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Ispanskaja Pesnja    
  3 Zabitikh romansa
スペインの歌  
     3つの忘れられたロマンス

詩: ミハイロフ (Mikhail Larionovich Mikhailov,1829-1865) ロシア
      Испанская Песня 原詩: Gil Vicente ヴィセンテ

曲: バラキレフ (Mily Alexeyevich Balakirev,1837-1910) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Spish' li ty,moja devica?
Otvorjaj skoreje dveri!
Chas nastal davno zhelannyj,
mozhno nam bezhat' teper'.

Esli nozhku ne obula
ty v atlasnyj bashmachok,
To ne nuzhno,ved' doroga
nam idjot cherez potok.

Chrez struji Gvadalkvivira
my pojdjom,drug milyj moj.
Chas nastal davno zhelannyj,
ty moja teper',ja tvoj.

眠っているのか、僕の恋人よ
さあ、ドアを開けてくれ!
もう時がやってきたんだ
僕らが出かけることのできる時が

もしも何も履いていないのなら
サテンのブーツを履いてないのなら
何も履いていく必要はないよ
僕らの進む道は水の中だから

あのグァダルキヴィル川の流れに入り
恋人よさあ行こう
僕らがここをたつ時が来たんだ
君は僕のものだ。そして僕は君の...


もし私がこの歌曲会館で詞の翻訳などという酔狂なことをしていなければ、そして甲斐さんの労作のヴォルフのスペイン歌曲集の訳とコメントを読ませて頂いていなければ、ロシア歌曲をいくら聴き込んだとしてもバラキレフの若書きであるこの曲に目に留めることはなかったと思います。甲斐さんがスペイン歌曲集の世俗歌曲第27番『眠りについている君、僕の恋人よ』で訳詞とコメントを書かれていますのでぜひ見てきて欲しいのですが、詞を見比べるまでもなく中身が一緒なのことはすぐお分かりだと思います。かつて私はフランスのシャルル・グノーの作った歌曲「おいで、芝生は緑」が同じ詩をルーツに持つということを知って大変興味深く思ったのですが、今度はロシア歌曲でこの詩に再会です。当時からヨーロッパ中に良く知られた詩(あるいは物語)であったということなのでしょうね。

こちらの歌は屈託ないスペイン風のメロディ、ロシアの作曲家が憧れに満ちて模倣することの多いスペイン情緒ですがバラキレフのはかなりキッチュな感じ(ビゼーの歌曲みたいです)。でも後奏部の明るいピアノの盛り上がりはちょっと素敵かも。オリガ・ボロディナの入れたCD「ロシアン・ロマンスの調べ」(Philips)の中に入っているのを見つけておやっと思いました。他にもTritonで昔出ていたバラキレフの歌曲全集や、ガリーナ・ゴルチャコーワの録音があるようですがこちらは未聴です。

( 2006.01.13 藤井宏行 )


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