帰去来 |
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山門(やまと)は我が産土(うぶすな) 雲騰(あが)る南風(はえ)のまほら 飛ばまし 今一度(いまひとたび) 筑紫よ かく呼ばへば 戀(こ)ほしよ潮の落差 火照沁む夕日の潟 盲(し)ふるに 早やもこの眼 見ざらむ また葦かび 籠飼(ろうげ)や水かげろふ 帰らなむ いざ鵲(かささぎ) かの空や櫨(はじ)のたむろ 待つらむぞ今一度(いまひとたび) 故郷やそのかの子ら 皆老いて遠きに 何ぞ寄る童ごころ |
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中国の詩人 陶淵明の「帰去来の辞」を下敷に晩年の白秋が書いた故郷筑紫への望郷の詩に、信時がしみじみしたメロディを付けました。独唱曲としてだけでなく合唱としても歌われるようで、毎年11月詩人の命日に開かれる白秋祭で歌われたものがYoutubeにも色々アップされておりました。
( 2018.07.22 藤井宏行 )