Four Child Songs Op.4 |
4つの子供の歌 |
1 A good child
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1 良い子
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I was happy all the day, I never said an ugly word, but smiled and stuck to play. And now at last the sun is going down behind the wood, And I am very happy, for I know that I've been good. My bed is waiting cool and fresh, with linen smooth and fair, And I must off to sleep again, and not forget my prayer. I know that,till tomorrow I shall see the sun arise, No ugly dream shall fright my mind, no ugly sight my eyes, But slumber hold me tightly till I waken in the dawn, And hear the thrushes singing in the lilacs round the lawn. |
一日中幸せだった きたない言葉なんかぜんぜん使わなかったし にこにこして遊ぶことに夢中だった とうとうお日さまが 森の向こうに沈もうとしている ぼくはとても幸せだ ずっと良い子でいられたのだから ぼくのベッドはすずしくさわやかにしつらえられてる しわひとつないきれいなシーツでもって ぼくはこれからまた眠らなくちゃ だけどお祈りは忘れないようにね わかってるさ、明日にはまた お日さまが昇るのを見るんだから こわい夢なんか心の中に浮かぶことはないし こわいことなんか見たりはしないさ しっかりと眠れるんだ 夜明けに目覚めるまでずっと そしたらツグミが歌うのを聞くんだ 芝生のまわりのライラックの中で |
2 The lamplighter
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2 点灯夫
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It's time to take the window to see Leerie going by; For every night at teatime and before you take your seat, With lantern and with ladder he comes posting up the street. Now Tom would be a driver and Maria go to sea, And my papa's a banker and as rich as he can be; But I,when I am stronger and can choose what I'm to do, O Leerie,I'll go round at night and light the lamps with you! For we are very lucky,with a lamp before the door, And Leerie stops to light it as he lights so many more; And O! before you hurry by with ladder and with light, O Leerie,see a little child and nod to him tonight. |
窓のところに行ってリーリーが通り過ぎるのを見る時間だ 毎晩 夕ごはんでテーブルにつく前に ランタンを持ってはしごをかかえ 彼が通りの街灯をともしにやってくるのを トムは運転手になるかもしれない マリアは海外に行くかも ぼくのパパは銀行家で お金ならたくさんある だけどぼくは もっと強くなってじぶんで仕事をえらべるようになったら おおリーリー ぼくは夜に街灯をつけてまわりたいんだ 君といっしょに! ぼくたちはとてもラッキーさ 街灯がひとつ 門の前にあるから そしてリーリーが止まってランプをつけてくれるから ほかの街灯と同じように だけどね!君がはしごと明かりを持って急いで行ってしまう前に おおリーリー このちっちゃな子を見て うなずいてよ 今夜は |
3 Where go the boats?
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3 お舟はどこへ行くの?
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Golden is the sand. It flows along for ever, With trees on either hand. Green leaves a-floating, Castles of the foam, Boats of mine a-boating - Where will all come home? On goes the river And out past the mill, Away down the valley, Away down the hill. Away down the river, A hundred miles or more, Other little children Shall bring my boats ashore. |
砂は金色 川はずっと流れてる 木が両方の岸に立っている 緑の葉っぱがうかんで 泡がお城になっている ぼくのお舟がながれてく みんな いったいどこまで行くの? 川は流れていく 水車小屋をすぎて 谷間を下り 丘を下って 川を下って行くんだ 百マイル いやもっと先まで どこかのちいさな子供たちが ぼくの舟を岸に引きあげてくれるだろ |
4 Foreign children
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4 海外の子供たち
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Little frosty Eskimo, Little Turk or Japanese, O! don't you wish that you were me? You have seen the scarlet trees And the lions over seas; You have eaten ostrich eggs, And turned the turtles off their legs. Such a life is very fine, But it's not so nice as mine: You must often,as you trod, Have wearied not to be abroad. You have curious things to eat, I am fed on proper meat; You must dwell beyond the foam, But I am safe and live at home. Little Indian,Sioux or Crow, Little frosty Eskimo, Little Turk or Japanese, O! don't you wish that you were me? |
ちっちゃな霜のエスキモーも ちっちゃなトルコの子も 日本の子も ねえ!なりたいと思わないか 君たちもぼくと同じに? 君たちは見たことがあるんだろ まっかな木とか 海のむこうのライオンとかを 君たちは食べたことがあるんだろ ダチョウの卵を ウミガメの足をひっぱってひっくりかえしたことも そういう暮らしもなかなかいいけど ぼくの暮らしほどすてきじゃない 君たちはきっと 歩き回るときに うんざりするんだろ そこが外国じゃないから 君たちはめずらしいものを食べている ぼくはふつうの食事を食べている 君たちは波の向こうに住まなきゃならないけど ぼくは安全に家の中でくらしてるんだ ちっちゃなインディアン スー族の子もクロウ族の子も ちっちゃな霜のエスキモーも ちっちゃなトルコの子も 日本の子も ねえ!なりたいと思わないか 君たちもぼくと同じに? |
「宝島《などの小説で知られているイギリスの作家スティーブンソン、子供の気持ちになりきった愛らしい詩集「子供の詩の園(A Child's Garden of Verses 1885)《に良く取り上げられ、日本でもいくつも邦訳が出ております。愛らしい挿絵と共に童心に帰ったようなほのぼのとした詩が載せられていて素敵ですので、ぜひ手に取って見られてはいかがでしょうか。今年(2014年)、詩人で翻訳家のないとうりえこさんが訳した、アメリカの絵本作家ターシャ・テューダーの挿絵の入ったものが今なら入手も容易ではないかと思います。
さて、この詩集からは大勢の英語圏の作曲家が詩を取り上げて童謡を書いています。そんな中、大人の陶酔感のようなものを強く感じさせるロジャー・クィルターが4篇の詩を選んで曲をつけているのがとても興味を引きます。こりゃきっと大人の童謡になるんでは?と思いさっそく耳にしてみましたところ、確かにクィルターの美しいスタイルはそのままながら、なかなか味わいのある童謡に仕上がっておりました。子供には絶対歌えない本格的な歌曲ではあるのですが、どこかあどけない表情を垣間見せるのがなんとも素敵です。
1曲目は一番クィルターっぽさが感じさせるメロディラインですが、詩の健全さに引きずられてほのかな爽やかさを見せるところが素晴らしいです。しかし最後のクライマックスはクィルター節全開で思わずほほ笑んでしまいました。第2曲の点灯夫というのは、当時の街灯が燃料を燃やして明るくするものだったので、毎晩暗くなる頃に灯りをつけにくる労働者がおり、それを見ていたお金持ちのおぼっちゃまのつぶやきを歌っています。「お父さんは銀行家だから金ならたくさんある《なんていう所は今では決して書けないフレーズのような気もしますが当時は大らかだったのですね。微笑ましい伴奏に乗せてちょっとたどたどしい歌が愛らしいです。3曲目はゆったりと川の流れに乗って木の葉の舟が流れて行くような歌です。これもピアノのメロディが見事。最後は2曲目と同じようにちょっと現在の目からすると違和感のある表現もありますが、どことなく東洋風の音階に乗せて飄々と歌うメロディを聞いているとなんとなく許せてきてしまいます。インディアンやエスキモーの子供に混じって、日本の子のことも歌われていますね。歌詞ではっきりと「ジャパニーズ《と聞こえるのはとても新鮮でした。
( 2014.11.14 藤井宏行 )