Muse und Dichter Op.62-37 Das Holdes Bescheiden |
詩神と詩人 歌曲集「善き慎み」 |
>>Krank nun vollends und matt! Und du,o Himmlische,willst mir Auch schon verstummen - o was deutet dies Schweigen mir an? Gib die Leier!<< - Nicht doch,dir ist die Ruhe geboten. Schlafe! träume nur! still ruf'ich dir Hülfe herab. Deinem Haupte noch blühet ein Kranz; und sei es zum Leben, Sei's zum Tode,getrost! meine Hand windet ihn dir. >>Keinen Lorbeer will ich,die kalte Stirne zu schmücken: Laß mich leben,und gib fröhliche Blumen zum Strauß!<< |
「最早完全に病に冒され力も尽きた! そのうえ至高なる者よ、あなたはわたしに もう口を閉ざしてしまうおつもりなのですか・・・ああ、この沈黙は何を意味するのでしょうか? わたしに竪琴をお与えください!」・・・そうではありません、今のお前には休息が必要なのです。 眠りなさい! 夢見るのです! わたしはここから静かにお前を救う言葉をかけましょう。 お前の頭にはまだ花咲く冠があります;それが生者のためであれ、 死者のためであれ安んじなさい! わたしが手ずからお前のために編んだものなのですから。 「冷たい額を飾る月桂の冠は頂きたくありません: わたしを生かして下さい、そして喜びの花束をお与え下さい!」 |
病床の詩人と詩神(ミューズ)の対話。『善き慎み』では「信仰」の項に収められ、次の曲とともに「病床にて」という副題がつけられています。ミューズは女神であることから女言葉風にしてみました。病の床に就く詩人は体力気力とともに霊感をも失いかけているのでしょうか。晩年のメーリケの姿を予言するような詩です。シェックの曲は病床の詩人の憂鬱を巧みに表現しています。二種の全集盤でフィッシャー=ディースカウとボストリッジの歌を聴くことが出来ます。
( 2005.06.19 甲斐貴也 )