ドレスリハーサル(2000/9/1)
今日はフットヒルオケの最後の練習日です。
全員が揃うことを期待していてドレスリハーサルと呼んでいます。
僕が日本にいたときは、普段の練習は練習で、1,2週間前に通しのリハーサルをやって、本番当日にはステージでの照明や進行を確認する意味と最後のあがきでゲネプロをやり本番に臨むという手順を踏んでいました。
でもこちらでは練習のことをリハーサルと呼び、本番のことをパフォーマンスもしくはギグと呼びます。日本でいういわゆるリハーサルに相当するものをこのオケではドレスリハーサルと言うんだなあと感心したりもしました。ひょっとして日本でもオケの世界ではこちらと同じかも知れませんが。
で、僕はこの日着替えるためにいつもよりはちょっと早めに家に帰って(といってもいつも残業しているので普通に帰っただけですが)、黒の礼服に着替えて蝶タイを付けて出かけました。
蝶タイのことはこちらではボウタイと言います。「服装はホワイトシャツとボウタイだ」と言われたとき、僕はてっきり日本の棒タイのことを連想し、四角く細長いネクタイの形をジェスチャーしてこれかと尋ねると、ノーと言われ、首の周りに付けるというジェスチャーを逆にされました。
日本語と英語をごちゃ混ぜにしてはいけませんね。
ドレスリハーサルとは、これまた本番のことをかなり真剣にとらえているのだと感心します。よくあることですが、本番だけ慣れない服を着て吹いてみると、首が締まって苦しかったり、上着がごわごわしてラッパを持ちにくくしていたり、やけに暑かったりと、いつもと違う格好をするのはしっくりこないものです。
確かに、本番に近づくにつれて、なるべく本番と同じ状態で練習をやるというのは意味があります。
さて車に乗って家を出たのですが、やはり蝶タイまで付けて黒づくめで車を運転しているのはこの辺りでは珍しいので、すれ違う車がちらっとこちらを見たりして、ちょっと気恥ずかしいものがあります。
日本だったら電車に乗るので服は必ず別途持っていって、着替えるのですが、こちらだと車だけで用が足りるので、服も家からそのままが当たり前です。
フットヒル大学について、駐車場に車をとめて、いつものように練習場所に向かいました。 ひょっとして今日は本番をするシアターで練習するのかなとも思っていたのですが、聞こえてくる音からするとどうやらそのようです。
近くまで行くと指揮者のMichaelが僕を見つけて挨拶しましたが、すぐに 「いやあ、悪かったね。今日はそんな服は着てこなくても良かったんだよ。前の練習の時に言えば良かったね。ネクタイはずして中に入って」
と...
ありゃりゃ。やっぱり大げさだとは思っていたが、そうだったのか。 前の練習の時に確かめるべきだった。ちょっとでも知らないことは確認すべきだった。
自分でもおかしくなって頬がゆるんできました。
シアターの中に入ってみると、みんなラフな格好です。やられました。僕も恥ずかしいので蝶タイをはずし、上着を椅子にかけて少しでも目立たなくしましたが、白のシャツは普通のとは違って、蝶タイに合う形をしたものだったので、それを見ただけでも特別な格好をしているのは一目瞭然です。
仕方ないので会う人ごとに「知らなかったんだ」と言い訳しました。みんな「いいよ」と言ってくれますが...
Rogerに後で聞いてみると、彼も大昔はドレスリハーサルはやはり本番の服装をするもんだと思ったことがあると言っていました。
でもno problem、fail safeですよね....