コラムタイトル

 

Summer 1978, My 1st BOOT experience

ビートルズの「海賊盤」の存在を知ったのは中1の頃、1978年の夏。
「ヤングロック増刊 THE BEATLES STORY(マーベル社刊ビートルズ・コミックス独占掲載)」 と言う本の66ページにあった広告だ。
「日本一安いプライベート盤はレコードハウスKinnie」「貴重盤」のコピーとともに 聞いた事の無いタイトルのアルバムに、見た事の無いジャケットが満載。
しかも1枚1,880円(当時の国内盤LPの相場は2,500円だった)。
この広告に掲載されたレコードの事が気になって仕方が無い。
こんな気持ちはブルース・リーの映画観たさに落ち着かなかった1974年以来だった。
埼玉の叔父がお盆に帰省したのは千載一遇のチャンスだった。
彼女同伴で帰省していたので更に都合が良かった。
彼女の手前、叔父さんは気前よく新宿へ行ってレコードを買って それを郵送する事を承諾してくれた。
しかし、たくさん掲載されている中からどのレコードを選ぶのかは非常に悩んだ。
叔父にお願い出来るのは3枚が限度。
予備知識が無いから当てずっぽうなわけだけど、 日本人だから『オン・ステージ・イン・ジャパン・66』、 1974年には解散しているよなぁ、どんな曲が入っているんだ?
で『ライブ・イン・ロンドン・74』、 「未発表曲集」の表記が決め手で『アズ・スイート・アズ・ユーア(未発表曲集)』 を選んだ。
1ケ月程経ってレコードが送られて来た。
オレンジ色の紙に1色印刷された紙が封入された簡素なジャケットに愕然としつつ、 レコードに針を落とした。
どの順番で聴いたのかは憶えていないけれど、 『オン・ステージ・イン・ジャパン・66』以外の2枚は 短波放送を録音したような音質だった事に驚いた。
『On Stage In Japan』 アンプ・チェックでBBBEE~~~~(実際は半音下げてあるけど)と弾く これだけで「なんだかプロっぽいなあ」なんて重いながら 1曲目の 'Rock and Roll Music' は非常に軽めの演奏で 「別アレンジだ。これは聴きやすい」とか思った。
今思うとトンデモ無い感想だなぁ。
『As Sweet As You Are』 音質はイマイチだけど、何せ14曲中「未発表曲」が13曲。
A面トップの 'Please Don't Ever Change' や 'Crying, Waiting, Hoping ' 'To Know Her Is To Love Her' が凄く良い曲だし、 正規盤並みに聴きまくった1枚。
『ライブ・イン・ロンドン・74』 は1974年とは全く関係が無かった。
『The EMI Outakes』が便宜上正しいタイトル。 A面には 'Penny Lane' のトランペット・エンディングや 'All My Loving' のハイハット・イントロなど「通好み」な曲や、 'What's The New Mary Jane' のような「?????」な曲も収録。 B面はTV番組「Around The Beatles」から 'Shout' を除く全曲。
(何故に唯一の未発表曲だった 'Shout' がカットされたのか......)
しかし、4人が1曲ずつロックンロールを歌い、続いてシングル曲のメドレー。
これは聴き応えがあった。
「ハズレ」の中にも「救い」があるこのレコードには 「海賊盤の悲哀」を勉強させてもらったなぁ。
あ、今思えばこれは(B面は一応)『ライブ・イン・ロンドン・64』なわけだ。
『74』が『64』のタイプミスだったんだなぁ。
31年も経った今頃気づいた。