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ダンチョネ節    
 
 
    

詩: 不詳 (Unknown,-) 
      

曲: 民謡/作曲者不詳 (Folksong,-)    歌詞言語: 日本語


沖の鴎と飛行機乗りは どこで散るやらネ はてるやらダンチョネ
俺が死ぬ時ハンケチ振って 友よあの娘よネ さようならダンチョネ
弾は飛び来るマストは折れる ここが命のネ 捨てどころダンチョネ
俺が死んだら三途の川で 鬼を集めてネ 相撲とるダンチョネ
敵も味方もあの世じゃ同じ 鬼と物怪ヨ 踊りましょダンチョネ



もしかして戦後の人の手がかなり入っているかも知れないと思うくらい美しくもヒロイックな歌ですが、アメリカの軍艦に飛行機ごと体当たりして死んでいったといわれる特攻隊員たちに愛唱されていたと言われ、「特攻隊節」の名前もついています。
元は神奈川県・三浦半島の方の民謡のようで、戦後でも有名なところでは八代亜紀さんのヒット曲「ふなうた」の中間部分にさりげなく挿入されているのを聴くことができます。

まだ20代そこそこの若い兵士たちが死を覚悟して歌う歌としては、あまりに美し過ぎるような気もするのですが、私が一番心を打たれるのは最後の「敵も味方もあの世じゃ同じ」のフレーズです。

最近たまたま目にしたイギリスの詩人トマス・ハーディの詩に、同じような心意気のとても印象的なものがありました。
残念ながら容易に聴けそうな音楽作品にはなっていないようなのですが、こちらもとても感動させられたのでまた例によって付け焼刃の翻訳を試みてみます(クラシックはEmily Azustのページで確認しましたが、もしポップス作品などでこの詩が音楽になっているものをご存知の方がいればぜひご教示頂けるとありがたいです)

この詩にもある通り、本当に戦争とは不思議なものです。今憎しみの極みにあるような相手でも、直接会ってみれば意気投合できたかも知れないのに。
憎しみ会いの極限状況でもある戦争において、まさに最前線にいる兵士たちにあってこそそんな感慨に思い至っているというのは非常に意味深いことです。かえって相手と顔を突き合わせることのない銃後や作戦司令室のようなところで、見えない敵に対する憎しみがエスカレートしていく。太平洋戦争期においても一番過激だったのは銃後の一般庶民に歌われた戦時歌謡だったりしたことはよくよく噛み締めてみる必要があるでしょう。だから会ったこともないような人を憎み、罵倒するようなことはいいかげん止めにしませんか?


殺した男は...(トマス・ハーディ)

もしもおれと奴が
どこか古い居酒屋ででも会っていたのなら
きっと差し向かいで座って
酒でも酌み交わしていたんだろうが

お互い歩兵になっていて
面と向かい会ったからには
おれは奴を撃った、奴がそうしたように
そして奴を撃ち殺したんだ

おれは奴を殺した
なぜなら、奴はおれの敵だったからだ
ただそれだけだ、奴はおれの敵だった
それだけは確かだ、だけども

やつが軍隊に志願したのは、たぶん
おれがそうだったように 無造作に
仕事にもあぶれてたんでなっただけのはずだ 身の回りのものを売っぱらって
ほかになんて理由もなかったはずだ

全く 戦争ってやつはおかしなもんだ
見知らぬやつを撃ち殺す
もしそいつに、どこか居酒屋で会ったのなら
半クラウン銀貨分くらい奢ってやっていたはずのやつを


The man he killed
              by Thomas Hardy (1840-1928)

Had he and I but met
By some old ancient inn,
We should have sat us down to wet
Right many a nipperkin!

But ranged as infantry,
And staring face to face,
I shot at him and he at me,
And killed him in his place.

I shot him dead because -;
Because he was my foe,
Just so; my foe of course he was;
That's clear enough; although

He thought he'd 'list perhaps,
Off-hand like -just as I -;
Was out of work -had sold his traps -;
No other reason why.

Yes; quaint and curious war is!
You shoot a fellow down
You'd treat if met where any bar is,
Or help to half-a-crown.

( 2005.08.10 藤井宏行 )


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