コラムタイトル

 

Spring 1979, My 1st 西新宿 experience

1979年3月、学校を休んで家族で東京へ来ていた。
埼玉の叔父が晴れて彼女と結婚する事になり大宮で行われる結婚式に出席する為に上京したのだ。
羽田に着いて次に向かったのが西新宿だ。
3月中旬の東京は思った以上に暑く人ごみも凄い。
叔父の案内で「Kinnie」にたどり着いた。
思った以上に狭い店内に人が入り乱れて物凄い混雑だ。
「今日は平日だろ?こいつらこんな昼間から何やってんだよ!」
とか思いつつ、半年前とは段違いの知識を仕込んで事前にあたりを付けていたレコードを探し出した。
「ザクとは違うのだよ、ザクとは!」
(「ガンダム」の放送開始はこの約1ケ後なのだけれども)
今回のセレクトは内容的に間違いの無いものばかりだ。
『From Us To You / A Parlophone Rehearsal Session』
『Back In 1964 At The Hollywood Bowl』
『Sweet Apple Trax』
『Watching Rainbows』
そして、クラスメートの後君には『More Get Back Session』を。
家族が「まだか?」とせかす。
再短時間(至福の時なので体感時間は短けれども相当な長時間かもしれない)で、ターゲットを発見し、レジに急ぐ。
「さらばお年玉!愛の戦士たち」
(「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」はこの前年の8月に公開。泣いた)
とほぼ全財産を投資した。
せかす家族のプレッシャーは非常にタイトだったけれどKinnieには『Cinelogue : Help!』の在庫が無かったのでDiscRoadへと移動。
『Cinelogue : Help!』を探す途中に『Watching Rainbows』を発見した。
2,980円!
1,880円が相場の西新宿でこれは高い!
じゃなくて、実は10分前にKinnieで4,980円で買ったばかりだったのだ!
「廃盤」の文字があったものだから清水の舞台から飛び降りたのだ。
おいおい。2,000円も違うのかよ!
こいつぁ高い授業料だなぁ。
翌日、叔父の結婚披露宴でトム・ジョーンズの 'Love Me Tonight' をエレクトーン演奏し、その後、親戚と一緒に熱海の温泉へ、更に京都へ。
京都のホテルのエレベータではドス・カラスと乗り合わせた(彼は前年の8月に初来日したのだった)。
京料理の味の薄さは田舎育ちの自分の舌には全くあわず西新宿で購入した「至高の宝」もレコードプレイヤーが無ければ宝の持ち腐れ。
こんな状態で旅行が楽しいわけがないのだ。
熱海のホテルでは、安全ピンをレコードに擦り付けて耳をそのそばに近づけて、なんとか溝に刻まれた音を聴こうと試みたりもした。
4日間もおあずけをくらったわけで、それはそれは恐ろしく長い時間だった。