Tacet Horn(2000/2/25)
今日は練習中のDwightさんのお話をご紹介します。
彼は新しい曲をやる場合や、練習中によく冗談交じりの話をします。何やら昔一緒に演奏したことのあるドイツ人はくそ真面目で固く、一挙手一同面白かったなどと話してくれます。私の隣に座っているTpのカレンさんは吹くのも良いが、彼の話は面白いので大好きだと言っています。
いつものように私にとってはレロレロした発音で話してくれるので話の中身に着いていくのはなかなか大変です。非常に集中して聞いているのですが、今一よく分かりません。みんながどっと笑うのに合わせて雰囲気を壊さない程度にニタニタしているのが常です。
そんな私ですが今日は珍しく話に着いていくことが出来ました。
今回練習している曲の中で.........がありますが、複数の楽章からなっており、途中編成の小さい楽章はある人は楽譜にTacet(タセット)と書いてあります。そこでこんな話が紹介されました。
昔Dwightさんが、アメリカの田舎の方のバンドに指導に行ったとき、やはり複数楽章からなる曲を練習しました。その時Tpパートの人から譜面にTacetと書いてあるが、どういう意味だと質問が出ました。
Dwightさんはまじめに「それはTacet Hornの意味だ。このバンドは持っていないの?」と答えました。アルトホルン、テナーホルン、フリューゲルホルンなら見たか聞いたことはあるでしょうが、もちろん田舎のバンドのことですから、そんな楽器は知りませんでした。
さてDwightさんが帰った後、Tpの人は真面目になってバンドの指揮者にTacet Hornは知っているかと聞きましたが、その指揮者も知りませんでした。小さな田舎町のことですからたちまちTacet
Hornのことは口伝えに広まっていきました。
しばらく経って、Dwightさんが再びその当人と会う機会がありました。そこで彼は言いました。
「Dwight、Tacet Hornを探し回ったけど見つからなかったよ。町の楽器屋にも聞いてみたんだが知らなかったよ。一体どんな楽器なんだね。」
Dwightさんもまさか冗談がここまでマジで受け取られるとは思っていなかったので大笑いしたそうです。
ちなみにご存じとは思いますがTacetは「休み」の意味です。チャンチャン。