Liebesglück Gedichite von Eichendorff für eine Singstime und Klavier |
愛の喜び アイヒェンドルフ歌曲集 |
Ich hab' ein Liebchen lieb recht von Herzen, hellfrische Augen hat's wie zwei Kerzen, und wo sie spielend streifen das Feld, ach,wie so lustig glänzet die Welt! Wie in der Waldnacht zwischen den Schlüften plötzlich die Täler sonnig sich klüften, funkeln die Ströme,rauscht himmelwärts blühende Wildnis - so ist mein Herz! Wie vom Gebirge ins Meer zu schauen, wie wann der Seefalk,hangend im Blauen, zuruft der dämmernden Erd',wo sie blieb,- so unermeßlich ist rechte Lieb'! |
僕には心の底から愛する恋人がいる 輝く澄んだ瞳は二本のろうそくみたいだ 彼女が野原を眺めわたすと ああ、この世はなんと嬉しげに輝くことか! 峡谷の間の夜の森のなかで 突然日のあたる谷間がひらけ 流れがきらめいて天に向けてざわめき 野には花々が咲くように・・・僕の心はそうなんだ! 連山の頂から海原を見おろすように 蒼空遥かに飛ぶ海鷹のように 薄暮の大地に向って叫ぶ、彼女はどこかと・・・ この真の愛の深さははかり知れないのだ! |
喜びに満ちた、しかし青臭い愛の賛歌。一人で熱く感動していますが、彼女の方の気持ちはどうなんだと思ってしまいます。ヴォルフは出版譜でこの曲を「災難」のあとに置いているのが皮肉っぽくて面白いです。キューピッドの矢の効果てきめんといったところでしょうか。作曲の日時も「災難」が1888年10月25日、「愛の喜び」が二日後の27日とされています。さすがに「災難」の訳にあわせて「俺」を使うのはやめておきましたが(笑)
さてこれは何かの挿入詩ではなく独立した作品ですが、詩集では”Der Glückliche”(幸運・幸福)という題名になっています。”Seefalk”は特定の鳥類の名前ではないようなので、直訳で「海鷹」にしました。
プライ(エンジェル)の情熱的な歌はこの詩に強い説得力を与えており感動的。若々しいスコウフス(ソニー)、爽やかなゲンツ(英ハイペリオン)も良かったです。一方フィッシャー=ディースカウ(グラモフォン)の鋭い歌唱で聞くと、いかにも大げさな歌詞に聞えて来るのが面白いです。
( 2005.10.17 甲斐貴也 )