|
| ||||||||
| トランプ2.0のアメリカ | ||||||||
NHK
| ||||||||
| 今の日本の政治状況を眺め渡すうえで微妙に連関してくるところがあるように思われるドキュメンタリー番組をNHKプラスで三本続けて観た。 先に観た「真実をめぐる攻防 ~アメリカ ファクトチェックの最前線~」の初回放送は1月30日(金)。トランプ大統領が出鱈目なことを放言するのは、毎度のことではあるように思うが、その例示として最初に挙げるのをタイレノール【薬品名】にまつわる発言にしたのは、どういう思惑からだったのだろう。その先への踏み込みはなかったのが残念だった。 思いつき発言を繰り返すトランプスタイルは、そのまま我が国の首相と重なる。そして、それが一般国民の支持を得る有様を見るにつけ、日本がとことんアメリカナイズされていることの成れの果てを観る思いがする。 一時間の演説のなかリアルタイムで事実と異なると確認できる発言が14件もあるというとんでもないレベルは、さすがに安倍・高市をも上回るペースのように思われるが、事の重大さは、それがトランプ陣営に限られた話ではなくなっていることだ。極論どころか虚偽論が巷に溢れかえり淘汰されずに拡散されている混沌の生み出す、実に不毛で醜悪な社会の出現に、呆れ返らずにいられない。トランプの犬は、高市の鹿とも重なる典型と言えることなのだが、その発言の出鱈目さを指摘することが非難を受ける歪んだ構図までもが日米の相似性を映し出していて悲しい。 清和会系政権による急進が止まらない日本の米国化は、いったい何処まで行くのだろう。ネット空間が出現し存在感を増し始めたときに問題になった構図は、リアル対ヴァーチャルだったが、今や完全にリアル対フェイクに堕してしまっている。批判と中傷を区分する認識界を保持するだけの知性を獲得できない人々の発言が野放図に垂れ流されていて、本当に醜悪極まりない。 続けて観た「トランプ2.0 アメリカ“黄金時代”の実像」は、昨年のフランス番組だ。「就任から半年で、バイデン前大統領が4年間に署名した数を上回る171の大統領令に署名したトランプ大統領」一つとっても“責任ある積極政策”とは言えない、吟味なき思いつき政策であることを露呈しているわけだが、暴走は今なおエスカレートするばかりだ。 先に観たNHK制作番組ではなく、フランス制作だけに痛烈だった。リベラル勢力を生み出す大学と移民とを目の敵にして支持層を煽り立てる手法は、我が国でもそのまま取り入れられて先の総選挙でも結果を出していた。LGBTQに関しても、そっくりそのままのように感じる。日米で違うのは、暗殺されたのが、扇動者のチャーリー・カークなのか、権力者の安倍晋三なのかということくらいのように思える。 それにしても、大学研究における助成金カットを武器にした言葉狩りの露骨さには唖然とした。こんなことを罷り通らせているアメリカを見上げれば、傍で飛び跳ねて喜ぶ日本の現政権が何を始めるかは火を見るよりも明らかな気がしてくる。 翌々日に観た「ハルマゲドンを待ち望んで 米国政治を動かす“福音派”」は、ノルウェー・スウェーデン・ドイツ・フィンランドの合作による三年前の作品だ。“福音派”とは、ルカによる福音書22章を根拠に戦闘を称揚し、イスラエルのパレスチナ支配を全面的に支持し肯定して、イエスの「再臨」を熱望する人々だ。トランプ政権のいわゆる岩盤支持層となっている人々でもあり、彼らが政権に深くコミットしている状況を映し出していた。まるで旧統一教会と自民党清和会の関係と瓜二つのように感じた。キーワードは“選挙”だ。何とも醜悪なものを観たという気がする。 彼らに支えられた政権によるアメリカがかつてのアメリカではなくなっているように、清和会系が主流となった自民党は、かつての自民党とは異なる政党になっている。ハルマゲドン(最終戦争)を熱望して武装に努める愚劣な勢力に与することなく、対米従属・追従から脱する術はないものだろうか。福音派でもない米国民でもない日本人であってさえ、トランプ支持を問われもせずに公言する輩がネットに溢れている摩訶不思議さからすれば、アメリカ社会のほうが再び理性や知性を取り戻すなどということは、到底困難に思えてくる。 宗教であれ、社会信条であれ、妄信する者につける薬はないものだろうか。その妄信を利用して権力を得ている者が煽り立てるなかにあっては、ますます困難に思えてくる。言語学者ノーム・チョムスキーが自国をならず者国家と呼んだのは、同時多発テロ事件当時のことであり、福音派に支えられたブッシュ政権下だったが、今や四半世紀前とは桁違いのならず者国家に成り下がっている気がする。同性愛者やトランスジェンダー、妊娠中絶に対する彼らの考え方が、福音派でもない日本人にまで伝播してきていることを思うだに、今の時代の救いのなさというものを思わずにはいられない。 後編の最後に登場したファースト・バプテスト教会のロバート・ジェフレス牧師は、それまでの福音派の牧師たちと違って穏やかに理性的に語るだけに、余計にタチが悪い気がした。また、近年の激化したイスラエルVSハマスに関してきちんとシェイフ・ジャラフでの入植や“ダビデの町”に言及していたことに感心した。 | ||||||||
| by ヤマ '26. 2.13,15. NHK BS録画 | ||||||||
ご意見ご感想お待ちしています。 ― ヤマ ―
| ||||||||