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5 Shakespeare Songs  
5つのシェイクスピアの歌

詩: シェイクスピア (William Shakespeare,1564-1616) イングランド

曲: サリヴァン (Sir Arthur Sullivan,1842-1900) イギリス 英語


1 Orpheus with his lute
1 リュートを持ったオルフェウス

Orpheus with his lute,with his lute made trees
And the mountain tops that freeze
Bow themselves when he did sing.
Orpheus with his lute,with his lute made trees
And the mountain tops that freeze
Bow themselves when he did sing.
Bow themselves when he did sing.
To his music plants and flow'rs
Ever sprung as sun and show'rs
There had made a lasting spring.

To his music plants and flow'rs
Ever sprung as sun and show'rs
There had made a lasting spring.

Ev'ry thing that heard him play
Ev'n the billows of the sea,
Hung their heads and then lay by,
Hung their heads and then lay by,

In sweet music is such art,
Killing care and grief of heart,
In sweet music is such art,
Killing care and grief of heart,
Fall asleep,or hearing die,
Fall asleep,or hearing die.

オルフェウスがリュートをとれば  そのリュートは木々や
凍り付く山の頂は
頭を垂れる 彼が歌った時には
オルフェウスがリュートをとれば  そのリュートは木々や
凍り付く山の頂は
頭を垂れる 彼が歌った時には
頭を垂れる 彼が歌った時には
彼の調べに 草や花も
常に萌え出でる 太陽や雨が
そこを変わらぬ春に変えるので

彼の調べに 草や花も
常に萌え出でる 太陽や雨が
そこを変わらぬ春に変えるので

あらゆるものが 彼の演奏を聴くと
たとえ海の荒波でさえも
その頭を垂れて引き下がる
その頭を垂れて引き下がる

その甘き音楽のうちにはかような技がある
心の悩みや悲しみを静める
その甘き音楽のうちにはかような技がある
心の悩みや悲しみを静める
眠りにつくか あるいは聞きつつ死すれば
眠りにつくか あるいは聞きつつ死すれば

2 O mistress mine
2 おい 俺の彼女

O mistress mine,Where are you roaming?
O stay and hear,Your true love's coming.
O stay and hear your true love's coming.
That can sing,that can sing both high and low.
Trip no further,pretty sweeting,
Journey's end in lover's meeting,
Ev'ry wise man's son doth know,
Ev'ry wise man's son doth know.

What is love? 'tis not hereafter.
Present mirth hath present laughter:
What's to come is still unsure:
What's to come,what's to come is still unsure.
In delay there is no plenty:
Then come kiss me,sweet and twenty
Youth's a stuff will not endure,
Youth's a stuff will not endure!

おい 俺の彼女 どこをうろついてるんだ?
おい ここに居て聞けよ お前の真の彼氏が来たんだからな
おい ここに居て聞けよ お前の真の彼氏が来たんだからな
俺は歌えるぜ 俺は歌えるぜ 高くも低くも
あっちへ行くなよ カワイコちゃんよ
旅の終わりは恋人たちの出会いだぜ
カシコい奴なら皆知ってるぜ
カシコい奴なら皆知ってるぜ

恋ってのは何だ?先のことじゃねえぜ
今が幸せなら 今笑うのさ
これから来ることなんてまだ分かんねえ
これから来ることなんてまだ分かんねえ
ぐずぐずしたってイイことはねえんだ
だからこっちでキスしてくれよ 甘く何度も
若い時はただ一度 長くは続かねえんだから
若い時はただ一度 長くは続かねえんだから!

3 Sigh no more ladies
3 もうため息召さるな ご婦人方

Sigh no more ladies,sigh no more,
Men were deceivers ever,
One foot in sea and one on shore,
To one thing constant never.

Then sigh not so,but let them go,
And be you blithe and bonny,
Converting all your sounds of woe
Into hey nonny,nonny,nonny.

Sing no more ditties,sing no more
Of dumps so dull and heavy,
The fraud of men was ever so,
Since summer first was leafy.

Then sigh not so,but let them go,
And be you blithe and bonny,
Converting all your sounds of woe
Into hey nonny,nonny,nonny.

Then sigh not so,but let them go,
And be you blithe and bonny,
Converting all your sounds of woe
Into hey nonny,nonny,nonny.

もうため息召さるな ご婦人方 ため息召さるな
男共は永遠の嘘つきですからな
片足は海に もう片足は岸に
ひとところに常には決して居らぬもの

ならばため息つかず 行かせておやりなされ
そしてあなた方は元気に、たくましく
変えてしまいましょう 嘆きの言葉は
陽気な ヘイ、ノンニ、ノンニ ノンに

もう歌いなさるな 戯れ歌を 歌いなさるな
暗く重たい嘆きなんぞを
男の嘘つきは変わらぬ習い
夏に初めて青葉の茂れる頃よりの

ならばため息つかず 行かせておやりなされ
そしてあなた方は元気に、たくましく
変えてしまいましょう 嘆きの言葉は
陽気な ヘイ、ノンニ、ノンニ ノンに

ならばため息つかず 行かせておやりなされ
そしてあなた方は元気に、たくましく
変えてしまいましょう 嘆きの言葉は
陽気な ヘイ、ノンニ、ノンニ ノンに

4 The Willow Song
4 柳の歌

A poor soul sat sighing by a sycamore tree,
Sing all the green willow,
Her hand on her bosom,her head on her knee,
Sing willow,willow,willow.

The fresh streams ran by her and murmur'd her moans,
Her salt tears ran from her and soften'd the stones,
Sing willow,willow,willow.

Sing all a green willow must be in my garland,
Sing willow,willow,willow.

The fresh streams ran by her and murmur'd her moans,
Her salt tears ran from her and soften'd the stones,
Sing willow,willow,willow.

Sing all a green willow must be in my garland,
Sing willow,willow,willow.

一人の哀れな娘が座って歌いました シカモアの木のそばに
歌って 緑のヤナギのことを
手を胸に当て 頭を膝に乗せて
歌って ヤナギ ヤナギ ヤナギを

清らかな小川は流れて つぶやいている 娘の嘆きを
彼女の辛い涙はしたたり 石さえも柔らかくする
歌って ヤナギ ヤナギ ヤナギを

歌って 緑のヤナギは私の花輪の中になくちゃ駄目なの
歌って ヤナギ ヤナギ ヤナギを

清らかな小川は流れて つぶやいている 娘の嘆きを
彼女の辛い涙はしたたり 石さえも柔らかくする
歌って ヤナギ ヤナギ ヤナギを

歌って 緑のヤナギは私の花輪の中になくちゃ駄目なの
歌って ヤナギ ヤナギ ヤナギを

5 Rosalind
5 ロザリンド

From the east to western Ind,
No jewel is like Rosalind,
Her worth being mounted on the wind,
Thro' all the world bears Rosalind.
All the pictures fairest lined
Are but black to Rosalind.
Let no fair be kept in mind
But the fair of Rosalind.
All the pictures fairest lined
Are but black to Rosalind.
Let no fair be kept in mind
But the fair of Rosalind.
Rosalind of many parts
By heav'nly synod was devised
Of many faces,eyes and hearts,
To have the touches dearest prized.
Heaven would that she these gifts should have,
And I to live and die her slave.
Heaven would that she these gifts should have,
And I to live and die,to die her slave.

東から西のインドまで
いかなる宝も比類なきロザリンド
彼女の価値は風に乗り
世界中にその名を運ぶ ロザリンド
すべての美しく描かれた絵とて
ただのシミとなる ロザリンド
どんな美人も心から消える
その美しさを前にしては ロザリンド
すべての美しく描かれた絵とて
ただのシミとなる ロザリンド
どんな美人も心から消える
その美しさを前にしては ロザリンド
ロザリンドの多くのパーツは
天の神々によって創造されしもの
もろもろの顔 目 そしてハートより
最も優れたタッチとなるようにと
天は望んだのだ 彼女がこうした贈り物を受けることを
そしてわれを生かし 死なしめることを 彼女の奴隷として
天は望んだのだ 彼女がこうした贈り物を受けることを
そしてわれを生かし 死なしめることを 彼女の奴隷として


イギリスのコミックオペラ界で一世を風靡した作曲家サリヴァンは、意外とシェイクスピア好きらしく、たくさんの劇音楽を書いています。「テンペスト(1861)」「ヴェニスの商人(1871)」「ウィンザーの陽気な女房たち(1874)、「ヘンリー8世(1877)」、「マクベス(1888)」といったところ。これとは別に1886年、5曲からなるシェイクスピア歌曲集を書いています。1曲目の「オルフェウス」以外はほとんど今や取り上げられることはないような感がありますが、コミックオペラで鳴らした軽快なメロディは(4曲目の「柳の歌」さえも!)健在でなかなか楽しい聴きものになっています。2・3曲目などは他のどの作曲家のものよりも楽しい音楽ではないでしょうか。
第1曲は「ヘンリー8世」より。第2曲は「十二夜」、第3曲は「空騒ぎ」、そして第4曲は「オセロ」からです。5曲目がちょっと珍しいですが「お気に召すまま」の第3幕第2場、ロザリンドに惚れたオーランドーの書いた下手くそな愛の詩をロザリンドとその女友達のシーリアが読むシーンです。わざと下手に書いていますのでほとんど取り上げる作曲家はなかったところ、さすがサリヴァンの着眼点は違います。格調高くもユーモラスな歌が出来上がりました。
楽譜やMIDIがネット上のGilbert and Sullivan Archiveで見られます。
歌詞はここからお借りしてきて訳を付けていますので、繰り返しなども丁寧に付けられております。聴く時にはとても都合が良いと思いますが、そもそも聴ける機会がものすごく少ないのが難点です。

( 2016.01.11 藤井宏行 )