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Homenaje a Lope Vega   Op.90
ロペ・ベガへのオマージュ

詩: ベガ,ロペ・デ (Lope Felix de Vega Carpio,1562-1635) スペイン

曲: トゥリーナ (Joaquin Turina,1882-1949) スペイン スペイン語


1 Cuando tan hermosa os miro
1 これほど美しいあなたを見るときには

Cuando tan hermosa os miro
De amor suspiro,
Y cuando no os veo,
Suspira por mí el deseo.
Cuando mis ojos es ven
Van a gozar tanto bien;
Más como por su desdén
De los vuestros me retiro,
De amor suspiro;
Y cuando no os veo,
Suspiro por mi deseo.
これほど美しいあなたを見るときには
愛はため息つく
そして あなたを見ないときには
ため息つくのだ 私のために 願望が
私の目があなたを見たとき
私を楽しませるのだ たくさんの喜びが
けれど 軽蔑があるとき
あなたの視線に 私は引き下がろう
愛はため息つく
そして あなたを見ないときには
ため息つくのだ 私のために 願望が

2 Si con mis deseos
2 もし私の望みに

Si con mis deseos
Los tiempos caminaran,
Al sol aventajaran
Los pasos giganteos,
Y mis dulces empleos
Celebrará Sevilla,
Sin envidiar celosa
Amante venturosa
La regalada y tierna tortolilla,
Que con arrullos roncos
Tálamos hace de los huecos troncos.

もし私の望みに
時が共に歩んでくれるなら
太陽を追い越して進むだろう
巨大な足取りで
そして私のナイスな仕事を
セビリアは祝福するのだ
羨んで嫉妬などしない
幸せの恋人たちは
あの愛らしく優しいキジバトを
求愛に啼きながら
新婚の床を木の洞に作っている
3 Al val de Fuente Ovejuna
3 フエンテ・オヴェフナの谷間に

Al val de Fuente Ovejuna
La niña en cabellos baja,
El caballero la sigue
De la Cruz de Calatrava.

Entre las ramas se esconde,
De vergonzosa y turbada,
Fingiendo que no le ha visto,
Pone delante las ramas.

“¿Para qué te escondes
Niña gallarda?
Que mis linces deseos
Paredes pasan.”

Acercóse el caballero,
Y ella,confusa y turbada,
Hacer quiso celosías
De las intrincadas ramas,

Mas como quien tiene amor
Los mares y las montañas
Atraviesa fácilimente,
La dice tales palabras.

“¿Para qué te escondes
Niña gallarda?
Que mis linces deseos
Paredes pasan.”

フエンテ・オヴェフナの谷間に
髪の長い乙女が降りて行き
騎士がそのあとをつけて行く
カラトラバの十字の紋の

彼女は枝の中に隠れる
恥ずかしく どぎまぎして
彼に気付かぬふりをしながら
彼は枝の前に進み出る

「なぜあなたは隠れるのだ
 うるわしき乙女よ?
 わが願望の槍は
 壁をも貫くのに」

近づいてくるその騎士に
彼女は困惑し 動揺して
バリケードを作ろうとした
複雑に絡んだ枝で

だが 恋する者には
海であれ 山であれ
たやすく通り抜けられる
彼はこのような言葉を告げる

「なぜあなたは隠れるのだ
 うるわしき乙女よ?
 わが願望の槍は
 壁をも貫くのに」

1935年 スペインの大物劇作家&詩人だったロペ・デ・ベガ(1562-1635)の没後300年を記念して、彼の3篇の抒情詩にトゥリーナがメロディをつけたものです。トゥリーナの幻想的で繊細なメロディがほんのりとしたスペイン情緒に溶け合ってとても美しい歌曲集になりました。1曲目の堂々とした愛の訴えかけ、2曲目の優雅で流麗な響き、そして飄々とユーモラスな第3曲と表情が多彩なのも聴きものです。スペインの大テナー、アルフレッド・クラウスの録音もありますが、この曲は繊細なソプラノ歌手の方が合っているように思います。Naxosにあるトゥリーナ歌曲集のカロリーナ・ウルリヒのソプラノの歌には痺れてしまいました。

( 2016.09.19 藤井宏行 )