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式日唱歌  


詩: 三木露風 (Miki Rofuu,1889-1964) 日本

曲: 山田耕筰 (Yamada Kousaku,1886-1965) 日本 日本語


始業式


われらまた 新しく
始むべき 時きたる
こゝろをも あらためて
いざ共に 学ばなん

師の教 身に守り
よく勉め よく鍛へ
ゆく末を 望み見て
もろともに いそしまん


終業式


一年(ひととせ)の 日月(ひつき)は 過ぎぬ
 今日の日は
学び おさめて 帰る日よ
うちそろひ 勉め あそびて
 丈ものび
智識も やがて 進みけり

来ん年は またも 励まん
 今よりも
師の 教をば 心して
いざさらば 我師の 君よ
 友だちよ
しばし 袂を 分かたなん


卒業式告別歌


今日出でてゆく己が身は
巣より離れし鳥のごと
心は勇み気も軽く
遠きゆくてを望むなり

長の年月師の君は
愛や力や智識をば
われらに与へたまひけり
何時か報いんその恩を

雨や風にも通ひ馴れ
久しく住みし学び舎よ
君が誉れと誓をば
心に永く留むべし

我日の本の民の道
高く正しく踏み行かん
あゝ師の君よいざさらば
母校の君よいざさらば


卒業式送別歌


学びの業の功を終へ
今日出でてゆく君が身は
冬の雪にも寒さにも
折れず撓まず咲きいでし
花かんばしき梅なれや

春の朝(あした)の首途(かどで)をば
われら祝はむいざさらば
高きに上り世に進み
思ひ思ひの人の道
清き誉の香ににほへ


学芸会


待ちに待ちたる学芸会
日ごろ勉めし甲斐ありて
心をこめし成績は
学びの庭の花と咲く

今日は楽しき学芸会
共に力を競はなん
けふのうれしき賓人(まろうど)よ
集ひ巡りてみそなはせ


師の恩(送別の歌)


あゝ師の君は行きたまふ
父とも母とも敬い慕ひ
道のしるべと頼みしを
あゝ師の君は去りたまふ

思へば深き師の恩を
今日の別れとなりて知りぬ
師よ 去りたまふ後までも
その御教を忘れまじ

さらば何処(いずこ)に在(いま)すとも
われらの事をおもはせたまへ
いよいよ御機嫌うるはしく
御国のために尽したまへ



1924年の作曲、出版です。いわゆる「式日唱歌」の中でも主に学校の始まりや終わりにスポットを当てております。けっこう魅力的なメロディをつけているような感じですが、音の跳躍が素人学生には歌うのが難しいように思えますし、どのくらいよく歌われたのかは分かりません。学校文化も様がわりした今となってはまず歌われることはないであろう内容の歌たちですが、露風-耕筰のコンビにこのような作品があったことは知っておいても良いでしょう。

( 2015.09.30 藤井宏行 )