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Zhuk    
  Detskaja
かぶとむし  
     「子供部屋」

詩: ムソルグスキー (Modest Petrovich Mussorgsky,1839-1881) ロシア
    Детская  Жук

曲: ムソルグスキー (Modest Petrovich Mussorgsky,1839-1881) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Njanja,njanjushka!
chto sluchilos',njanja dushen'ka!
Ja igral tam na pesochke,
za besedkoj,gde berjozki,
Strojil domik iz luchinochek klenovykh,
Tekh,chto mne mama,sama mama nashchepala.
Domik uzh sovsem postrojil,
Domik s kryshkoj,nastojashchij domik,
Vdrug!

No samoj kryshke zhuk sidit,
Ogromnyj,chjornyj,tolstuj takoj,
usami shevelit strashno tak,
I prjamo na menja vsjo smotrit!
Ispugalsja ja! A zhuk gudit,zlitsja,
Kryl'ja rastopyril,
skhvatit' menja khochet! . . .
I naletel,v visochek menja udaril!
Ja pritajilsja,njanjushka,
prisel,bojus' poshevel'nut'sja!
Tol'ko glazok odin chut'-chut' otkryl,
I chto-zhe,poslushaj,njanjushka:
Zhuk lezhit,slozhivshi lapki,
kverkhu nosikom,na spinke,
I uzh ne zlitsja,i usami ne shevelit,
I ne gudit uzh,tol'ko krylyshki drozhat.
Chto-zh,on umer,il' pritvorilsja?
Chto-zh `eto,chto-zhe,
skazhi mne,njanja,s zhukom-to stalos'?
Menja udaril,a sam svalilsja!
Chto-zh `eto s nim stalos',s zhukom-to!

ナーニャ、ナニューシカ!
すごいんだよ、ナーニャちょっと聞いて!
ぼく、原っぱで遊んでたんだ
白樺の林のそばの小屋のところでね
カエデの木の小さなおうちを作ってたの
大好きなママの切ってくれた木切れでね
おうちがほとんどできて
最後に屋根をのっけて、おうちができあがったところで
とつぜん!

かぶとむしが来て屋根のうえにとまったんだ
でっかくて、真っ黒で、すごく太ってるやつなんだ
ひげを上げたり下げたりしながら
じっとぼくのことにらんだの!
とってもこわかったんだ!そしたらかぶとむしは怒ったみたいにギーギーいって
羽根を大きく広げて
ぼくを捕まえようとしたんだ!
かぶとむしは飛び上がって、ぼくのおでこにぶつかったの!
ぼく、しりもちついちゃった、ナニューシカ
びっくりして、こわくて息が止まりそうだったんだ!
そっと目をあけて見てみたら
どうなってたと思う、聞いてよ、ナニューシカ
かぶとむしは足をぜんぶ折りまげてねてるんだ
おなかを上にして
もう怒ってなかったし、ひげも動かなかったし
ギーギーいわなかったけど、羽根だけふるえてた
かぶとむし、死んじゃったのかな、それとものびちゃっただけ?
どっちなんだろう
ねえ教えてよ、ナーニャ、かぶとむしはどうしちゃったの?
ぼくにぶつかって、落っこちちゃったんだ!
どうしちゃったのかなあ、かぶとむしは!


この詩、まるで本当に子供が書いたみたいです。なんだか文章が整然としていませんが、子供が思いつくままに次々と繰り出す言葉をそのまま書きとめたらこんな感じになるのでしょうか(決して私の訳がド下手なだけが理由ではないのです)。そして息せき切って走ってきて、思いつくがままに話している男の子の見事な描写。
この「子供部屋」、ドビュッシーが高く評価していた、という話を聞いたことがありますが、この曲が伴奏の浮遊感といいメロディの流れといい、ドビュッシーの歌曲のような感じが一番強いように思います。
スロベニアのメゾソプラノ、リポウシェクが名伴奏者、グレアム・ジョンソンのサポートを受けて入れたSony盤が、歌声に元気の良い男の子の感じが良く出て、しかもそんな子が歌うドビュッシー風の歌曲という不思議なミスマッチ感を漂わせてとても面白い聴きものでした。
もちろん伴奏の表情豊かさも素晴らしいです。

( 2006.01.28 藤井宏行 )


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