平和の琉歌 |
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詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください
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1995年、駐留の米軍兵士による婦女暴行事件などもあり、反基地闘争に火がついたようになった沖縄でした。この歌の冒頭
「この国が平和だと 誰が決めたの? 人の涙も乾かぬうちに」
とあるのは、太平洋戦争中も戦場となって多くの犠牲を出した沖縄に、戦後も米軍基地の多くを押し付けてぬくぬくと平和の恩恵だけを貪っている多くの本土人たちに向けられた鋭い言葉。すぐにどうできるというものではないですが、そういう状況にあるということだけは忘れないようにしたいものです。
さて、そんな時期に作られたこの歌。なんとあのサザンオールスターズの歌なのですね。基地と隣り合わせの日常が沖縄風の優しいメロディーに乗ってゆったりと歌われるので余計に心に刺さってきます。1996年10月の沖縄・宜野湾でのライブで歌われたという記録が確認できましたし、録音は「Yeah」というアルバムにあるようです。
彼らのオリジナルも良いのですが(JVCにあるサザンのサイトで歌詞全部を見られ、また一部試聴もできます)、私がこの歌を初めて知ったのは沖縄の歌姫たち、ネーネーズのカヴァーしたこの歌です。彼女たちの見事な沖縄民謡と同じようにしみじみと歌われるこの歌、作者が沖縄出身でなくてももはや沖縄オリジナルの味わい。有名な宮沢和史さんの「島唄」を引き合いに出すまでもなく、沖縄の島唄の伝統は外から伝わった音楽をすぐに自分のものとして消化してしまうところ。素晴らしいミュージシャンを次々輩出しているのもそんな懐の広い音楽土壌があるからでしょうか。
蒼いお月様が泣いております
未だ終わらぬ過去があります
愛を植えましょう この島へ
桑田佳祐の詩の素晴らしさは昔から折り紙付き。平成に生まれた反戦歌の名曲のひとつにきっとなることでしょう。
( 2005.06.25 藤井宏行 )