「美しさ、緊迫感、躍動感」全てが完璧に揃っている。
ピアノ・トリオの真髄を堪能できる2枚組。
「三位一体」という言葉がこのグループにこそ相応しい。
"STILL LIVE"
KEITH JARRETT(p), GARY PEACOCK(b), JACK DeJOHNEttE(ds) 
1986年ライヴ録音(ECM J52J 20215/6 2枚組)

STANDARDS が結成されたのが'83年というから、3年目の一番脂ののっている時期だろう。最高傑作の呼び声も高い、STANDARDS の傑作ライヴ盤。KEITHの傑作、数ある中で、僕のお気に入りでもある。掲載がすっかり遅くなってしまったが。

グループ名に表れているようにスタンダード・ナンバーに果敢にチャレンジしている。収録曲もジャズ・ファンなら一度は聞きいたことのある曲ばかり。
最近、STANDARDSのヒットを真似て、次々に似たようなスタンダード・ナンバー満載のアルバムが世に出てくるが、その完成度や音楽に対する取り組み姿勢が比較にならない。「柳の下の2匹目のドジョウ」宜しく、「売らんがな」の姿勢見え見えのアルバムが多い。このアルバムと比較すること自体おぞましい。そうしたアルバムはこのコラムでは極力排除しているつもりだ。

「美しさ、緊迫感、躍動感」全てが完璧に揃っている。そして、3者の力強いインタープレイが展開される。軽快でアグレッシブなドラムス、強靭なピチカートで唸りを上げるウォーキング・ベース。そして、ほとばしるピアノのフレーズ。この3者が魂をぶつけ合い、そこから発生するエネルギーが音楽として形を作っていく。このグループにこそ「三位一体」という言葉が相応しい。
ピアノ・トリオの真髄を堪能できる2枚組。ピアノ好きなら買って損はないはず。同じく2枚組で1999年録音の "WHISPER NOT"(JAZZ批評 4.)と肩を並べる名演・名盤である。

収録曲は以下の通り。
DISK1:"MY FUNNY VALENTINE","AUTUMN LEAVES","WHEN I FALL IN LOVE","THE SONG IS YOU"
DISK2:"COME RAIN OR COME SHINE","LATE LAMENT","YOU AND THE NIGHT AND THE MUSIC/EXTENSION","INTRO/SOMEDAY MY PRINCE WILL COME","BILLIE'S BOUNCE","I REMEMBER CLIFFORD"     
「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2002.06.08)



.
KEITH JARRETT / STANDARDS

独断的JAZZ批評 75.