2002.3.17 B★E★S★T 名古屋公演二日目

 昨夜は、前日に続きまたもや三時間しか眠れなかった。でもすごく元気。これがアドレナリンパワー? しかし二日で六時間睡眠…。後がこわい。
 昨日の初日は、あれ以上があり得るなんて私には考えられない程激しいライブだった。今日はどうだろう。少し余裕ができるかな。もっとうまく乗れるかな。でも荒々しさが無くなってしまうのも寂しいな。あんなに凄いライブは初めてだったので、あれ程のものがまたできるのか、少し不安になる。でも大抵2daysなら、二日目の方が盛り上がるのだから大丈夫さと自分に言い聞かせた。

 会場で周囲の参加者を見回すと、以前よりコスプレが減っている。そのかわり、黒と白ばっか。デフロックを着た人が驚くほど多い。ツアーTシャツも黒と白だし。流行に敏感なはずの若人は、この時期もっと軽やかな色合いの服を着るもんでないかい(笑)?
 私みたいな、30代以上の年代の女性がものすごく多い。見回すと、自然に視界に入ってくる。前のツアーの時は、こんなだったかなあ。男性は今日も少なそう。
 入場の列では、偶然にも昨日隣だったお母さんメンバーさんがまた隣だった。とても嬉しそうに声をかけてくれた。今日は髪を赤くしてきたそうだ。娘さんは昨日、とても楽しんで、また行きたいと言っていたって。よかったよかった。それにしても親子連れが多い。すてきなことだ。私ももう5,6年もしたら、子連れで来れるかな。このお隣さん、私も参加した去年のセンチュリーでのライブに参加していて、ほぼ初対面なのに思い出話に花が咲いてしまった。いいねえ、こういうの。
 今日の席は2階13列。これは2階の一番後ろの列。困ったことに、席に着く頃、胃が重いことに気づいた。痛いほどではないが、違和感がある。いやだ、こんな時に。やっぱりこの二日間の無理のツケがきたのだろうか。でも体調不良を、燃えられない言い訳にはしたくない。目一杯、がんばろう。

 開演時間。客電が落ちる前から、ターボコールは今日も健在。そしてスタート! 大歓声。今日もいい感じ! イントロの映像が流れ、画面にLIVE REVOLUTIONと表示される。今日は大歓声が起きた。みんな待ってたんだよね!
 今日は、二回目だし、二階だったこともあり、多少冷静に舞台を見られた。白いスピーカーにライトで色がついたり、野外の時みたいな、花柄風のライトがあったり、ミラーボールが回っていたり。昨日は全然気づかなかったものの多さにびっくり。自分がいかに西川君だけを見ていたかよくわかる。
 一瞬、画面に NOT APPRICABLEと出た。何か不具合があったらしい。でもすぐちゃんとした映像が流れたので、大したことはなさそうだった。よかった。
『WHITE BREATH』は、やはりバンドの生音がかっこよかった。ドラムがズンズン響いてきて気持ちいい。
『アンタッチャブル・ガール』では、今日は「体もちょっと自信ある」のところのセクシーポーズは無かったと思う。ちょっと残念。
『BOARDING』の前、暗転が結構長かった。どうしたのかな、と思っていたら、
『THUNDRE BIRD』の後でMCで、理由がわかった。
 (みんなの盛り上がりがすごくてスタッフも興奮したのか、みたいなことをいって)
「BOARDINGを歌おうとしたら、マイクスタンドがありませんでした!
ものっすごいビックリしました! バカルディのツッコミみたいに(?)『ないじゃん!!』て。
いつもは、リハーサルの時とかも、『しめしめ何の曲かわからないだろう』
と思っていたけど、今日は自分が『あれ!? 次の曲なんだっけ!?』と思いました。
これも名古屋の思い出と言うことで。…そうなるといいなあ! (二度と無いといいなあって感じで。)」
まだ二回目だものね。色々あるでしょう。西川君、焦った様子が新鮮でかわいい。
 興奮したように話していて、時々舌がもつれたみたい。
「かみっぱなしですみません。いっぱいいっぱいなんで。」胸の前で手をくるくる。
「お気づきじゃない方もいるようですが、こう、俺から、出てるわけですよ。こう。こう。」
饒舌に話しているように思えたが、実はもっともっと気持ちがあふれているらしく、それがうまく言葉にならないらしくて、やたら身振り手振りが入る。こんな前半から、すごく気持ちが昂ってるみたい。
「アンケートを見ると、アレンジに気を取られてる人もいるようですが、今までのは忘れて、真っ白で楽しんでください」
「アンケートを見ると、ほとんどウェルカムだけど、中には『楽しかったです。さようなら』みたいなのがいて。どういうことだ、て。アパートから去っていく女みたいな。鍵は置いていきます、みたいな。これからだっちゅうねん!」
「なんとかみんなの心の奥を…(要は心の奥の方を動かしたいと言っていたよう)と思ってやってる」
「どんな顔して来るのかな、と気になってたら。アホな顔ばっか。そろいもそろって。」すごく嬉しそう。みんなニッコニコ顔なんだよね。
「ツアーの最後、名古屋で迎えたときは、次に来るときはドームだと思っていた。でも、ホールサイズの会場を回ることを選んだ。」
「このツアーでは、やろうとしたことを、ちゃんとできるのか確認するために回る。でも、新しいことをしていくのも大事だけど、それより、なにより大切な絆を」(確かめたかった、というようなことを言ったと思う。)
「このサイズの会場でやることにした選択は、正解でした!」すっごく力強く宣言するように。
 特に印象に残ってるのは、アンケートの結果をかなり気にしているみたいな事と、一人一人との心の絆をものすごく大事に思ってくれていること。そしてそれをすごく一生懸命に語る西川君。
『Twinkle Million Rendezvous』では、今日は蒼い光の中に全身が見えて、全然人魚とは思わなかった。やっぱりあれは、あの時あの場所からだけの見え方だったのだろう。
『JUGGLING』、やっぱりかっこいい。『I.D.』『HEAT CAPACITY』を経て『HOT LIMIT』まで怒濤の進撃。西川君、ひたすら煽る。今日は『LEVEL4』の前、じたばたしてはいなかったが、やはり「まだまだいけるか!」とこれでもかと何度も煽りまくる。観客、激しく応える。
そして『Out Of Orbit〜Triple ZERO〜』へ。西川君が、
「カウンターをゼロにしようぜ!」と叫んだ。
 歌の途中、
「みんなでそこに行こう!」と言っていた。本当に、西川君は、私達全員と一緒に行こうとしてくれる。心からそう思ってくれてる。嬉しい。

 ところで、最初の内、私は動くと違和感のある胃を抱え、やはり昨日ほど熱くなりきれない自分にいらだっていた。体だけのことではなく、夢中だった初日と比べ、どうしても冷静になる余裕がでてしまう。自分がライブに没頭できていないようで、いやだった。だから余計に必死に声を出した。そして今日、私の周囲はおとなしめの人が多かった。曲中では時折両手ふりはしても、あまり声は出ず、アンコールの時も、私の列とその前の列では、ほとんど全員座って声を出さずに手拍子だけしていた。さめてる訳ではないようなのだが、自分一人が異常に盛り上がってるようで、時折寂しい気持ちになる。
 時が経つにつれ、半ば体調を忘れて夢中になれるようになった。でもやはり周囲の温度が気になる。昨日と比べて、全体の盛り上がりはどうなんだろうか。
 アンコールではヒヤヒヤしていたが、今日は昨日より短時間で出てきてくれた。西川君が拍手している。
「着替えをしている間も、こんな感じで。」
「お前らようでけてる。」
どうやらアンコールは、私の周囲はともかく、全体にはいい感じだったようで、ホッとした。西川君てばもう、舞い上がってるみたいに嬉しそう。
「さっき食べたカレーうどん、全部出し切りました!(笑)」(吐いたのか!? 激しい運動だったから…。笑い事じゃないぞ?)
「今自分がカレーうどんで動いているかと思うと情けない気がしますが」(あれ、さっき出したって…。あ、じゃあ、エネルギーを発散したと言う意味なのね)
 めちゃカワイイ、ボソボソした言い方で続ける。
「キャンペーンで名古屋に来たとき、カレーうどんが最近の流行と聞いて。エビフライや味噌煮込みにかわる。」(そりゃだまされてるよ(笑))
「アンケートの『好きなアーティスト』の欄にィ、加藤晴彦ってあってェ、「みんな結構柔軟性あるのね」と、切なくなったタカノリ31才の春デシタ。」(デリケートなんだ! 好きなのは自分だけでなきゃいやなんだ!(笑))
「カレーうどんはァ、麺の上にカレールーが乗っていると聞いていたのにィ、だされたのはフツーのカレーうどんでした。更にショックなタカノリデシタ。」
もう大笑い。ブリッコ的というかボクチャン的話し方というか。もうカワイイったら。西川君、壊れてるよ。こんな話し方、ライブで聞けるなんて。
 もうとにかく楽しそうで、嬉しそうで、素になっちゃってて、許されるなら子犬のようにステージ上を転げ回りたいんじゃないかと思うほどはしゃいだ感じだった。

『HEART OF SWORD』みんなが歌うのを聞いて、胸をトントンと親指で叩いている。ちゃんと胸に響いていると言ってくれてるんだろう。
「聞こえてるぞ!」って言ってくれた。
『VITAL BURNER』の途中だったか、今日は上半身の服をすっかり脱いだ。ところが、すそがマイクにひっかかってとれない。間奏の間に必死にとろうとするが、ちっともとれない。スタッフが飛び出してきてやっと取れた。こっちもドキドキしちゃた。西川君はスタッフの頭をよしよしして、大急ぎで歌へ。カワイイ!
「ゲッムーブオン!」の時、他に何か叫んでいるけどわからない。meとかsoとか言ってるけど、英語なのか。ところが後で人に聞いたら「ミソニコミ!」だって! 爆笑! やっぱり壊れてるよ!

 再度退場。即、2回目アンコール。今回も、昨日ほど長くはなかった。
 少し焦ったように、でもにこやかに言う。
「お前ら、よく考えろ。まだ二日目からこんなに飛ばしてどうする? それは俺もですが。」
すっごく嬉しい言葉! よかった、今日もいけてる!
「ライブはいいねえ。」「ライブはいいね。ほんといいね。」
しみじみと、つくづく嬉しそうに何度も言う。でしょう? やっぱり私達なしではいられないでしょう?
 野郎コール。珍しく女の子コールも。ちょっと嬉しい。
「ダイヤモンドホール(名古屋のライブハウス)とかでやってた頃は、野郎なんてちっともいなかった。出っ張ってるやつなんかぜんぜんいなくて、ひっこんでるのばかりだった。それが、ここまできた。」(やればできるんだよ、みたいな感じで、勝ち誇った様に言っていた)
「デビュー前から応援してくれてる人もいれば、つい最近知った人もいると思う。その全員で、ここからスタートできる。」
 話す時、やたらと手を動かす。体をさする。言葉にしきれない思いが溢れてるのだろう。ほんっとーに嬉しそう。話し方が、ANNSの時みたい。MC的な話し方ではない。普段、目の前の人に、熱く語るみたいな話し方。時々下を向いてしまう。涙が出るのだろうか。聞いていると、西川君は本当に、私達一人一人と同じ立ち位置で、仲間だと思ってくれてると強く感じた。恐らく彼は、スタッフも、仲間のアーティストも、私達もみんな、同等な仲間と思ってくれてるんだろう。ものすごく嬉しい。
「めまぐるしく景色の変わっていく時代ですが、これだけ大勢が同じものをみられるのは、ライブだけだと思う。だから今までやってきた。これからも、続けていくと思う。」
「僕のライブに来てくれてる人は知ってると思うけど、毎回アンコールやるわけでもないだろうと思っていたんですが。…もう一曲、いいですか。」もちろんだよ! よし! 今日もやった!
 ラスト『LIGHT MY FIRE』。今日は最初の手拍子は全く起こらなかった。みんな、西川君の声にじっと耳を澄ませている。こんなに気持ちを声に込められるなんて。気のせいか、昨日より西川君の声が大きく聞こえた。と思ったら、マイクから遠ざかって声が小さくなった。そんな揺れが、生っぽくていい。そして客電がついて、ヘイ!の大合唱! 素晴らしいよ! 気持ちが揃ってる! 私も目一杯、両手を突き上げる。このサイズの会場を選んでくれて良かった。こんな二階の奥の席では、私がどんな顔をしているかはわからないだろうけど、この振り上げた拳は絶対に彼の目に映っている。しっかりと、彼と私がつながっていることを感じた。嬉しかった。
 そして終幕。またバンドメンバーと手をつないで、礼。私も隣の人と、ちょっと強引に手をつないだ。おとなしい感じの人だったけど、嬉しそうだった。今日もファイナル並の達成感。
 西川君退場。今日は、最後に三回目のターボコールも、少しできた。すぐ客電がついて、長くはできなかったけど、それでも少しでもできてよかった。やはり終了時間が問題なのかなあ。

 終演後は、今日もものすごい虚脱感だった。progressのファイナルの時は、身体が喜びで爆発しそうだったのに、随分と違う反応で、とまどった。「盛り上がる」ことを意識しすぎて無理な力が入ってしまい、疲れちゃったのかもしれない。
確かに昨日と今日は、西川君が投げかけた思いをしっかり受け止めて返す、と言うより、受け止めもせずジャストミートで打ち返してた感じだった。次の時は、もっと自然にわき上がる喜びに身をゆだね、楽しみ味わうことを第一にしてみよう。
 とはいえ、二日間、私は最高に幸せだった。あのがむしゃらな熱狂は、初日・二日目ならではの凄さで、奇跡的な経験だったと思う。これ以上の盛り上がりなんてあり得るのかと思えてしまうが、それをやっちゃうのが西川君なんだよね。
いつもいつも、未来に希望を与えてくれる西川君。あなたに会えて良かった。

 どの曲の時のことかわからないけど、印象的だったこと。
昨日はあったのに、今日は英語歌詞の歌は無かった。やっぱり、即興だったのか? 「歌詞がとんだのをごまかして英語に走ったのでは」ともっぱらの噂だったけど、そうだったのかな。それならそれで、すぐそれっぽく歌えるのは、すごいと思うぞ。あー、そういえば、sadsのライブに飛び入りしたとき、二人で英語の歌を歌ったけど、歌詞めちゃくちゃで、それがまた楽しかったって言ってたっけかな。
 一瞬だったけど、マイクを使わずにシャウトしてた。演奏と歓声の轟音の中、西川君の肉声が、二階の一番後ろの私の耳にちゃんと届いた。すごい。
 勢い余って転げそうになったり、楽しいMCを一杯してくれたり。昔のライブって、こんな感じだったのかな。わたしはeからの参加なので、そういう経験が無い。聞いた感じでは、西川君のライブって、ドーム以前と以後ではかなり違ってるみたいに思う。昔の気持ちに戻ったのだろうか。

 今日の西川君は昨日よりリラックスしたのか、更に嬉しそうだった。あんなに幸せそうで喜んでる様子は、かつて見たことが無かった。MCの時など、嬉しくって、全てのかまえを解いて、全く素の一人の人間として立っている感じだった。
 名古屋初日・二日目とも、すばらしいライブにできてよかった。恐らく、
「自分がいるべき場所はここ(ライブ)だ」と、あらためて確信させることができたと思う。それはすごく感じた。そんなライブを、この「クール」だと言われた名古屋でできた事が嬉しい。彼をあれだけ幸せそうにさせられた自分たちが誇らしい。

 今回のライブもだが、西川君は折に触れ、本当に「嘘が無い」と感じさせてくれる。これが一番嬉しく、感動する。「こんなに真っ正直で大丈夫なの?」と思える程。嘘がないと信じられるから、私達も熱くなる。全力で応えようと燃える。あんな凄い人が、生身の一人の人間として、心をさらけだしてぶつかってきてくれる。愛をひしひしと感じる。

 アンケートは、今日も具体的な感想は書けなかった。『好きなアーティスト』欄には、好みのバンドの名前を書いたけど、欄外に「好みなだけ。愛してるのは西川君だけよ!」と書いておいた。良かった曲は、JUGGLINGとTMRとLMF。ちょっと申し訳ないと思うのは、アレンジが強くて、原曲と大きく変わった曲を「よかった曲」の中に入れなかった事。でもやっぱりTMRとLMFは外せないよ。
 今回のアレンジは、とても心地よいものだった。もっとアレンジが多くてもいい。むしろ普通に歌える曲が多かった事に驚いた。昨日の終演後、廊下で記者さんらしき人の「もっと先を見たい…」とかいう言葉が耳に入った。きっと、まだ変化を抑えているなと思ったのだろう。でも、ここまでで踏みとどまってくれて、後半に一緒に歌える曲を並べてくれたので、皆思いっきり溜まった思いを発散できたのだと思う。とても楽しかった。

 帰りの電車で、近くの席にツアーTシャツを着た親子が座った。電車を降り際、にこっと会釈すると、あちらもちょっと恥ずかしそうに会釈してくれた。うふふ。あったかい。