Mon habit CG. 410 |
わが外套よ |
Sois-moi fidèle,ô pauvre habit que j'aime! Ensemble nous devenons vieux. Depuis dix ans je te brosse moi-même, Et Socrate n'eut pas fait mieux! Quand le sort à ta mince étoffe Livrerait de nouveaux combats, Imite-moi,résiste en philosophe: Mon vieil ami,ne nous séparons pas. Je me souviens,car j'ai bonne mémoire, De premier jour où je te mis. C'était ma fête,et pour comble de gloire, Tu fus chanté par mes amis. Ton indigence,qui m'honore, Ne m'a point banni de leur bras, Tous ils sont prêts à nous fêter encore: Mon vieil ami,ne nous séparons pas. À ton revers j'admire une reprise; C'est encore au doux souvenir. Feignant un jour de fuir la tendre Lise, Je sens sa main me retenir. On te déchire,et cet outrage Auprès d'elle enchaîne mes pas. Lisette a mis deux jours à tant d'ouvrage: Mon vieil ami,ne nous séparons pas. Ne crains plus tant ces jours de courses vaines Où notre destin fut pareil; Ces jours mêlés de plaisirs et de peines, Mêlés de pluie et de soleil. Je dois bientôt,il me le semble, Mettre pour jamais - habit bas. Attends un peu; nous finirons ensemble: Mon vieil ami,ne nous séparons pas. |
いつまでも忠実であれ 粗末な外套よ わが愛しの! 一緒にわしらは年老いてきた 十年もの間 わしはお前にブラシをかけてきたのだぞ ソクラテスですら これほどのことはしなかっただろう! 運命がお前の擦れた生地に 新しい戦いをしかけてきたときにも わしを真似よ 哲学者として抵抗するのだ: わが古い友よ わしらが別れ別れとなることはないのだ わしは覚えている 記憶力は良いからな 初めてお前を着た日のことを それはわしの誕生日だった そしてその栄誉をたたえて お前の讃歌が歌われたのだ わしの友人たちによって お前のみすぼらしさは わしの誇りであり わしに禁じることはなかった この腕を通すことを すべての者たちは再びわしらを祝ってくれるだろう: わが古い友よ わしらが別れ別れとなることはないのだ お前の背の繕い跡もまたわしの誇りだ それはなおも甘い記憶だぞ ある日 逃げ出すふりをしたときに 愛するリセのところから わしは感じたのだ あの女の手がわしを捕まえるのを わしらはお前を引き裂いてしまい この事故が あの女との関係をより深めるきっかけとなったのだ リセットは丸二日かけてお前を繕ってくれたぞ わが古い友よ わしらが別れ別れとなることはないのだ 恐れるな 空しき争いの日々を わしらの運命は一体なのだ この日々は喜びと苦しみを溶け合わせている 溶け合わせているのだ 雨と晴天を わしももうすぐ わしには思えるのだが 永遠に置くことになろう この外套を脱いで いいや 待て わしらは一緒だ 最後の時まで: わが古い友よ わしらが別れ別れとなることはないのだ |
フランス革命の頃に活躍した諷刺詩人にしてソングライターのベランジェ、彼の書いた権力に反抗するシャンソンの詩は、後の時代にも愛されて色々な人が新たな歌曲にしています。グノーも何曲か取り上げているようですが、彼の抒情的な曲想とは似合わないと思われているためでしょうか。ほとんど今では歌われることはないようです。
この曲はまあ権力者批判というわけでもなく、飄々としたユーモアがなかなかに好ましいのでたまに歌われることもあるようで、CDでもHungarotonレーベルにあるグノー歌曲集の中でバリトンのG.オレントが歌っているものを耳にすることができました。
ここで外套愛を表明する老いた哲学者、ふと思い出したのはパリを舞台にしたプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」、あそこに登場する若い哲学者コッリーネは第4幕で唐突に愛する外套に別れを告げるアリアを歌いますが、実はあの人物の下地にはこのベランジェのシャンソンがあるのではないかと感じました。ベランジェの方は徹頭徹尾ユーモラスに歌っていますが何か通じるものを感じます。
( 2018.02.11 藤井宏行 )