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白蓮の短歌による歌曲  


詩: 柳原白蓮 (Yanagiwara Byakuren,1885-1967) 日本

曲: 下總皖一 (Shimofusa Kanichi,1898-1962) 日本 日本語


1 毒の香たきて


毒の香たきてしつかに眠らばや小がめの花もくづるゝ夕べ


2 何となく


何となく泪ぐましき淋しさの静かに迫る夕月のかげ


3 花と花


花と花うす紫とくれなゐと うなづきあふは何のこころぞ


4 はてもなき


はてもなき大空の色波のいろあまりに遠き我思ひかな


5 ものすごく月は暈きて


ものすごく月は暈きてはらはらと俄に起る山おろしの風


6 鐘のなる


鐘のなるたえまたえまに花降れば魂も消ぬがになみだをぞする



没後50年以上が経って忘れられた作曲家の仲間入りをしつつある感のある下総ですが、なかなか素晴らしい曲があります。この6曲から成る「白蓮の短歌による歌曲」、アルトの小川明子さんが意欲的に取り上げられていてYoutubeでも全曲聴くことができますが実に本格的で素晴らしい日本歌曲集。詞の柳原白蓮は数年前のNHK朝のテレビ小説の登場人物のモデルとして少しリバイバルしたようですし、もう一度リバイバルしても良いように思いました。著作権が一昨年切れて、有難いことに国会図書館のディジタルアーカイブに彼女の歌集がもうアップされておりました。

( 2019.01.16 藤井宏行 )