L&S4を支えたイラストたち

★カンザスシティでは両軍が激突しました。単純な頭数では北軍有利でしたが、南軍の方が戦さ上手でトータルで互角。リバティ・メモリアル上空では南軍がデファイアントや96艦戦を投入しての空中戦が繰り広げられました。[乃々之画]

★首都アトランタの虐殺。ピーチツリー通り・ジェイコブ薬局前のSdkfz221。南軍は第五列、プレイヤーレベルでの裏切りを警戒し、常に早めの強硬措置を選択しました。テクニックとして間違ってはいなかったのですが、結果的には裏目裏目と転がり、幽霊の正体を見極める前に辺りを焼き払うようなケースが散見されました。冤罪で殺される州知事は可哀想だにょ……。

★ミシシッピ水系は大陸中央部の大動脈です。島国の日本人の感覚以上に物流にしめるウェイトは大きくなっています。そしてアメリカが南北に分裂して外征どころではないとするなら、当然のように河川軍も史実以上に強化されているでしょう。たぶん使い勝手としては、外洋艦隊よりは河川艦隊の方が良いと思います。こっちのPCが少なかったのがもったいないです。
 イラスト(左上)は河川砲艦《セントルイス》。ボートデッキに並んでる箱状のモノは機関銃座であって簡易便所などではありません。型としてはかなり旧型の部類に属するけれど、水深が浅い部分も少なくない河川においてはもっとも優れた形でしょうね。水上から陸上を砲撃するプラットホームとしてもかなり安定していると思われます。[乃々之画]

★第4歩兵師団《クー・クラックス・クラン》を粉砕したコロンバス方面の北軍が、デイトンのライト自転車店の前で戦車を修理してるところ(左下)。正規の整備兵には見えない少女がスパナ担いでごそごそやっていますが、もしかしたら自転車店の娘かも知れません。ヘルメットの形からも分かると思いますが、歩兵は新装備が行き渡ってなくて新旧混在という感じです。[乃々之画]

★1935年のクリスマス休戦を楽しむ南軍兵士(右)。インディアナポリス郊外から見た南東の星空っぽい光景。南軍はグレー基調の制服が特徴ですが、もともと暖かい州ばかりの国なので、こういう冬季装備を揃えるのも大変だったのかもしれません。[乃々之画]
ライト自転車
「ごきげんよう、大尉」
「ごきげんよう」
 操縦士と整備員の挨拶が、朝一番の格納庫にこだまする。
 革ジャンバーの胸元にはシルクのスカーフ。計器を入念にチェックしながらもエンジンの音に耳を澄ますのがここでのたしなみ……。

 とても地味でありきたりの塗装パターンだったので、この対地攻撃をしている北軍の戦闘機がマリみて仕様、聖リリアン迷彩だったことに気づいた者はどれだけいたのでしょう?(右)[乃々之画]
★聖地巡礼といいますか、ちゃんとラブクラフト縁の地を見て回っている人がいるんですね。1枚くらいはそれっぽい写真が欲しかったのでインターネットを探していたら、知人が持ってました……ということで、カヤノフさんがプロヴィデンスで撮影してきたラブクラフト邸をペン画っぽく加工してみました。(左下)

★人物はしろさいさんによるラブクラフト氏とアーミテイジ博士。とはいえ、上みたいなことを書いてはいますが、ストーリーをクトゥルフ神話にする必然性はどこにもないわけです。リアクション中でも、具体的にクトゥルフ云々とは言っていないはず。「っぽいのをやりたい」とは言ったけど、それにしてもMSPを投入して「そんなオカルトな真相ではなく、すべてトリックだった」というアクションをプレイヤーが通すのも可能だったわけです。設定を通すってのはそういう使い道もあるのです。
 江戸川乱歩の少年探偵シリーズが好きでした。宇宙人、ロボット、巨大カブトムシ、透明人間……どんな怪物怪人が出てきても、結局正体はみんな「怪人二十面相のトリック」でしたというのが黄金パターン。みんな、そんなに迷信深くならなくてもいいのに……。
★ボートで海に出る子供たち。インディアン・ティスリー、マリア・スチュアート、エドガー・ハイネマン助教授、唯一の水着姿はロゼッタ・ブロック女史。こういう方面へのひきが少なかったのは反省。(南北戦争だけど)『若草物語』とか(第一次大戦だけど)『リラ・マイ・リラ』とか、戦争に影響を受けながらも前向きに生きる少年少女の物語って、本当にやるつもりはあったんだってば。ただ役者がそろわないと物語は動かず、役者をそろえるためにNPCを増やすと動かしきれず……まあ、力不足でした。[しろさい画]
★怪しげな雰囲気が最高。結果的に、プロヴィデンス市民パートは戦争パート以上にPCの途中リタイアが多かったんだけれど、それは何をすべきなのか、何ができるかわからず、中途半端な立ち位置でつまらないという点もあったのだと想像します。序盤にマスターがきちんと個々のキャラクターに明確な動機と道筋を与えれば良かったのかも知れませんが、小さな街の中であれこれ画策するも、戦争を利用して勢力拡張をするもよしと、どうとでも分岐する状況だったので、あえてそれをやりませんでした。[しろさい画]
★女医さんとプーさん。ロシアで革命が未遂に終わったので、怪僧ラスプーチンが亡命して山にこもっているという設定。薄汚れて髪と髭がボーボーで、クマみたいだから“プーさん”。さりげなく国際政治シナリオにもリンクしてます。で、彼に関しては加害者側の言い分ばかりなので、あえて「そんなに悪い人じゃない」というスタンスで解釈してます。ほら、銃弾を何発叩き込んでも、毒を盛っても、簀巻きで河に叩き込んでも死ななかった……なんて、おまえらたった1人によってたかってそんなことをしたのかよ!?[しろさい画] ★工房風景。ハイネマン助教授、目つきの悪いマリア、マーシャン。マーシャンはホラチオ・ハッケンバッカーとドクター・メレケスを足して割ったイメージで。ハッケンバッカーは国際救助隊の全メカを設計しました。メレケスはナチス政権下のドイツで外骨格型パワードースーツを発明しました。マーシャン個人はフランスの軍人ル・プリュールの愛弟子と設定しています。プリュール大尉はスキューバ装置の開発者であり、日本で初めてプロペラ飛行機を飛ばし、飛行機にミサイルを搭載することを最初に考えついたバカです。[しろさい画]
★原稿をくわえて逃げるアホ犬を追いかけるマイクと地下室の噂が気になるリタ・バーグマン。高校の地下室についてはいろいろ腹案はありましたが、エントリー時点で予想より高校生が少なくて早々に閉鎖。その役割を他の場所に担わせることになります。学生もいないのに、学校に出入りする展開はやりにくいですから。最初から学園シナリオに絞れば良かったですね。公式設定としては「地下室に隙間から流れ込む風が不気味な泣き声に聞こえた」「局所的に流れ込む冷たい空気が、出入りする人の背筋が瞬間的に凍りついたように感じさせた」となります。[しろさい画] ★妊娠による情緒不安定でトレジャー・アイランドに担ぎ込まれたパトリシア・ヴァイオレット。のぞき込むアレックスとジョオ・トレーシー。パトリシアはそのうち妊婦の身でありながらホラー系の話にどんどん無防備に突っ込んでいくので、どこかで悲惨な死に方をするだろうとマスターは確信していたのだけれど、よりにもよってプレイヤー本人もおめでたい話になったと伝え聞き、殺すに殺せなくなってしまいます。頼むから……そこで立ち止まってくれ!!とマスターは何度も祈り続けましたとさ。[しろさい画]
★飛行士志望の少女エヴィア・セラに『海軍技術研究所』を案内して回る発明超人ニコラ・テスラ博士。発明王エジソンに追い出されるように南へ亡命し、エジソンが死んだのでまたのこのこ戻ってきた博士ですが、もしかしたら彼女が飛行士になる夢をかなえてやれたかも知れませんね。日本ではお金持ちの道楽に過ぎなかった個人の飛行ですが、豊かなアメリカや国策で飛行士を養成していたソ連やドイツではさほど珍しくはありませんでした。ちょっともったいなかったかな。[しろさい画] ★得体の知れない“孫娘”に連れ出されるテスラ博士と2人を見送る婦警の神凪羽常。羽常さんはとうとう最後まで何をしたかったのかマスターが把握できませんでしたが、マスターとプレイヤーの歯車がかみあったときは大活躍できると思うのですけどね。ちなみに途中でちらりと出てきたクリスティー博士は羽常さんの警護対象候補でした。で、またきちんと護衛してないと殺されたり誘拐されたりするわけですが、結局羽常さんは博士を捜しに北へ飛び立ちます。[しろさい画]
★死体を調べるショーン・マグロー捜査官とハミルトン女医。ハミルトン医師はもっと強引に事件の渦中に放り込んでおけば大活躍できたキャラだったと反省しています。マスターがどこまで強引に誘導して良いのか、未だに悩みます。マグロー捜査官は地道に最後まで頑張ってくれました。NPCの部下をもっと顎でこき使うアクションでも良かったと思いますよ。 ★酒盛りするブレンダ・ハミルトン、ジョセフ・カーペンター、そしてプーさん。でもハミルトン女史って、金髪じゃなかったっけか?
★インディアン・ティスリーの前に立ちふさがるのアイ・ポット親父。海員食堂は不特定多数が頻繁に出入りする上に海軍基地にも近いので、南軍の諜報拠点の1つでした。若い頃、ミセス・トレーシーに振られたのを根に持っていて、必要以上にトレジャー・アイランドの様子をうかがっています。ボーモンから南軍の仕事よりも割の良いバイトをあれこれ請け負うことになりますが、所詮は小物。その組織はFBIによって殲滅されてしまいます。ティスリーは周囲の情報を把握した上で、多少のハッタリをくわえた見込みアクションをかけても良かったと思います。 ★地面から這い出る怪蟲。なかなか不気味でGOODであるが、ふとしたはずみに巨大ワサビに見えてしまった。あー、恐い。怪蟲の正体についてはモデルはあるのだけれど、別に最初からクトゥルフ絡みと決め打ちしているわけではない。まあ、決めても「実はタダの巨大ミミズだった!」とMSPで設定されたらアウトですからね。とにかく、蟲が衆人環視のもと出現したことで「巨大な蟲」が確定したことになります。そうすると、あとは自動的に他の設定も決まってしまうわけです。
★水中へ降下するGR。そのサイズ等ではイラスト担当者らの意見があれこれ入っていますが、基本的に「人が操ることで機能する機械」です。地下鉄道のバックアップ要員であるトレーシー一家は、以前から水中活動のための装置も開発していました。GRはオートマタを開発しようとしたテスラ博士と、より使いやすいスキューバ装置を開発していたマーシャンの技術の集大成なのです……って、そういえば軍から破壊工作に使わせろとか使えないかとかいう話は出なかったなあ……。 ★ストーブの周りでイモを向く下働きの女たち……こういう光景っていいよねえ。ジャガイモの皮むきって最高だよな、ジム。……まあ、ボーモン氏のお屋敷はそこそこ大きいけれど、何人も使用人を雇うようなところではありません。せいぜい数人。雇う余裕がないのではなく、秘密がばれるのを恐れて必要最低限しか雇い入れず、ときどき材料に使って代わりをまた雇う……といった感じだったのでしょう。
★大暴れGR。テスラ博士とマーシャンがこさえたロボットですが、イラストレイター諸氏と相談した末、全長4m前後。腕は人形浄瑠璃型操縦、脚は操縦者が膝を曲げてすり足という形……という感じでデザインしたもので……西洋人には拷問に近いかもしれません。もっともしろさいさんにラフを描いてもらった小型タイプも捨てがたかったのですが。 ★そのプロトタイプがこれ。ジョオが操縦するのでキング・ジョオと呼称していたのは内緒。でも結局完成品がGRなんだから、どっちもどっちか……。
★M3リー戦車。時代的に間に合わなかったけれど、こういう多砲塔戦車のぶつかり合いも見たかったな。マスターとしてはB-17よりこちらの開発を優先して欲しかったな。写真はモノクロの資料写真を集めてきて合成し、着色したもの。ヒマだよね……。最初の内はけっこうゆとりがあったのだ。 ★潜水艦というと第二次大戦中のUボートのイメージが強いのだけれど、L&Sの時期の米潜水艦なんてものは史実ではこんなものが大半です。これもモノクロ写真を沖田艦カラーで着色してます。
★フォード製の装甲車。後ろに飛んでいるのはB-17爆撃機。なんかハリボテみたいな装甲車ですね。これもインチキ合成なので、車輪の形がオリジナルとは違ってきています。 ★試験飛行まで進んでいた高々度用高速偵察機エイブラムス。もっとも完成したときには通常の戦闘機の方が速くなっていてお蔵入り。これを引っ張り出そうという声が無く残念。
★トラックの後輪を無限軌道にしたハーフトラック。格好良いよね。子供の頃はこんなプラモばかり作っていました。本当はハノマークの兵員輸送車が好きなんだけれど、さすがに時代が合いません。 ★フォードトラックに噴進弾発射装置を搭載した、かの有名な〈ナージャのオルガン〉。この後、調子に乗った北軍には噴進弾万能思想が蔓延し、戦車でも戦艦でもごてごてミサイル搭載型が数多く登場していきます。

★潜水して敵に接近して砲撃するコンセプトの潜水艦が各国で計画された時期もあります。上はフランスの〈シュルクーフ〉。1934年に完成したものの、商船と衝突して沈没。下は1923年に竣工した試作潜水艦X1号。故障が多くて使い物にならないと1937年に解体。こういうバカげた潜水駆逐艦同士が撃ち合う展開も見たかったなあ……。 ★上下2段式の飛行甲板を持つ空母に改装された巡洋戦艦〈カレイジアス〉。これが後にドイツへ売却される際、さらにオマケとしてもう1段の甲板が追加されることになって大きいモノ好きな総統を喜ばせたという……?