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Sérénade florentine    
 
フィレンツェのセレナード  
    

詩: ラオール (Jean Lahor,1840-1909) フランス
    L'Illusion - 1. Chants de l'Amour et de la Mort 5 Sérénade florentine

曲: デュパルク (Eugène Marie Henri Fouques Duparc,1848-1933) フランス   歌詞言語: フランス語


Étoile dont la beauté luit
Comme un diamant dans la nuit,
Regarde vers ma bien-aimée
Dont la paupière s'est fermée.
Et fais descendre sur ses yeux
La bénédiction des cieux.
Elle s'endort... Par la fenêtre
En sa chambre heureuse pénètre;
Sur sa blancheur,comme un baiser,
Viens jusqu'à l'aube te poser
Et que sa pensée,alors,rêve
D'un astre d'amour qui se lève!

その美しさを輝せている星よ
まるで夜空のダイヤモンドのように
ぼくの恋人をみつめてくれ
まぶたを閉じたあの人を
そして彼女の瞳の中へと
天上の祝福を届けてくれ
恋人は眠っている...この窓辺で
幸せに満ちたこの部屋を貫いて
星あかりよ、彼女の白い肌の上に
くちづけのように夜明けまで降り注いでくれ
そうすれば彼女は夢の中で
愛の星に抱き上げて貰っていると思うだろう
 

デュパルクの数少ない歌曲の中でも、この曲は非常にデリケートで、慎ましやかな風情を漂わせています。そのせいもあってか私は彼の他の雄弁な曲に比べると、あまり今まで印象に残っていなかったりもするのですが、フランス歌曲の歴史的名唱といわれているシャルル・パンゼラのバリトンの録音を聴いて考えを新たにしました。
激しい曲に味わいのあるスゼーの歌や、流麗な美しいメロディに絶妙の解釈を聞かせてくれるモラーヌのものもデュパルクの歌曲集録音としては素晴らしいのですが、この曲に関してはいずれもいまひとつです。
パンゼラの歌は、ほとんどテノールと見まがうばかりの高声で繊細この上なく歌っていること、さりながらこの歌にほのかに見え隠れする色気にも欠けていないところが素敵です。彼の録音は曲ごとに大きく表情を変えているので、どのデュパルクの曲の歌も良いのですが、この曲が特に印象的でした。
その後聴いたフランスのテノール、デレンヌの歌うこの曲(Solstice)も軽やかな声が素晴らしく素敵で、これは「フィデレ」で武田さんが書かれているように、彼の曲の多くが高声向きで、その中でもこの曲は特に高い声で映えるように書かれているからではないかと思い当たった次第...
(ちなみに彼の歌うデュパルクの「旅への誘い」も絶妙の美しさです)
きらめく星のようなピアノの伴奏、9/8拍子の舟歌のようなリズム、そして眠る恋人のそばでささやくように歌う声、最後は消え入るように終わるところまで、実に素敵な曲だと思います。

( 2003.09.20 藤井宏行 )


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