2 Lieder Op.14 |
2つの歌 |
1 Ich darf nicht dankend (Stefan Anton George)
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1 私は感謝してはならないのだ (ゲオルゲ)
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Du bist vom geist der flur aus der wir stiegen: Will sich mein trost an deine wehmut schmiegen, So wird sie zucken um ihm abzuwinken. Verharrst du bei dem quälenden beschlusse, Nie deines leides nähe zu gestehen, Und nur mit ihm und mir dich zu ergehen Am eisigklaren tief-entschlafnen flusse? |
お前は私たちが登ってきた草原の妖精 私の慰めをお前の苦悩に寄り添わせようとしても 苦悩は打ち震え 慰めを拒むのだ お前は苦しむことの決意を公言し お前の嘆きを周りの誰にも見せずに その決意と私とを共に歩みゆくのか 氷のように澄んで深い眠りに落ちた流れに沿って |
2 In diesen Wintertagen (Karl Friedrich Henckell)
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2 この冬の日々 (ヘンケル)
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Nun sich das Licht verhüllt, Laß uns im Herzen tragen, Einander traulich sagen, Was uns mit innerm Licht erfüllt. Was milde Glut entzündet, Soll brennen fort und fort, Was Seelen zart verbündet, Und Geisterbrücken gründet, Sei unser leises Losungswort. Das Rad der Zeit mag rollen, Wir greifen kaum hinein, Dem Schein der Welt verschollen, Auf unserm Eiland wollen Wir Tag und Nacht der sel'gen Liebe weih'n. |
いまや光はその身を隠している ぼくたちは心の中に持ってこよう お互いに率直に語り合うのだ どうやって内なる光でぼくたちを満たすのかを 柔らかな情熱の炎を いつまでもいつまでも燃やし続けなければならない 魂同士を結びつけるもの そして魂の橋を架けるものよ ぼくたちのひそかな合言葉となるがいい 時の輪が転がっていこうとも ぼくたちは巻き込まれたりはしない 世の中の見せ掛けなど気にかけず ぼくたちの島の上でしようじゃないか 昼も夜も この神聖な愛にぼくたちを捧げることを |
1908年に書かれた作品14は、この後に書かれた彼の無調時代の歌曲の代表作「架空庭園の書《作品15を先取りする作品と言えるでしょうか。確かにまだ辛うじて調性こそ残っているようですが、もうほとんど流麗な分かりやすいメロディの片鱗も残っておりません。第1曲は架空庭園と同じシュテファン・ゲオルゲの詩で、同じくゲオルゲの詩を取り上げている弦楽4重奏曲第2番と並んで、この時期のスタイルを色濃く反映させています。詩は詩集「魂の一年《より。
第2曲目のヘンケルの詩はR・シュトラウスの歌曲「冬の儀式《作品48-4にも使われているものです。
( 2011.02.20 藤井宏行 )