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Verschwiegen Liebe    
  Gedichite von Eichendorff für eine Singstime und Klavier
寡黙の愛  
     アイヒェンドルフ歌曲集

詩: アイヒェンドルフ (Josef Karl Benedikt von Eichendorff,1788-1857) ドイツ
    Robert und Guiscard  Verschwiegene Liebe

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Über Wipfel und Saaten
In den Glanz hinein -
Wer mag sie erraten,
Wer holte sie ein?
Gedanken sich wiegen,
Die Nacht ist verschwiegen,
Gedanken sind frei.

Errät es nur eine,
Wer an sie gedacht
Beim Rauschen der Haine,
Wenn niemand mehr wacht
Als die Wolken,die fliegen -
Mein Lieb ist verschwiegen
Und schön wie die Nacht.

梢をこえ麦畑をこえ
あの光の方へと・・・
誰が知る
誰が受けとめる
想いはゆらめき
夜は寡黙
想いは自由

わかるのはただ
想いを抱く者のみ
林はまどろみ
めざめているのは
流れゆく雲・・・
わたしの愛は寡黙
そしてこの夜のように麗しい


 叙事詩『ロベルトとギスカール』Versepos”Robert und Guiscard”(1855)の挿入詩(無題)で、アイヒェンドルフは「挨拶」”Gruß”という題をつけていました。現在の「寡黙の愛」という題名は伝記の著者で息子のヘルマン・アイヒェンドルフによるものとされています。
 ヴォルフの作曲は瞑想的でロマンティックな佳曲です。フィッシャー=ディースカウは四種の録音を残していますがいずれも素晴らしい出栄え。寡黙な夜に漂う想いを霊感豊かに表現していると思います。彼のメーリケ歌曲の優れた数編を思い起こさせる見事な歌唱です。1952年の最初の録音(エンジェル)からしてそれまでの戦前戦中派の歌とは次元の異なる精緻な歌唱で、当時彼がいかに驚きを持って迎えられたかが思われます。より親密で暖かいプライもとてもよく、特にフィリップス盤。録音のほとんどが男声によるものですが、ソプラノのボニーが最初のリサイタル盤で美しく歌っていた他、LP時代にジュディス・ブレゲンも録音していました(米RCA)。

( 2005.11.09 甲斐貴也 )


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