Indian Love Song Three Songs |
インディアン・ラブ・ソング 3つの歌 |
Arise from dreams of thee In the first sweet sleep of night, When the winds are breathing low, And the stars are shining bright. I arise from dreams of thee, And a spirit in my feet Hath led me -- who knows how? To thy chamber window,Sweet! The wandering airs they faint On the dark,the silent stream-- And the Champak's odours fail Like sweet thoughts in a dream; The nightingale's complaint, It dies upon her heart, As I must on thine, O belovèd as thou art! O lift me from the grass! I die! I faint! I fail! Let thy love in kisses rain On my lips and eyelids pale. My cheek is cold and white,alas! My heart beats loud and fast: O press it to thine own again, Where it will break at last! |
あなたの夢から目覚めた 夜の初めての甘い眠りの中 風はほのかに吹いていて 星は明るくきらめいている あなたの夢から目覚めると わたしの足元の精霊が 連れてってくれた。どうやってなんて知らないけれど? あなたの部屋の窓辺へ、愛しい人! ただよう空気は冷たい 闇を静かに流れる小川の上で チャムパックの木は香る 夢の中の甘い記憶のように ナイチンゲールはささやく 彼女の胸の上で死んでしまいたいと 私もそうしたいものだ おお、恋人よ。あなたのもとで さあ、草むらから抱き上げて! 死んでしまう!くらくらする!気が遠くなる! キスの嵐であなたを愛させて 私のくちびるで、瞼があざになるまで 私の頬は冷たく、こわばっている。ああ 胸の鼓動が大きく、速くなる あなたの体で、この心臓を押さえつけて 破裂させてしまうくらい、強く |
ディーリアスというと、一時フロリダに暮らしていたこともありますから、この曲もその時の現地の情景を思い出して書いたのかななどと思ってしまいましたが、どうも詩をよく読んでみると、これはアジアの方のインドのことを歌っているようですね(チャムパックの木というのがインドあたりの植物なのだそうで)。まあ、そんなトロピカルな雰囲気など微塵もないディーリアス調のムードで曲は始まります。彼の音楽は、不思議なハーモニーの進行が特徴的だと思いますが、歌曲ではそれが特にピアノに出ていて、独特の捕らえどころの無さを醸し出します。
(それが好きな人にはコタエラレナイところなのでしょうけれど)
前半の夢うつつのようなところは、このムードが実にしっくりきて良いですけれども、この曲の面白いところは最後の節に来てから、「さあ、草むらから抱き上げて!」のところで本当に突然、音楽が爆発するところにあります。詩も臆面もないですが、音楽もひたすら熱く、これがディーリアス!?と驚いてしまいました。
エクスタシーの描写としてもこれはかなり強烈です。美しい自然の賛歌ばかりがディーリアスじゃあないよということで、あえてご紹介してみました。
私の手持ちは、エルガーのところでもご紹介したB.ラクソンのバリトン(Chandos)ですが、イギリス歌曲入門としてもなかなか良いアルバムだと思います。
( 1999.11.01 藤井宏行 )