その瞳に映りし者

〜エピローグ〜

 

 この街に、初雪が降る頃…

ソユーズ家に一通の手紙が届いた。

 

親愛なるお姉さまへ

お元気ですか…風邪などひいてませんか。

この街にやってきて、もうすぐ3ヶ月になります。

ここは彼の生まれた街です。

とても、自然が豊かで…まるで、わたしが育ったソユーズ家のようです。

昨日、とうとうこの街にも雪が降りました。

庭の畑もうっすらと雪化粧してて、とっても綺麗です。

実は、わたし…ここに来て、はじめて鍬というものを持ちました。

畑仕事なんて、したことがなかったので…とっても新鮮です。

まだまだ、慣れないことばかりだけど…カイルと二人で楽しくやっています。

ずっと、ソユーズ家に勤めてくれてたのに、カイルの家族のことは、今まで何も知りませでした。

ここに来て、初めて知ったのですが…

彼のご両親は、彼がソユーズ家に奉公に出された後、相次いで病気で亡くなったそうです。

彼は、そのことを何も話さず…今まで、私たちに仕えてきてくれたのです。

何も知らず、我侭なことばかり言って、困らせていた自分が恥ずかしくなります。

これからは、少しでも彼の支えになっていけたらいいなと思っています。

 

最後に…

今まで大切に育ててくれたソユーズ家の皆を裏切るようなことをしてしまって、

本当に御免なさい。

突然、屋敷を出ることになってしまい…色々と迷惑をかけたと思います。

あの時は、そうするしかなかったのです。

お母様や叔母さま、そしてリオンさま…

最後まで、自分の我侭を貫いたこと、お許しください。

いつか、また落ち着いたら連絡します。

どうぞ、お身体には気をつけて…お逢いできる日まで…お元気で。

                                ジュディより

 

                                                                     Novelsへ