TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Lieber alles    
  Gedichite von Eichendorff für eine Singstime und Klavier
全てに勝る  
     アイヒェンドルフ歌曲集

詩: アイヒェンドルフ (Josef Karl Benedikt von Eichendorff,1788-1857) ドイツ
    Gedichte - 3. Zeitlieder  Lieber alles

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Soldat sein,ist gefährlich,
studieren sehr beschwerlich,
das Dichten süß und zierlich,
der Dichter gar possierlich
in diesen wilden Zeiten.
Ich möcht' am liebsten reiten,
ein gutes Schwert zur Seiten,
die Laute in der Rechten,
Studentenherz zum Fechten.
Ein wildes Roß ist's Leben,
die Hufe Funken geben,
wer's ehrlich wagt,bezwingt es,
und wo es tritt,da klingt es!

兵士になったら命が危ない
勉強するのは骨が折れる
詩作は甘美で優雅だけれど
この乱世に詩人など
全くの道化者だ
僕はそれより馬を駆りたい
名剣を腰に下げ
右手にリュートを持ち
学生の気概で戦いに赴くのだ
人生は荒馬のようなもの
蹄鉄が火花を散らし
勇敢な者だけが乗りこなす
そして蹄の音高らかに進むのだ!


 兵士よりも、学生よりも、詩人よりも、騎士でありたいという学生歌。詩人だけが特別にくさされること、騎士という語が使われていないのが面白いです。駆ける馬の蹄鉄が地面の硬いものを蹴って火花が散る光景は、かつては普通のことだったようですが、わたしは残念ながら見たことがありません。
 ヴォルフの曲は「僕はそれより馬を駆りたい」のところから騎行のリズムになる軽快なもの。こういう調子の良い青臭い曲になるとやはり若手が・・・などと言うわたしの方がお調子者でしょうか。しかし期待の新人シュテファン・ゲンツの若々しい歌はこの曲にぴったりです(英Hyperion CDA66909)。女声用も含め、ヴォルフの作曲したアイヒェンドルフ歌曲を全て収めたこの盤で、この曲が劈頭を飾っています。ボー・スコウフス(ソニーSRCR1698)はさらに威勢が良く、かなり強そうな騎士ですが、あんまり強く無さそうなゲンツの方がそれらしく聞こえるように思いました。

( 2005.09.14 甲斐貴也 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ