自主上映の10年間の歩み
高知市文化祭50周年記念誌 「市民文化のいま」('99.2.20.)掲載
[発行:高知市文化祭執行委員会]

 この十年間の自主上映の最も大きな変化と言えば、嘗ての旧作で16mm作品中心の上映会から、新作35mm作品のホール上映に自主上映の上映企画が移行してきたことだ。ムービークラッシュ映画徹底研究会がその活動を休止し、当時からホール上映が中心だった高知映画鑑賞会シネマLTGに加え、B級遊民(現シネマサンライズ)や中国映画を見る会も初期の小さな上映会からキャパも経費も大きいホール上映をおこなうように変わってきた。また、新たにムービージャンキーが参入し、高知シネマクラブも精力的な上映回数をこなし始め、自主上映という観点からはともかく、民間任意団体によるホール上映という点では、今までにない活況を呈するようになった。同時に、経費増に伴うリスク増大から上映企画そのものが興行的発想に捉われがちになってきているようにも思われるが、高知の映画を取り巻く状況は随分豊かになってきた。
 そして、さまざまな形で主催団体が他の団体との連係を図った活動形態の普及というのも、この十年間の大きな変化だ。特徴的な上映会として、ちょうど十年前に始まった高知アジア映画祭とその翌年からの高知シネマフェスティバルが挙げられるが、その後、映画百年を契機として一般的にもそういう提携への理解と気運が広まってきたことも大きな要因である。また、上映団体相互の連携だけでなく、行政や他の分野の文化団体との提携やマスコミからの協力が得られ易くなったのは、自主上映活動の実績成果だとも言えよう。
by ヤマ

'99.2.20. 高知市文化祭50周年記念誌「市民文化のいま」



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