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3 Shakespeare Choruses   Op.39
3つのシェイクスピアのコーラス

詩: シェイクスピア (William Shakespeare,1564-1616) イングランド

曲: ビーチ (Amy Marcy Cheney Beach,1867-1944) アメリカ 英語


1 Over hill,over dale
1 丘を越え 谷を越えて

Over hill,over dale
Thorough bush,thorough brier
Over park,over pale
Thorough flood,thorough fire
I do wander everywhere,
Swifter than the moon’s sphere;
And I serve the fairy Queen,
To dew her orbs upon the green.
The cowslips tall her pensioners be;
In their gold coats spots you see,
Those be rubies,fairy favours,
In those freckles live their savours:
I must go seek some dew-drops here,
And hang a pearl in ev’ry cowslip’s ear.

 丘を越え 谷を越えて
 茂みを抜け 茨を抜けて
 猟園を越え 囲いを越えて
 水をくぐり 火をくぐり
 おいらはぶらつく どこへでも
 ずっとすばやく お月さまよりも
 お仕えするのさ 妖精の女王さまに
 露をまくことで 踊りの輪に あの緑の上の
 サクラソウたちは衛兵となれ
 その金のコートには 分かるだろ
 ルビーがついてる 妖精のために
 そのひとつひとつに 香りがこもってる
 おいらは探さなくちゃ 露のしずくをここで
 それからその真珠をサクラソウの耳に振りかけるんだ

2 Come unto these yellow sands
2 来て この黄色い砂のところへ

Come unto these yellow sands,
And then take hands,
Curtsied when you have and kissed
The wild waves whist,
Foot it featly here and there;
And sweet sprites the burthen bear.
 来て この黄色い砂のところへ
 そしたら手を取り合いましょう
 ご挨拶して キスしたなら
 荒波も静まる
 踊りましょう 上品にあちこちで
 そしたら 愛らしい精霊よ 歌を歌って


3 Through the house give glimmering light
3 お屋敷はほんのりと照らされているが

Through the house give glimmering light,
By the dead and drowsy fire;
Ev’ry elf and fairy sprite
Hop as light as bird from brier:
And this ditty,after me,
Sing and dance it trippingly.

First rehearse your song by rote,
To each word a warbling note:
Hand in hand,with fairy grace,
Will we sing,and bless this place.

 お屋敷はほんのりと照らされているが
 消えかかって眠たそうな火に
 さあ エルフもフェアリーも妖精はみんな
 軽やかに飛び跳ねろ 茂みから出てくる鳥のように
 それからこの小唄を 私のあとから
 歌って踊れ 軽やかに

 まずは歌いなさい お前たちの歌を そらで
 一言一言をさえずるような音で
 手に手を取って 妖精の恵みで
 歌いましょう そして祝福しましょう この場所を


アメリカの女声作曲家のはしりとも言われたこの人のアカペラ女声合唱によるシェイクスピアの歌です。1曲目と3曲目が「真夏の夜の夢《より。真ん中の2曲目が「テンペスト《より歌詞を取られています。いずれも妖精と関わりが深い歌詞ばかりですので澄み切った女声合唱にはぴったりです。が、なかなか聴ける機会はなくて、DELOSレーベルにあるEtherea Vocal Ensembleによるものしか私は知りません。もっともこれが妙なる美しさですのでこれさえあれば十分とも言えますけれども。

( 2016.01.16 藤井宏行 )