紳士クラブ(1999/5/29)


今回もサンフランシスコの続きです。

別の部屋にも行くとそこは吹奏楽の練習場になっており、何人かが音出しを始めていました。そこでも何人かと挨拶をし、結局Tpパートの真ん中辺に座ってみんなが吹くのを聞くことになりました。

どんどん人が入って来て合奏が始まりました。Dwightさんはそこでの指揮者でした。クラリネットの方には見たことのある顔の人がいます。確か初めてペニンシュラの練習に行ったときに振っていた人です。いつもは夏のシーズンのみペニンシュラの指揮をするが、その時は代打で来ているといっていたのを思い出しました。

Tpにも知っている人が来ました。彼も確かペニンシュラの人です。またさっきバーで話をしていた人たちも沢山います。

やっとわかって来ました。ここに来ている人たちはあるクラブに属していて、今日は吹奏楽の練習の日だったようです。 Tbの人とも挨拶をしたのですが彼は筑波かどこかにいたことがあり、日本には親しみがあるといっていました。

個々人のレベルはかなり高く、ペニンシュラよりも上手そうです。でも合奏ではまあまあ適当に吹いているところがありここもいわゆる細部を詰めてハイレベルの演奏を目指すタイプでは無さそうです。

合奏の途中でもDwightさんが僕がわざわざ日本から来たんだと言って紹介してくれました。これはちょっと大げさですがさすがアメリカ人といった感じです。 合奏中にトイレに行きたくなったのと、Jazzバンドも見学に行きたくなったので、そろっと部屋を出ました。(途中Jazzを見に行っても良いと言われていたので)

Jazzバンドはすごかったです。本当にあれがアマチュアなのかと思うくらいハイレベルで、音も良いし、アドリブもかっこいい、ハイトーンもぎんぎんですっかり気に入りました。 この人たち本当に昼間仕事しているのだろうかと疑問が湧いてくるくらいです。

やっぱりアメリカ人の方が生活に余裕があるのかなあ、単に日本でも同じようなことがあるのを僕が知らないだけなのかなあとかいろいろ考えさせられました。

トイレを探したのですがなかなか見つかりません。結局入り口近くの受け付けの人に聞くとすぐそこのドアを開けて入った所だというのです。 行ってみるといわゆるMenとかいった表示が無く、ただ扉があるだけです。

中に入ってわかりました。この建物は高級紳士クラブ用のもので、それで男女の区別が不要だったのです。 後でDwightさんに聞いて更に分かったのですが、この紳士クラブは歴史があり、みんな入りたがっている。

でもウェイティングリスト(順番待ち表)には2,000人も控えていて中々入れないとのことです。また入るにはかなりのお金が必要で会費も払っているようです。 Dwightさんは音楽というexpertise(専門能力)を提供しているので安くなっているそうです。僕は会員になっている人のゲストという扱いで今日来ることが出来たという訳です。

吹奏楽の練習が終わった後は、DwightさんがTpの人たち2人と、ピアノ伴奏に合わせてトリオの練習をしていました。年に1回はこのクラブにもご婦人たちが呼ばれるときがあるらしく、その時の出し物として練習していると言っていたような気がします。 この3人の演奏も素晴らしく、Dwightさん以外の2人も安定していてプロのようです。

それにしてもみんなたぶん50を過ぎている人が多いのに、長く楽器を続けているものだなあ、長く音楽を楽しんでいるのだなあと感心します。

その後は別のホールに連れられて行きました。そこにも円卓が沢山置いてあって既にみんな食事を始めていました。ホールの壁際の中心ではラジオ放送局を模倣したコメディをやっていました。 このコメディが完全なトークショー形式で、いっぱいジョークを飛ばしその度にみんながどっと笑っているのですが、僕には聞き取りが難しすぎてさっぱりわかりません。

それでも3杯めのワインを飲んで良い気分になっているので雰囲気が楽しめます。 だんだん酔っ払ってきて部屋が暗めなので眠たくなってきました。ショーを見ているかのごとく、目をうつろにしながら夢のような?時が過ぎて行きました。

そんなこんなでまたLeeさんの車に相乗りしてサンフランシスコを後にしました。あのバンドは会員制なので外に対して一切宣伝をしておらずDwightさんが振っていることも公にはしていないとのことです。 よってこれは秘密にしておいてくださいね。

いやあ今日は、まだこんな慣習というか社会というか紳士クラブが残っていて、それを楽しんでいる人がいて、それがある価値を持ち続けているのだということを知り、本当に良い経験になりました。