別離 |
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せめてなごりのくちづけを濱へ出てみて送りませう いや、いや、濱風、むかひ風、くちづけなんぞは吹きはらふ せめてわかれのしるしにと、この手拭(ハンケチ)をふりませう いや、いや、濱風、むかひ風、手拭なんぞは飛んでしまふ せめて 船出のその日には 涙ながして おくりませう いや、いや、濱風、むかひ風、涙なんぞは 干(ひ)てしまふ えい、そんなら、いつも、いつまでも、思ひつづけて忘れまい おゝ、それでこそお前だ、それでこそお前だ |
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團は上田敏の訳詞集「海潮音」から2篇を選んで独唱の歌曲にしています。これはそのうちのひとつ。原詩のフォールの著作権がまだ生きておりますので厳密に言うと訳詞でも載せるとアウトなのかもしれませんが、原詩の探索もできておりませんのでまあ著作権の切れている上田敏の創作ということで日本語の詞を掲載させて頂きます。原詩人の国フランスの歌曲を思わせる洒落たメロディがつけられています。
( 2018.01.10 藤井宏行 )