突撃クラブレポート'90改

探偵・推理小説研究会にて

「私は今、文科系クラブ会館の一室にある、探偵・推理小説研究会の部室の前に来ています。さぁ、カメラさん、用意はいい? おじゃましま〜す。突撃クラブレポートで〜す。今日はよろしくお願いします。まず、貴方のお名前は?」
「私の名は水沢智明。学園の金田一コウスケとでも呼んでいただこうか」
「探偵さんみたいですね。それにしても、何か凄い部屋ですね。床中に紙が散らばってるし、これは安楽椅子ですね。座り心地が良さそうだわ♪ あと、壁一面に本がズラリと並んでて、ファイルノートの山があって…」
「これらは総て、古今東西の推理小説や、現実の事件のファイルといったものなのさ。あと、探偵につき物のパイプや虫眼鏡のコレクションも、これこの通り…」
「わぁ〜、凄い数! 本当に映画にでも出てきそう。え〜っと、普段はどんな活動をなさってるんですか?」
「そうだね、我々は、例の密室殺人事件を始めとして、様々な事件を解決すべく精力的に活動している。一部の生徒は安楽椅子に座って、ひがな一日何かを考えているようだが、私は彼らが事件とは関係ないことを考えていると推理している。やはり探偵は行動が第一である。たとえ無鉄砲だと思われても、真実の為ならば迷わず行動すべきだ」
「あら、それだけじゃないでしょ。片想いの生徒の相手の素行調査とか、ライバルの弱点の調査とか、依頼さえあればなんでもやってるじゃないの」
「あれぇ? 確か、どこかでお目にかかった事があるような気がするんですが…」
「多分、選挙のポスターじゃないかしら」
「あぁ、生徒会役員選挙のポスターですね。お名前は確か、シモーヌ…」
「シモーヌ・ウィンドよ。副会長に立候補してるので、投票の時にはよろしくね!」
「今頃、何しにきたんだ?」
「ご挨拶ね。私だって部員の一人なんですからね。もっとも、最近は選挙の事で忙しくって、滅多に部室が覗けないんだけど」
「あのぉ〜、取材を続けていいでしょうか?」
「どうぞ、私も同席させていただくわ」
「では、探偵・推理小説研究会には、どんなタイプの方が多いんでしょうか?」
「そうだな。我が部は、(ちらっと横を見て)一部の例外を除けば正義と真実をこよなく愛する人々で構成されている」
「そうね、そういう人もいるわね。でも、どちらかというと、変わった人の方が多いわね」
 秋山の皮肉を、シモーヌはまったく気にする風もない。
「今日はありがとうございました。それでは最後に、視聴者の皆さんに何か一言お願いします」
「推理するなら探偵・推理小説研! この、無数の事件で溢れ返った蓬莱学園に入学したのに、これを推理せずに一体なにをする!! 我々探偵・推理小説研では、年中無休で部員を募集中であります。同志は多い方がいい。入部しようと思った方はすぐに部室へ! 心優しい先輩達が暖かく迎えてくれることだろう」
「どうだか… きっと我が部からはそのうちに死者がでるわ」
「シモーヌ君! 何て事を言うんだ! 君は我が部にうらみでもあるのかね?」
「あら心外ね。私は本当の事を言っただけよ。正義と真実を追い求めるんでしょ? なら、嘘はいけないわ」
「嘘をつくつもりはない。だが、君のその言い草は何だ。それでは新入部員に、来るなと言っているようなものではないか!」
「そうかしら? この学園に入学して来るような生徒よ。これくらい言った方が効果的じゃないの? じゃあ私、忙しいのでこれで失礼するわ」
「おい、シモーヌ! 逃げるか!」

 バタバタ バタバタバタ…

「あぁ〜あ、行っちゃった。ここらはカットした方がいいのかなぁ…? まぁいいか。部員にはこんな人もいるって事で、提出しちゃお♪でもって、クレームは先輩に任せちゃお。以上、探偵・推理小説研究会から、夢宮はるながお伝えしました!」


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