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Poema en Forma de Canciones   Op.19
歌のかたちの詩

曲: トゥリーナ (Joaquin Turina,1882-1949) スペイン


1 Dedicatoria ()
1 捧げ物(ピアノ独奏) ()

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2 Nunca olvida (Ramòn Maria de las Mercedes de Campoamor y Campoosorio)
2 忘れない (カンポアモール)

 Ya que este mundo abandono
 antes de dar cuenta a Dios,
 aquí para entre los dos
 mi confesión te diré.

 Con toda el alma perdono
 hasta a los que siempre he odiado.
 A ti que tanto te he amado
 nunca te perdonaré!

 この世を去る時に
 神様の御前で懺悔する前に
 ほら、私たち2人だけで
 私はあなたに告白したい

 全身全霊かけて私は許そう
 たとえ私がずっと憎んでいた人でさえも
 だが、私が深く愛してきた
 あなただけは決して許さない!

3 Cantares (Ramòn Maria de las Mercedes de Campoamor y Campoosorio)
3 うた(カンターレ) (カンポアモール)

 Ai!
 Màs cerca de mí te siento
 Cuanto más huyo de tí
 Pues tu imagen es en mí
 Sombra de mi pensamiento.

 Ai!
 Vuélvemelo a decir
 Pues embelesado ayer
 Te escuchaba sin oir
 Y te miraba sin ver.

 ああ
 離れようとすればする程
 あなたの面影がちらついてくる
 あなたの姿はもはや私の中で
 よりそう影のように離れられなくなっている

 ああ
 もう一度私に話しかけて
 昨日、私はあまりに腹を立てていて
 あなたの言うことをまともに聞いていなかったし
 あなたの目をまともに見ていなかった

4 Los dos miedos (Ramòn Maria de las Mercedes de Campoamor y Campoosorio)
4 ニつの恐怖 (カンポアモール)

 Al comenzar la noche de aquel día
 Ella lejos de mí,
 ¿Por qué te acercas tanto? Me decía,
 Tengo miedo de ti.

 Y después que la noche hubo pasado
 Dijo,cerca de mí:
 ¿Por qué te alejas tanto de mi lado?
 ¡Tengo miedo sin ti!

 その日、宵闇が迫るころ
 私から離れて彼女は言った
 「どうしてそんなに近寄ってくるの?
  私はあなたがとても怖い」

 でも夜が明けた時
 私に近寄ってきて彼女は言った
 「どうして私のそばから離れてしまうの
  あなたが私のそばからいなくなるのが怖い」

5 Las locas por amor (Ramòn Maria de las Mercedes de Campoamor y Campoosorio)
5 至上の愛 (カンポアモール)

 Te amaré diosa Venus si prefieres
 que te ame mucho tiempo y con cordura
 y respondió la diosa de Citeres:
 Prefiero como todas las mujeres
 que me amen poco tiempo y con locura.
 Te amaré diosa Venus,te amaré.

 私は愛しましょう、女神ビーナスよ、もしあなたが望まれるなら
 あなたが永遠に、誠実に愛されることを
 シテラの女神は答えて私に答えて言いました
 「私は好みます、すべての女たちがするように
 短く、情熱的に愛することの方を」と
 私は愛しましょう、女神ビーナスよ、私は愛しましょう


2分以上もかかるピアノ独奏の「捧げ物」で幕開けするように、ピアノ伴奏がとても雄弁に主張する歌曲集です。このピアノ独奏の「捧げ物」の中で現れてくる印象的な旋律は4曲目の中間部で再び現れてきますので、夜のオトナの時間を描写しているのかも知れません。
作曲のホキアン・トゥリーナはパリに留学した後、まさにスペインのドビュッシーとでもいうべき繊細なピアノ曲や室内楽を書いています。非常にピアノパートが雄弁なのもそういう訳かも知れません。
2曲目は非常に意味深長な詩ですが、曲は非常に穏やかな調子のラブソングになっています。「かわいさ余って憎さ百倍」なのでしょうか。静かなだけに一層怖さを感じます。
3曲目はこれぞスペインという感じのカンタービレ、熱情をたたえていますが最後までテンポはゆっくりです。この曲はこの歌曲集の中では一番有名らしく、これだけを単独で録音している歌手も多くいます。
4曲目はユーモラスな詩を表すかのようなかわいらしい伴奏で始まりますが、夜と朝の間の「間奏」で、冒頭にも書きました濃厚な前奏が再現してきて一種独特な表情です。2節目の朝の情景の曲想が、1節目の夜の情景に比べて暗く、重々しく聞こえるのは私だけでしょうか?
最後の曲は弾けるようなステップで明るく歌われます。音だけ聴くとこの曲が一番印象的かも。

スペインの名歌手たちが揃い踏みして聴かせてくれるこの曲、ベテランの魅力のアルフレッド・クラウスのテノールの熱唱(Amadeo)や、さわやかな歌声が好ましいカレーラスのもの(Philips)も良いですが、やはり情念がたぎるこれらの歌では、ベルガンサ(MS)のClaves盤が一番魅力的です。

( 2003.07.21 藤井宏行 )