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Five Lyics of Robert Herrick   Op.7
ロバート・ヘリックの5つの詩

詩: へリック (Robert Herrick,1591-1674) イギリス

曲: クィルター (Roger Quilter,1877-1953) イギリス 英語


1 Cupid
1 キューピッド

Love,like a beggar came to me
With hose and doublet torn;
His shirt bedangling from his knee,
With hat and shoes outworn.

He asked an alms; I gave him bread,
And meat too for his need,
Of which,when he had fully fed,
He wished me all good speed.

Away he went,but as he turned,
In faith I know not how,
He touched me so,as that I burned
And am tormented now.

Love's silent flames and fires obscure
Then crept into my heart;
And though I saw no bow,I'm sure
His finger was the dart.

愛は 乞食のようななりをして私に近づいてきた
擦り切れたストッキングと上着を着て
彼のシャツは膝からぶら下がり
帽子も靴も破れていた

やつが施しを求めたので 私はパンを与えた
それから肉も やつのお望みの
おかげで やつはすっかり満腹になると
やつは願った あらゆる良い運が私にあるようにと

彼は去っていったが その前に振り返り
本当のところ全くどうしてだか分からないのだが
やつが私に触れて おかげで私は燃え上がり
苦しめられるようになってしまったのだ

愛の静かな炎が 目に見えぬ火が
そのとき私の胸に忍び込んできたのだ
実のところ私には弓は見えなかったのだけれど 私は信じている
やつの指は矢だったのだと

2 A dirge
2 葬送歌

Here she lies,in bed of spice,
Fair as Eve in Paradise
For her beauty was such
Poets could not praise too much.
Virgins come,and in a ring
Her supremest requiem sing.
Then depart but see ye tread
Lightly,lightly o'er the dead.

ここに彼女は横たわる 死の床に
楽園のイブのように美しく
彼女の美しさはそれほどのものだったのだ
どんな詩人もこれ以上讃えることはできないほどに
乙女たちよ 来て 輪の中で
彼女への至高のレクイエムを歌え
それから去って行け だが足取りを感じるのだ…
軽やかに 軽やかに 死者の上を行く

3 Morning song
3 朝の歌

Let's now take our time
While we're in our prime,
And old,old age is afar off:

For the evil,evil days
Will come on apace,
Before we can be aware of.

時を楽しもうぜ
まだお盛んなうちに
老年なんか まだ先のうちに

その酷い 酷い歳月ってやつは
すばやく忍び寄ってくるんだ
俺たちが気付かないうちに

4 To Electra
4 エレクトラに

I dare not ask a kiss,
  I dare not beg a smile,
Lest having that,or this,
  I might grow proud the while.

No,no,the utmost share
  Of my desire shall be
Only to kiss that air
  That lately kissed thee.

私はくちづけを求めはしない
  笑顔を求めることも
もし実現したら こんなことや あんなことが
  私はしばらくは誇らしく思えるのだろうけろども

いや いや 最大限の分け前は
  私の願望に対する それは多分
空気にくちづけをすることだけだろう
  いずれお前にくちづけをすることになるだろう空気に

5 To violets
5 スミレたちに

Welcome,maids-of-honour!
You do bring
In the spring,
And wait upon her.

She has virgins many,
Fresh and fair;
Yet you are
More sweet than any.

You're the maiden posies,
And so grac'd
To be plac'd
'Fore damask roses.

Yet,though thus respected,
By-and-by
Ye do lie,
Poor girls,neglected.

ようこそ 誉れある侍女たちよ
お前たちは招き入れるのだ
春を
そしてそのお世話をする

春は連れてくる たくさんの娘たちを
爽やかで美しい娘らを
それでも お前たちは
誰よりもずっと愛らしいのだ

お前たちは花束の乙女
その優美さで
真っ先に讃えられるのだ
ダマスクのバラを差し置いて

だが それほど敬意を払われても
次第次第に
お前たちは忘れ去られ
哀れな乙女たちよ 打ち捨てられるのだ


このすぐあとの作品番号が同じヘリックの詩につけた独唱歌曲集でけっこう頻繁に取り上げられますが、こちらの5曲からなるアカペラの混声合唱曲集、なかなか取り上げられることもないようでまだ私も耳にできていません。

( 2020.05.19 藤井宏行 )