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Three Songs for American Schools   JS199
アメリカン・スクールのための3つの歌

曲: シベリウス (Jan Sibelius,1865-1957) フィンランド 英語


1 Autumn Song (Richard Watson Dixon)
1 秋の歌 (ディクソン)

The feathers of the willow
Are half of them grown yellow
Above the swelling stream;
And ragged are the bushes,
And rusty now the rushes,
And wild the clouded gleam,
And wild the clouded gleam!

柳の羽が
その半分だけ黄色くなる
膨れ上がった流れの上で
そしてざわめいている 茂みは
そして枯れている 葦は
そして乱れている 濁った光が
そして乱れている 濁った光が!
2 The Sun upon the Lake is Low (Sir Walter Scott)
2 太陽は湖の上に低く (スコット)

The sun upon the lake is low,
The wild birds hush their song;
The hills have evening’s deepest glow,
Yet Leonard tarries long.
Now all whom varied toil and care
From home and love divide,
In the calm sunset may repair
Each to the loved one’s side.

太陽は湖の上に低く
野の鳥たちは歌うのを止める
丘は夕暮れの最も深い輝きのうちにある
まだレナードはじっと佇んでいる
今 すべての労苦と不安を抱える者たちが
家庭や愛する者と別れて
静けさの中 日没は返してくれる
それぞれ愛する者のそばに
3 A Cavalry Catch (Fiona Macleod)
3 騎兵の行軍 (マクラウド)

Up! for the bugles are calling,
Saddle and boot,and away!
Sabres are clanking and lances are glancing,
The colonel is fuming and horses are prancing,
So up with the sabres and lances,
Up and away!
Up and away!

Where are we off to so fast,boys?
Saddle and boot,and away!
Thunder of hoofs in a rush we go past,
In a whirlwind of dust we are gone as a blast,
For we’re off with the sabres and lances,
Off and away!
Off and away!

立て!ラッパが呼んでいる
サドルとブーツだ 行け!
サーベルは鳴り響き 槍はきらめく
大佐は怒る 馬は飛び跳ねる
さあ立ち上がれ サーベルや槍と共に
立て そして行け!
立て そして行け!

どこへそんなに急ぐんだ みんな?
サドルとブーツだ 行け!
ひずめはとどろいて 急ぎわれらは駆け抜ける
埃を巻き上げ われらは行く 突風のように
われらは駆け行くのだ サーベルと槍を持って
離れ そして行け!
離れ そして行け!

英語の歌が3曲もシベリウスにあって驚かされますが、これらだけでなくシベリウスにはいくつか英語の声楽作品があります。タイトルに「アメリカン・スクール」とありますのでヘルシンキかどこかのアメリカンスクールかと思ってしまいますけれどもそうではなくて、1913年にアメリカの作曲家ホレイショ・パーカーが学校向け教材の歌集The progressive music series for basal use in primary,intermediate,and grammar gradesを作るにあたり知り合いの各国の作曲家に曲を書いてもらうことを依頼し、それに答えて書かれたもののようです。古い本なのでネット上でもオンラインで見ることができて、1920年の第3巻にはこの「秋の歌」が掲載されているのを見つけることができました(他の2曲は発見できず)。モーツァルトやベートーヴェン、シューマンやビゼーなどの有名曲に独自の英語歌詞を付けたものばかりでなく、この歌集のための新作として、このシベリウスはじめガブリエル・ピエルネやマックス・ブルッフ、エルマンノ・ヴォルフ=フェラーリといった当時の錚々たる作曲家たちの英語の詩につけたものも載っておりました。学校歌集ですのでそんなに技巧的に難しいものではなく、あんまり印象に残る音楽でもないのですが何せ珍しい英語の歌です。もっとも録音で聴けるのは北欧の成人の混声合唱団の歌うものばかりで、英語の響きは(勢いのある最終曲だけは多少は感じられますが)あまり良く分からず、また本来のあり方である子供の合唱(しかも学校教材らしく素人っぽい歌声がこの曲には欠かせない)ではまだ聴ける機会は得られておりません。

( 2015.09.14 藤井宏行 )