笛の音のする里へ行かうよ |
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俥に乗つてはしつて行くとき 野原も 山も ばうばうとして霞んでみえる 柳は風にふきながされ 燕も 歌も ひよ鳥も かすみの中に消えさる ああ 俥のはしる轍を透して ふしぎな ふしぎな ばうばくたる景色を行手にみる その風光は遠くひらいて さびしく憂鬱な笛の音を吹き鳴らす ひとのしのびて耐へがたい情緒である このへんてこなる方角をさして行け 行け 行け 俥に乗つてはしつて行くとき 野原も 山も ばうばうとして霞んでみえる 柳は風にふきながされ 燕も 歌も ひよ鳥も かすみの中に消えさる 春の朧な 柳のかげで 歌も燕もふきながされ わたしの俥やさんはいつしんですよ |
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( 2017.12.28 藤井宏行 )