川君から離れて、自分では結構落ち着いたつもりで舞台から降りた。でもヨッピーのことは頭から消し飛んでいた。やっぱり無理だったわ、こんな状況で他の人に気を配るの。
 そのまま会場から出ると、外にはホワーンとした雰囲気になった人々が、三々五々静かに固まっていた。泣いてる人達もいる。ライブ後のようなにぎやかじゃなくて、静かに今の感動と余韻を味わってる感じ。そうだよね、すぐにはおしゃべりしたりしたくないよ…。

 後から何度も、あの時の体勢を再現して余韻を味わってた。少し前屈みになって、両手を体の前で合わせる寸前の位置で止めた体勢だった。無言でそういう格好をしていたので、すごくアヤシイと言われちゃったよ。「祈らせて下さ〜い」ってか?
 それはともかく。その体勢で、ふわふわの感触は、私の右手の平に残っている。ということは、私の右手を西川君が両手で包み、西川君の右手の甲に私の左手をかぶせたはずなんだけど。ただひたすら、右手の平で受けた「柔らかい!」という感触しか覚えていない。どんなだったか、見てもいなかったんだなあ。ああもったいない。

 会場から出たのは、13時だった。開始後の待ち時間はたった30分。“終電に間に合えばいいや”くらいの覚悟でいたのでびっくり。おかげでその後はすごくのんびりしてしまい、会場の外で友人達と集まって、感想を言い合ったり、余韻に浸ったり、まだ会場内にいる人達とメールで連絡を取り合ったり。結局17:30頃まで会場付近にいた。いつもライブの時は、終演後急いで帰らなければいけないので、友人達に会ってもお茶したりできずに慌ただしくお別れしていたので、すっごく嬉しかった! 満足満足。

 そうしている間にも、まだ並んでいる人達が情報を寄せてくれた。それによると、14:30頃に4800人済んで1回目の休憩、15分。この時、参加者に片手だけを出すように指示があったそうだが、西川君は最後まで両手で握手してくれたらしい。16:40に13000人済んで、30分休憩。腰が痛くて、あちこちにテーピングしてたらしい。そりゃそうだよね、ずっと立ちっぱなしで、一々お辞儀して握手してるんだから。最初は座ってやるかと思ってたのに、びっくりだった。大丈夫かなあ…。今頃、こんなこと始めて後悔してるんじゃなきゃいいけど、と心配しながら帰途に着いた。

 楽しい一日だった。握手してもらって舞い上がって、大勢のお友だちと楽しくおしゃべりして。
そして一人になって、新幹線の中で今日のことをかみしめていたら、涙が溢れてとまらなくなってしまった。

 「一生」と言って、「わかった」と言ってもらえたこと(少なくとも了解はしてもらえたと思う)。
ずっと一緒に進みたい気持ちを、伝えられた。

 そして何より。目を瞑っちゃってどうやらパニック状態だったらしい私の手を、西川君は係員さんに引き離されてすり抜けていくまで、包んでいてくれた。
西川君からは、離さないでいてくれたの。
ほんの短い間だったけど、最後の一瞬まで大切にしてくれた。
あれだけの人数を前にしたら、サクサク作業を進めることを第一にするのが普通じゃないの?
他の芸能人の握手会経験者には、握手と言うよりタッチするだけだったとか、アーティストが疲れて機嫌が悪くなっていたとかの話も聞いていた。
なのに、あれだけの人数を相手に、「はい次」と機械的に作業を続けるんじゃなしに、一瞬一瞬を大切にしてくれた。

本当に本当に私達の事を大切に思ってくれていると、伝わってきた。
そしたらもう、涙が出ちゃってもう…。
突然ボロボロ泣き出した女は、周囲の席の人達とってはさぞや不審だったことだろう。
でも止まらないんだよなあ…。

 帰宅後、結局握手会は9時過ぎまでかかったと知った。計29821人。
西川君も、参加者も、スタッフも、えらいことだったねえ。
それにしても信じられない。これだけの時間、3万人近い人々を相手にして、
西川君は一人一人の目を見て、言葉を交わし、両手で相手の手を包んで、笑顔で。最後まで。やっちゃったわけね。
人間って、そんなことできるんだ…。


 後で、他の参加者から、しっかり目を合わせたとか、手がきれいだったとか、美しかったとかの感想を沢山聞いた。
でも私は、そういうの全然見てなくて。
 あの時の記憶は、ほとんど無い。目を見てくれたと思うんだけど、どんななお顔だったか、思い出すというより「多分こんな感じ」と想像するしか無い。どんな風に私の手を包んでくれたかはおろか、手を見た記憶すら無い。何を言ってくれたかもよくわからない。状況のほとんどが記憶に無い…。
最初は、この上もなく優しい握手の感触だけで満足していたのだけど、時間がたつにつれ欲って増してくるもので。
私の愛する美しい顔や目や手をしっかり見るチャンスだったのに、悔しー! 残念ー!と、後悔することしきり。
それに早く会場を出られたのはよかったんだけど、その分西川君を見る時間は少なかったわけで。もーちょっと見ていたかったなあとか贅沢な事を考えたりしてしまう。
せめて握手してくれている手くらい見ておけばよかったよ。この西川君の手フェチの私ともあろうものが…。

 でもそれと同時に、あの時の感触が伝えてくれたものが、ますます貴重なことに思えて きた。
 私達みーんな一人一人を、彼は優しく包んでくれてるんだと感じた。
こんなにも大切に大切に思われるなんて…。なんて幸せなんだろう。彼を好きになって本当に良かった。

 あの優しさは、あの場にいた人だけでなく、全てのファンに向けられたものだ。
あの場にいられなかった人達に、なんとか私が受け取った気持ちを伝えたい。伝えなきゃいけないと思う。私達は、彼を愛する全ての人の代表として、直接気持ちを受け取ったのだと思えるから。

 大切な体験も、時と共に記憶が薄れてしまう。こういう時は本当に、人間の記憶力の不確かさが恨めしい。目や耳からの記憶はもとより無いも同然。私に残っているのは、右手の平が受けた「柔らかい!」という衝撃と、西川君の手が私の手の中からそっとすり抜けていく感じだけ。それすらも、だんだんと薄れていく。
 でも、五感の記憶が薄れても、彼からの気持ちはしっかり心に刻んで覚えていられる。
一番大切なものは、ちゃんと受け取れたと思う。
自分の中に消えずに残せるものがあって、本当に良かった。


 しかしまあ、今にして思えば「愛してます!」って言っちゃってもよかったかも〜。
愛の告白した人もいたらしくて、結構感動してもらえたそうだし〜。
どんな顔してくれただろうか。あー、でもどのみち眼をつぶっちゃったら一緒だね。

 それにしてもあの手の平の感触はすごかった。
マシュマロよりもしっとりと柔らかい。ほんっとーにびっくりした。
まるで生まれたての赤ちゃんの肌のようにふわぁぁぁっと温かだった。
握手してもらった誰もが「柔らかい〜!」と感嘆していたと思う。

 あの驚異のふわふわお手々といい、
あんなに深く温かな愛で私達を包んでくれたことといい、
あの日あの場所で私が握手した相手は、天使だったのだと半ば本気で思う今日この頃。

 そういえば私が中学生の時、友人の女の子の手の平がすごく柔らかくて気持ちよくて、
よく触らせてもらったっけ。「ふにふに〜☆」なんて喜んでたわ。
私は昔っからああいう感触には弱かったのかも。
もしあの手の平でナデナデしてもらったりしたら……(妄想中)……きゃーーーー!!
オチない女はいないんじゃないのか!?
たまらないわ〜。