Drei Gesänge Op.83 |
三つの歌 |
1 Resignation (Julius Buddeus)
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1 あきらめ (ブッドイス)
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Lieben herzinniglich, Daß nimmer ich's verhehle, Heiß lieben muß ich dich! Wie's kommt? wie kann ich's wissen? Wohl höher schlägt mein Herz, Wenn deine Augen grüßen: Gehst du,erbebts im Schmerz, Erbebt im heißen Glühen, Im still verschwiegnen Rausch, Und Tränen überziehen Den Blick im Wechseltausch. Lieben,von ganzer Seele,muß ich dich! Du wirst mich nie umschließen, Wie wird dein Aug' mir glühn! Der Sehnsucht still Vermissen Wird nie dich zu mir ziehn! So hoffnungslos mein Lieben? Gewiß! doch trostlos nicht! Will Gegenwart nicht trüben, Zukunft? kenn' ich ja nicht! Will auch der Trennungsstunde Schmerz düster mich umwehn, Lächle mit bleichem Munde: Jenseits ist Wiedersehn! |
愛するのだ 心の底から そのことを決して隠せはしない ぼくは熱烈に君を愛さずにはいられない! いったいどうしてだ?どうしてその訳が分かろう? 激しく高鳴るのだ ぼくの心臓は 君の瞳があいさつを送ってくれるときには 君が行ってしまうと 苦しみに震え 熱い熱情の中で震えるのだ 静かなひそやかなざわめきの中で 涙で覆われてしまうのだ 見かわすこの眼差しが 愛するのだ 全身全霊で、ぼくは君のことを! 君はぼくを決して抱いてはくれない 君の瞳がぼくのために燃え立ってくれることもない! このひそかな憧れの気持ちも 君をぼくの方へ引き寄せてはくれないだろう! こんなに望みがないのか ぼくの恋には? その通りさ!でも慰めがないわけじゃない! 今の状態が台無しにすることがあるだろうか 未来のことを?そんなことは分からない! たとえ別れの時が来て ぼくを悲しみを覆い尽くそうとも 青ざめた唇でほほ笑むのだ あの世でまた会えることもあるだろうから! |
2 Die Blume der Ergebung (Friedrich Rückert)
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2 忍従の花 (リュッケルト)
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Und muß in Stille warten, Wann und in welcher Weise Du trittst in meine Kreise. Kommst du,ein Strahl der Sonne, So werd' ich deiner Wonne Den Busen still entfalten Und deinen Blick behalten. Kommst du als Tau und Regen, So werd' ich deinen Segen In Liebesschalen fassen, Ihn nicht versiegen lassen. Und fährtest du gelinde Hin über mich im Winde, So werd' ich dir mich neigen, Sprechend: Ich bin dein eigen. |
静かに待っていなくてはなりません いつ どんな風に あなたが私のそばに歩いてくるかを もしもあなたがやってくるなら 太陽の光になって 私はあなたの喜びに この胸を静かに開きましょう そしてあなたの眼差しを受け取りましょう もしもあなたがやってくるなら 露や雨となって 私はあなたの恵みを 愛の花びらの中に包み入れましょう それが渇いてしまわないように そしてあなたが穏やかに吹くときには 私の上を風になって 私はあなたに寄り添って 言うでしょう 私はあなただけのものと |
3 Der Einsiedler (Josef Karl Benedikt von Eichendorff)
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3 世捨て人 (アイヒェンドルフ)
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Wie steigst du von den Bergen sacht, Die Lüfte alle schlafen, Ein Schiffer nur noch,wandermüd', Singt übers Meer sein Abendlied Zu Gottes Lob im Hafen. Die Jahre wie die Wolken gehn Und lassen mich hier einsam stehn, Die Welt hat mich vergessen, Da tratst du wunderbar zu mir, Wenn ich beim Waldesrauschen hier Gedankenvoll gesessen. O Trost der Welt,du stille Nacht! Der Tag hat mich so müd' gemacht, Das weite Meer schon dunkelt, Laß ausruhn mich von Lust und Not, Bis daß das ew'ge Morgenrot Den stillen Wald durchfunkelt. |
何とお前は穏やかにこの山々を登ってくるのか 風もすっかり眠りにつき ひとりの船乗りがさすらいに疲れて 海に向かって夕暮れの歌を歌っている 神を讃えながら 港の中で 月日は雲のように流れ行き 私はひとりここに残されて立っている この世は私を忘れてしまい そこへお前が不思議にもやってきたのだ 私がここで森のざわめきの中 物思いながら座っているときに おおこの世の慰め 静かな夜よ! 昼は私をとても疲れさせた 広い海もすっかり暗くなった 私を解放し休ませてくれ 喜びや苦しみから 永遠の朝の光が 静かな森を照らし出すまで |
1850年作曲のこの3つの歌曲、非常に地味な歌曲集ですが、シューマンの友人ブッドイス、そしてリュッケルトにアイヒェンドルフとなかなか味のある詩を並べています。3つを通じて共通に流れるのは、日の当たらない人生を送ってきている(2曲目は花ですが...)人たち。メロディとも語りともつかぬ静かな、しかし熱いつぶやきで実らぬ愛のあの世での成就を願う第1曲、楚々とした慎ましさが男心をくすぐる第2曲、ほんのりと悲しさを漂わせながら、それでも実に淡々と運命を受け入れている第3曲、いずれもとっつきは悪いですが実に味わい深い歌曲集です。第2曲だけは女声で歌われるので、3曲まとめて取り上げられることはないですが、まとめて聴いた方が感動的な歌曲集のように思われます。
( 2011.07.15 藤井宏行 )