月ぬ美しや(つくぬかいしや) |
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月ぬ美しや十日三日(とぅかみいか) 女童(みやらび)美しや十七つ(とうななつ) ホーヰーチョーガー 東(ありぃ)から ありおる うふ月ぬ夜(ゆ) 沖縄(うきなん)八重山(やいまん)照らしょーり ホーヰーチョーガー あんだきなーぬ うふ月ぬ夜 ばが けら あさびょうら ホーヰーチョーガー |
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間宮芳生氏が日本民謡のピアノ伴奏の見事な編曲作品を多数書いているのはすでに取り上げましたが、歌と芸能の国、沖縄の素晴らしい民謡の数々がそこにはひとつも入っていませんでした。この魅力的な沖縄の民謡の編曲については沖縄の芸能の名家に生まれ、オペラやシンフォニーをいくつも書くなど沖縄のクラシック音楽界に燦然と輝く?女性作曲家の金井喜久子さんがかなりたくさんの曲について行っています。沖縄本島ばかりでなく、宮古・石垣などの八重山の民謡も取り上げているのですが、その美しさを何と表現したらよいのでしょうか! 沖縄の音楽は本土とは音階が違いますから、民謡にピアノの伴奏を付けたときにもその印象は全然違います。小気味よく歌われる踊りの歌も良いのですが、ピアノの音と溶け合って息を呑むほどきれいなのはやはり子守唄のようなゆったりした曲。宮古島の子守唄である東里真中(あがりざとぅんなか)など絶品です。
ここに取り上げたのはもうひとつの八重山地方の子守唄。私は子供の頃NHKの「みんなのうた」でこの曲を知って、琉球にはこんな美しいうたがあるのか、といたく感動した覚えがあります。恐らく沖縄のメロディの中でも指折りの名曲ではないかと思いますが、ここでも惚れ惚れするような美しい編曲で聞かせてくれます。
藍川由美さんが歌ったこの金井喜久子の沖縄民謡編曲集「てぃんさぐの花」で聴くことができます。
翻訳するのは野暮とは思いますが、標準語で歌える歌詞を付けると
月がきれいな十三夜
娘がきれいな十七歳
ほーいーちょーがー
東から上る お月様
沖縄も八重山も照らしてね
ほーいーちょーがー
あんなに大きなお月様
ぼくらもみんなで遊ぼうよ
ほーいーちょーがー
( 2005.06.22 藤井宏行 )