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Maid of Athens   CG. 406  
 
アテネの乙女  
    

詩: バイロン (Lord Byron,1788-1824) イギリス
    Childe Harold's Pilgrimage  

曲: グノー (Charles Gounod,1818-1893) フランス   歌詞言語: 英語


Maid of Athens,ere we part,
Give,o give me back my heart.
O,since that has left my breast,
Keep it now and take the rest.
Hear my vow before I go,
Zoi mou,zas agapo.

By those tresses unconfin’d,
Woo’d by each Aegean wind;
By those lids whose jetty fringe
Kiss thy soft cheeks’ blooming tinge;
By those wild eyes like the roe,
Zoi mou,zas agapo.

By that lip I long to taste;
By that zone-encircl’d waist;
By all the token-flowers that tell
What words can never speak so well;
By Love’s alternate joy and woe,
Zoi mou,zas agapo.

Maid of Athens,I am gone:
Think of me,sweet! when alone.
Though I fly to Istamboul,
Athens holds me heart and soul:
Can I cease to love thee? No!
Zoi mou,zas agapo.

アテネの乙女よ 私たちが別れる前に
返してくれ おお返してくれ わが心を
おお それはもう私の胸を去ったのだから
今はそれを持っていてくれ そして残りも取ってくれ
聞いてくれ わが誓いを 私が行く前に
ゾイ モウ ザス アガポ

解いたその髪にかけて
そこを吹き抜けて行く エーゲの海風が
そのまぶたにかけて そこを縁取る黒いまつ毛は
くちづけている お前の柔らかい頬の花咲く色合いに
その小鹿のように鋭いその瞳にかけて
ゾイ モウ ザス アガポ

その唇にかけて 私がずっと味わってきた
その帯を巻いた腰にかけて
その思い出の花たちにかけて それらは告げている
どのような言葉でもうまく語り得ぬことを
愛の交互に来る喜びと悲しみにかけて
ゾイ モウ ザス アガポ

アテネの乙女よ 私は行く:
私のことを思ってくれ 愛しい人よ!一人の時は
私は去って行くが イスタンブールへと
アテネは持ったままなのだ 私の心と魂を:
止められようか お前を愛することを? 決して!
ゾイ モウ ザス アガポ

バイロンの有名な物語詩「チャイルド・ハロルドの巡礼」の中の一節につけています。英語の詩ですがメロディはフランス情緒が濃厚で、フランス語に訳された詞で歌われる方が多いかもしれません。Hyperionから出ているグノー歌曲集の録音では英語で歌われていましたので、ここでは英語の原詩でご紹介することとします。各節最後の1行はギリシャ語で、意味は「わが命よ 私はお前を愛する」といったところのようです。そういえば高校の社会科で、ギリシャ語の「愛」のことを「アガペー」と言う、と教わったのを思い出しました。

( 2018.04.15 藤井宏行 )


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