長崎五曲 |
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1 欸乃(ふなうた)
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沖の小島の 灯かと見りや 波にただよう 光虫 |
2 宝石(たまいし)
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胸にかけた 宝石は 日に三度 色変えるという あらたかや あらたかや |
3 徴(しるし)
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もしや徴の 船ではないか |
4 聖母 (受苦の日)
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晴天の日には 茨の道を 雨の日には 灰の道を 跣足(はだし)で あるかれた 血の涙 お流しなされて |
5 波羅伊増(パライソ)
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主 居給う 波羅伊増 果の御国に つかしめ給え (波羅伊増) イエズス 来り給う 水の上を あるき給う イエズス 果の泊りに つかしめ給え (果の泊り) |
作曲家がベルリン留学中の1937年作曲 彼の指導教官はヒンデミットだったのだそうです。1曲1曲は大変に短いですが、露風の多様な詩を余すことなく表現してとても面白い曲に仕上がっています。ヒンデミットにもいくつかの曲は絶賛されたのだとか(本人談)。作曲者が忘れ去られて行く中なかなか今や日の目を見ることもないのかも知れないですが、あと少しで作曲者の著作権も切れて自由に演奏できる日が来ますのでちょっと目を向けて下さる演奏家の方が出てくることを期待します。音楽の友社の古い「世界音楽大全集《の日本歌曲1(昭和31年出版)に5曲全部の楽譜が載っています。
( 2016.10.27 藤井宏行 )