TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


童謡百曲集 第5巻 続き  


詩: 野口雨情 (Noguchi Ujyou,1882-1945) 日本

曲: 山田耕筰 (Yamada Kousaku,1886-1965) 日本 日本語


93 藪の下道


ここを通れば雀のお宿 
ここのこの道近道ぢや

さァさ急いで通りなさい

雀のお宿にや雀はお留守 
ここのこの道近道ぢや

さァさ急いで通りなさい

早く通らにや雀が帰る 
ここのこの道近道ぢや

さァさ急いで通りなさい


94 水鉄砲


みんなで来い みんなで来い 
水鉄砲しゅう しゅう しゅう しゅう

水持って来い 水持って来い 
水鉄砲しゅう しゅう しゅう しゅう

いそいで来い 遊びに来い
水鉄砲しゅう しゅう しゅう しゅう

跣足で来い かけかけ来い
水鉄砲しゅう しゅう しゅう しゅう


95 蛍の飛行機


蛍の飛行機 山から ホィ
 早く山から 急いで来い
飛行機ホィ 山からホィ

ほうほう蛍の 飛行機ホィ
 早く山から 急いで来い
飛行機ホィ 山からホィ


96 お留守


ここのお家はお留守かい 
          ドンドンドーン
ご門がしまってをりますね 
          ドンドンドーン
お留守で お留守居 ゐませんか


97 夜明け烏


カホカホ啼くのは 明け烏
  もう夜が明ける 夜が明ける

夜明けの海には 星一つ
  お山の上にも 星一つ

夜明けのお星は もう見えぬ
  もう夜が明ける 夜が明ける

夜明けにゃ 夜明けの 明け烏
  カホカホ啼くから 夜が明ける


98 兎と狸


カチカチお山に 誰がいる
  兎がこっそり かくれてる
ボオボオお山に 誰がいる
  狸が一匹 かくれてる
カチカチお山は 大火事だ
  ボオボオお山に 火がついた
狸が熱くて 逃げ出した
  兎が後から 追っかけた


99 雀の使ひ


雀の使ひが まいりました
 雀の使ひが まいりました
どこから使ひか゛ まいりました
 雀の宿から まいりました
雀の宿から まいりました
 お土産屆けに まいりました


100 チックリ虫


とんぼ来い来い 釣瓶にとまれ
  井戸の釣瓶は 日が永い

草にとまるな チックリ虫ゐるぞ
  今朝も泣く子の 足刺した



童謡百曲集 最後を飾るのは雨情の8曲です。歌詞はご覧のように雨情ワールド全開で面白いのですが、耕筰の曲の方は息切れでしょうか。あまり魅力があるように思えないのが残念です。もともと雨情とはあまり相性の良くない耕筰の音楽ですから、あまりまともな音楽を付けると印象に残らないものになってしまいがちなのですが、ここでの耕筰もそんな感じ、安全運転に過ぎる曲ばかりのように思えます。まあ短い童謡とはいえ百曲もを短期間で一気に仕上げれば、そのすべてが傑作というわけにも行かないわけで。とはいいつつも百曲通してみることで名曲もまた引き立つということもあるかと思います。来年1月になって耕筰の著作権がフリーになったら、これらの曲もMIDIやボーカロイドで将来に残してもらえる試みが始まるのでしょうか。そういうのがネットのアーカイブ的な価値だと思うのでぜひやって下さる方が現れるのを待ち望んでおります。

( 2015.11.01 藤井宏行 )